
年末の出荷ピークで誤出荷を出さない|目視のダブルチェックを増やすか、バーコード検品を入れるかを9月中に決める卸売業の判断基準
この記事の事例は、実際にいただくご相談をもとにした想定ケースです。特定の企業を指すものではありません。
11月後半から12月にかけて、出荷行数がふだんの1.5倍になります。人数は変わらないため、出荷前の検品にかけられる時間は3分の2に減ります。誤出荷が月2件から7件に増え、再送料と引き取り、年明けの請求訂正まで尾を引きます。
挙がる案は、たいてい2つです。パートを1名増やして目視のダブルチェックを厚くするか、ハンディ端末でバーコード検品を入れるかです。11月に間に合わせるなら、決めるのは9月中になります。
誤出荷は3つの型に分かれ、効く手が別々です
まず1か月分でよいので、中身を記録します。
出荷日 / 得意先 / 商品コード
誤りの型 : 品違い | 数量違い | 宛先違い
気づいた場所: 出荷前検品 | 配送先 | 請求時
起きた工程 : ピッキング | 梱包 | 送り状貼付
直接費用 : 再送料 + 引き取り費 + 訂正工数
品違いが多いなら棚の並びと外観が原因です。数量違いが多いならケース入数の登録を疑います。宛先違いが多いなら、送り状の発行順と梱包順のズレを先に直します。型が分からないまま人を増やしても当たりません。誤出荷は在庫差異としても残るため、9月末の棚卸しで在庫が合わないときの調査ともつながります。
目視のダブルチェックは、人が足りている月にしか効きません
ダブルチェックは、1人目が見た伝票を2人目が同じ順番で見ます。同じ商品で同じ見落とし方をするため、2人にしても誤りが半分にはなりません。しかも増員が要るのは、周りも忙しい12月です。2か月分の人件費に教育で取られる社員の時間を足すと、思ったほど安くありません。人件費に換算して投資対効果を見るときは、この教育分まで入れて比べます。
バーコード検品で止まる誤りと、すり抜ける誤りがあります
出荷指示のバーコードを読み、商品のJANを読み、数が合うまで完了できない仕組みにすると、品違いはほぼ止まります。スキャン回数を数量に使えば、数量違いも減ります。
すり抜けるものもあります。同じJANで賞味期限やロットが違う在庫、バーコードのない自社小分け品、ケースのITFを未登録のまま「まとめて数量入力」で通す運用です。ここを塞がないと、機器を入れても現場は元のやり方に戻ります。
条件ごとに結論を出すと、こう分かれます
| 判断の軸 | 目視の増強でしのげる場合 | バーコード検品に踏み切る場合 |
|---|---|---|
| 1日の出荷行数 | 繁忙期でも100行以下の場合 | 繁忙期に300行を超える場合 |
| 商品の見分け | 型番や色で区別がつく場合 | 同じ外箱で容量だけ違う場合 |
| 誤りの型 | 宛先違いに偏っている場合 | 品違い・数量違いに偏っている場合 |
| バーコードの付き方 | JANのない商品が半分を超える場合 | 9割以上にJANが付いている場合 |
| 人の手当て | 12月に2名を確保できる場合 | 12月に人を増やせない場合 |
3つ以上が右に寄ったら、バーコード検品を選びます。左に寄ったなら、今年は目視でしのぎ、来年の閑散期に入れる判断も成立します。中間なら、出荷金額の上位2割の得意先だけ先に検品を通します。
9月中に片づけるのは機器の選定ではなく、商品マスタです
バーコード検品が止まる原因は、機器ではなくマスタ側にあります。
商品コード / 商品名 / バラJAN / ケースITF
ケース入数 / バラ出荷の可否 / 賞味期限管理の要否
廃番フラグ / 代替商品コード
JANが空欄のSKUが何件あるか、ケース入数がいつ時点のものかを、9月のうちに数えます。ここに3〜4週間かかります。10月に検証、11月は主要得意先のラインだけ本番、12月に全体という順にすると、ピークの真上で切り替える事態を避けられます。
