
営業に原価を見せると値引きが増えるのか|来年度の目標を粗利へ切り替える前に、大分の建材卸が仕入原価・粗利率・下限価格の見せ方を2か月試して決めた経緯
この記事の事例は、実際にいただくご相談をもとにした想定ケースです。特定の企業を指すものではありません。
大分市にある住宅設備・建材の卸を想定します。従業員は38名で、そのうち営業が9名、年商は24億円です。販売管理では見積・受注・請求までをつないでいますが、営業の画面に出るのは売上と得意先別の受注残だけでした。昨年の9月に、社長が来年度(4月から)の営業目標を売上から粗利へ切り替えると決めたところから話が始まります。
9月、「原価を見せたら値引きが増える」という反対が出ました
営業課長は「原価が見えたら、得意先に詰められた担当はそこまで下げてしまいます」と反対しました。ところが上期の見積明細1万2千行を調べると、標準価格からの値引率は平均6.8%で、粗利率が10%を切った明細が全体の14%ありました。売上だけを見ている今でも、値引きは担当の感覚で決まっていたことになります。
そこで、見せるかどうかではなく何を見せるかを決めることにしました。候補は仕入原価・粗利率・下限価格の3つです。このうち仕入原価は早い段階で外しました。販売管理が持つ原価は最終仕入単価で、運賃も期末のリベートも入っていないため、実際より粗利が2〜3ポイント低く見えるからです。リベートを月々の原価にどう引き当てるかはリベートを販売データから引き当てる記事で扱っていますが、この会社はまだその段階にありませんでした。
10月から、見せ方を3通りに分けて2か月試しました
営業9名を3人ずつの組に分け、見積画面の表示を組ごとに変えました。1組には明細ごとの粗利率を、2組には品目群ごとの下限価格を出し、3組は従来どおり売上だけにしました。組ごとの差を比べるために、毎週次の集計を出しました。
-- 組ごと・粗利率帯ごとの平均値引率(10〜11月の見積明細)
SELECT g.trial_group,
CASE WHEN q.std_margin_rate >= 0.25 THEN '高粗利品'
ELSE 'その他' END AS item_band,
ROUND(AVG(1 - q.unit_price / q.list_price) * 100, 1) AS avg_discount_pct,
COUNT(*) AS lines
FROM quote_lines q
JOIN sales_staff g ON g.staff_id = q.staff_id
WHERE q.quoted_on BETWEEN '2025-10-01' AND '2025-11-30'
GROUP BY g.trial_group, item_band;
2か月の結果は次のとおりです。
| 見せた項目 | 2か月の値引率と粗利率 | 試行で起きたこと |
|---|---|---|
| 粗利率(1組) | 値引率6.1%、粗利率18.9% | 低粗利品の安売りが減った一方で、高粗利品の値引率が4.2%から7.9%に上がったこと |
| 下限価格(2組) | 値引率8.3%、粗利率16.2% | 見積の41%が下限価格から1%以内に集まったこと |
| 売上のみ(3組) | 値引率6.8%、粗利率17.4% | 上期とほとんど変わらなかったこと |
下限価格は、交渉の出発点になってしまいました
2組では、「ここまでは下げてよい」という数字がそのまま得意先との落としどころになりました。下限価格は本来、課長の承認が要る線として置いたものです。それでも担当には、会社が許した値引きの幅に見えていました。
1組で高粗利品の値引きが増えたのにも理由がありました。粗利率が32%と出ている商品なら、5ポイント下げても平均より高いままなので、担当は気にせず下げていました。率で見せると、率が高い商品ほど削ってよいと読まれてしまいます。
12月に、表示のルールと目標の置き方を決めました
12月の会議で、来年度は次のルールで進めることを決めました。
- 見積画面には、明細ごとの粗利率と見積合計の粗利額を出します。
- 下限価格の数字は出さず、下回ったときに「課長承認が必要です」とだけ表示します。
- 仕入原価は、仕入担当と課長以上だけが見られるようにします。
- 原価には月初に確定した標準原価を使い、月中の仕入値の変動は反映しません。
- 目標は粗利率ではなく粗利額で置きます。
目標を粗利額にしたのは、率の目標のままでは高粗利品を削って件数を取る動きが止まらないからです。標準原価に固定したのは、仕入担当が安く仕入れた分を営業の成績に混ぜないためで、標準原価は四半期ごとに見直します。品目別の原価をどう積み上げるかは値上げ交渉の根拠を品目別原価から出す記事でも触れています。改修は見積画面の表示と承認の条件に絞って1月中に終え、2〜3月は目標を売上のまま、表示だけ先に慣れてもらう期間にしました。
えらびの道は、卸売の受発注・請求をはじめとする業務システムをオーダーメイドで開発しています。このテーマでいえば、見積明細から値引率と粗利率を組・品目群ごとに集計して試行の結果を比べる仕組みや、見積画面の表示の切り替え、下限を下回ったときの承認フローの追加をお手伝いできます。最初は一部の営業にだけ表示を出し、数字を見ながら広げていく小さな始め方をとっています。
粗利目標への切り替えまで、えらびの道でお手伝いできること
合同会社えらびの道は、中小企業向けのシステム受託開発と、データ活用・DX支援を本業にしています。これまで卸売の受発注・請求、介護のシフト管理、出張販売の管理、EC・決済、業務データの収集と予測基盤などを、実際に作って動かしてきました。
営業目標を売上から粗利へ切り替える場合も、御社の販売管理と見積の流れに合わせて組み立てます。見積明細の値引率や粗利率の集計、見積画面に出す項目の切り替え、下限価格を下回った見積を課長の承認に回す仕組みなどを、いまの業務に沿って形にできます。
進め方は、全部を一度に置き換えるのではなく、止まると困る1業務から動かします。たとえば見積画面の表示だけを先に変え、結果を見ながら受注や請求へ広げていきます。打ち合わせから開発まで同じ人間が担当するため、試した結果をそのまま次の手直しに生かせます。
原価をどこまで見せるか迷っている段階でも構いません。相談はオンラインで30分、費用はかかりませんので、えらびの道までお気軽にお声がけください。
よくある質問
営業に仕入原価を見せると値引きは増えますか?
見せ方によって変わります。この想定ケースでは、下限価格を数字で見せた組で値引率が上がり、見積が下限の近くに集まりました。粗利率を見せた組では全体の値引率が下がりましたが、高粗利品は逆に削られました。原価そのものより、何を基準に見せるかで結果が変わります。
営業目標は粗利率と粗利額のどちらで設定すべきですか?
率で目標を置くと、粗利率の高い商品を値引きして件数を取る動きが止まりにくくなります。担当ごとに扱う品目が違う場合も、率では比べにくくなります。目標は粗利額で置き、粗利率は見積のときの判断材料として画面に出す分け方が扱いやすいです。
販売管理の原価が実際の原価と合わないのはなぜですか?
多くの販売管理は最終仕入単価を原価として持っており、運賃や期末のリベートが入っていません。仕入値が月中に変わると、同じ商品でも粗利が日によって動きます。営業の評価に使うなら、月初に確定した標準原価を決めて、その数字で計算するほうが揉めにくくなります。
この記事は、生成AIで下書きを作成し、実務経験にもとづいて内容を確認・編集したうえで公開しています。制度・金額・要件は年度や状況によって変わるため、実際のご判断の前に公式の窓口でご確認ください。
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