えらびの道は、卸売業の受発注や請求のシステムをオーダーメイドで開発しています。今回の場面では、誤出荷の記録を型ごとに集計する仕組み、出荷指示と検品結果を突き合わせる画面、既存の販売管理とハンディ端末をつなぐ部分をお手伝いできます。商品マスタのJAN欠落やケース入数の不整合を洗い出すところから始め、小さく作って動かしながら広げる進め方をとっています。どの工程で何件起きているかを見えるようにするだけでも、判断の材料は揃います。
誤出荷を止める仕組みづくりまで、えらびの道でお手伝いできること
合同会社えらびの道は、中小企業向けのシステム受託開発と、データ活用・DX支援を行っています。卸売の受発注・請求、介護のシフト管理、出張販売の管理、EC・決済、業務データの収集と予測基盤といった領域で、実際に手を動かして作ってきました。机上の整理ではなく、日々動かす仕組みとして組み立てるところが本業です。
この記事で扱った誤出荷の記録と集計、出荷指示のデータ整備、バーコード検品の運用設計を、御社の商品構成に合わせて組み立てます。誤りの型を品違い・数量違い・宛先違いで分けて記録する仕組みを用意し、商品マスタのJAN・ケース入数の抜けを洗い出すところから入ります。既存の販売管理や出荷指示のデータをどう受け渡すかも、あわせて検討します。
進め方は、全部を一度に置き換えません。止まると困る1業務、この場合は出荷検品から先に動かし、残りは様子を見ながら移します。打ち合わせから開発まで同じ人間が担当するため、現場で聞いた話が伝言のうちに形を変えることがありません。
12月に間に合わせるには9月中の判断が要ります。えらびの道では、オンラインで30分の相談をお受けしています。費用はかかりませんので、自社がどちらの条件に寄っているか整理する場としてお使いください。
よくある質問
バーコード検品を入れると誤出荷はゼロになりますか?
品違いは大きく減りますが、ゼロにはなりません。同じJANで賞味期限やロットが違う在庫や、バーコードのない小分け品は、スキャンだけでは区別できないためです。どこまで機械で止めて、どこから人が確認するかを決めておく必要があります。
12月の繁忙期までに、どのくらいの期間が必要ですか?
商品マスタの整備に3〜4週間、検証と現場の慣らしに1か月ほどみます。9月中に方針を決めれば、10月に検証、11月に一部の得意先で本番という順に進められます。ピークの真上で切り替えるやり方は避けたほうが安全です。
今あるスマートフォンでも検品はできますか?
カメラでJANを読めるため、出荷行数が少ないうちは代用できます。ただし1日数百行を連続で読む場合は、読み取り速度と電池のもち、片手で扱えるかどうかが効いてきます。試す段階はスマートフォン、本番は専用端末という分け方もあります。
この記事は、生成AIで下書きを作成し、実務経験にもとづいて内容を確認・編集したうえで公開しています。制度・金額・要件は年度や状況によって変わるため、実際のご判断の前に公式の窓口でご確認ください。
あわせて読みたい
1年以上出荷のない不動在庫が登録品目の3割を占めていた|大分の作業用品卸が防寒着の入荷前に、最終出荷日から廃棄・返品・発注停止を決めるまでの4つの失敗
登録品目の3割が1年以上出荷なし。大分の作業用品卸が防寒着の入荷前に、販売データの最終出荷日から不動在庫を洗い出し、廃棄・返品・発注停止を決めるまでに起きた4つの失敗と防ぎ方を想定ケースで紹介します。
うちは「従業員36人以上」に当たるのか誰も数えていない|2027年10月の社会保険の適用拡大に向けて、来年度予算に載せるパートの会社負担を勤怠と雇用契約のデータから見積もる【Q&A】
2027年10月から、社会保険の適用拡大が従業員36人以上の企業にも及びます。人数の数え方、加入するパートの拾い方、来年度予算に載せる会社負担の計算と保険料調整制度の扱いをQ&Aで整理します。
営業に原価を見せると値引きが増えるのか|来年度の目標を粗利へ切り替える前に、大分の建材卸が仕入原価・粗利率・下限価格の見せ方を2か月試して決めた経緯
来年度の営業目標を売上から粗利へ切り替える前に、見積画面で仕入原価・粗利率・下限価格のどれを見せるか。建材卸の想定ケースで、3通りを2か月試したときの値引率の変化と、最後に決めた表示ルールを追います。



