9月末の棚卸しで在庫が合わない|システムを入れる前に決める6つのこと【Q&A】

在庫管理業務システム要件整理

9月末の棚卸しが終わって、帳簿と実棚が合わない。差額が数十万円あって、原因を追いかけたら一週間経っていた。そんな話を毎年この時期に聞きます。

「じゃあ在庫管理システムを入れよう」となるのは自然な流れですが、ここで急ぐと高い確率で失敗します。差異の原因の多くはシステムの不在ではなく、社内で在庫の数え方が統一されていないことにあるからです。ここでは現場でよく出る質問に順番に答えていきます。

棚卸しで差異が出るのは、そもそも異常なことですか

差異100万円の内訳例

異常ではありません。ある程度の差異はどの会社でも出ます。問題は「金額の大きさ」ではなく「説明できるかどうか」です。

差異には性質の違うものが混ざっています。

差異の種類 典型例 システムで防げるか
記録漏れ 出荷したが伝票を切っていない ○ 防げる
単位違い ケースで入れて、バラで出した △ 定義次第
計上タイミング 9/30着荷、伝票は10/1付 △ 基準日次第
破損・廃棄 記録せず捨てた × 運用の問題
数え間違い 段ボールの中身を推定で数えた × 運用の問題

差異100万円のうち、記録漏れが20万、単位違いが60万、あとは不明——という構成なら、システムより先に単位の定義を直すべきです。まず差異を種類別に分けてみることが最初の作業になります。分けてみると「ほとんどが同じ倉庫の、同じ商品群」ということも珍しくありません。

在庫管理システムを入れれば、差異はなくなりますか

記録タイミングの候補

なくなりません。むしろ導入直後は差異が「見える化」されて増えたように感じます。

システムができるのは、入出庫の記録を残して理論在庫を計算することまでです。実棚と合わない原因が「現場が記録せずにモノを動かしている」ことなら、システムを入れても同じことが起きます。入力する人が増えるぶん、記録漏れの箇所が分散して原因追跡がむしろ難しくなることもあります。

先に決めるべきは「記録するタイミングをどこに置くか」です。出荷指示を出した時点なのか、ピッキングした時点なのか、トラックに積んだ時点なのか。この3つはそれぞれ数時間から数日ずれます。月末をまたぐと差異になります。業務システムが定着せず現場がExcelに戻るケースの多くは、この「いつ記録するか」が現場の動きと合っていないことが原因です。

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うちは商品数が3,000点あります。全部を管理対象にすべきですか

管理対象の絞り込み

いいえ。最初は絞ることを勧めます。

現実的な区切り方は「金額の大きいもの」と「動きの多いもの」の掛け合わせです。3,000点のうち、金額ベースで上位に集まる商品はだいたい300〜500点、それで在庫金額の7〜8割を占めます。ここだけ正確に管理できれば、差異の説明はほぼつきます。

残りの2,500点は、当面は棚卸しのときだけ数える扱いでも回ります。副資材やネジ類のように、1個単位で追いかけるコストが商品の価値を上回るものは、最初から対象外と決めてしまったほうが健全です。

対象を決めるとき、社内でこう聞いてみてください。

昨年度の実績データから、次の3つを出してください。

1. 商品別の在庫金額(期末時点、上位から並べる)
2. 商品別の出庫回数(年間、上位から並べる)
3. 1と2の両方で上位30%に入る商品の一覧

出せない項目があれば、その理由(データがない/形式が違う/
複数システムに分かれている)も併記してください。

3番目が出せない会社が多いのですが、それ自体が重要な情報です。在庫金額と出庫回数が別々のファイルで管理されていて、商品コードの表記が揃っていない——ということが判明します。

単位をそろえる、とは具体的に何をすればいいですか

単位で決める4項目

同じ商品について、社内で使われている呼び方をすべて書き出す作業です。

たとえば飲料を扱う卸なら、仕入は「ケース(24本)」、在庫は「本」、販売は「ケースまたはバラ」、棚卸しは「パレット単位で概算」というように、工程ごとに単位が違います。それぞれの換算率を決めて、どれを基準単位にするかを1つ選びます。

決めるべきは次の4つです。

  • 基準単位: システム内部で数を持つ単位(通常は最小単位)
  • 換算率: ケース=24本のような固定値と、それが変わる商品の扱い
  • 端数の扱い: 12本入りケースを1本だけ出したとき、残り11本をどう記録するか
  • 入数変更の履歴: メーカーが24本→20本に変えたとき、過去のデータをどうするか

4つめが抜けやすい項目です。入数が変わった商品を「現在の入数」で過去分まで換算すると、前年比が狂います。この種の「同じものに見えて期間で意味が変わる」データの持ち方は、取引先区分を会計・購買データでどう持つかで扱った考え方と同じで、値だけでなく「いつからいつまで有効か」をセットで持つ必要があります。

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倉庫が3か所あります。ロケーション管理は必要ですか

「どの倉庫にあるか」までは必要です。「棚のどの段か」までは、最初は不要な場合が多いです。

判断の基準は「探す時間が業務のボトルネックになっているか」です。ピッキングに毎回10分かかって、それが1日30回なら年間で相当な時間になりますが、1日3回なら棚番管理の入力コストのほうが上回ります。

倉庫間の移動をどう扱うかも決めておきます。A倉庫からB倉庫へトラックで運ぶ2時間、その在庫はどちらにあることにするのか。「出庫と入庫を同時に記録する」「移動中という状態を持つ」の2択で、後者を選ぶなら移動指示のデータが別途必要になります。3か所程度なら前者で足ります。

誰が数えて、誰が差異を承認するのですか

これを決めていない会社が意外と多いです。

棚卸しの担当を、日常的にその在庫を扱っている人が兼ねている場合、差異が出たときに「たぶん数え間違い」で処理されがちです。金額の閾値を決めて、それを超える差異は別の人が確認する——という手順を先に作っておきます。

差異金額 承認者 追加で必要なこと
1万円未満 現場責任者 記録のみ
1万〜10万円 部門長 原因区分の記入
10万円超 役員 再カウントと報告書

この閾値はシステムに設定する項目になります。決めずに導入すると「差異はすべて自動で帳簿を修正」という初期設定のまま運用が始まり、翌年また同じ状態になります。

導入時期についても触れておくと、在庫管理システムは期首から動かすのが最も楽です。9月末の棚卸し結果を初期在庫として使うなら、10月から11月に要件を固めて、年明けから並行運用というスケジュールが現実的です。稼働時期から逆算した準備期間の考え方は在庫システムでも同じように当てはまります。

えらびの道では、卸売の受発注・請求管理や出張販売の在庫管理など、モノの動きを扱う業務システムをオーダーメイドで開発しています。今回書いたような単位の定義や基準日の決め方は、既製のパッケージだと自社の商習慣に合わせきれない部分が出やすいところです。既存のExcelや販売管理ソフトからデータを取り込んで差異の内訳を可視化するところから始めて、小さく作って動かしながら育てる進め方をとっています。在庫回転や欠品の予測といったデータ活用まで含めて、どこから手をつけるかの整理もお手伝いできます。

棚卸しの差異を説明できるようにするまで、えらびの道でお手伝いできること

合同会社えらびの道は、中小企業向けのシステム受託開発と、データ活用・DXのご支援をしています。卸売の受発注や請求、介護のシフト管理、出張販売の管理、EC・決済、業務データを集めて予測に使う基盤づくりなどを手がけてきました。実際に在庫や伝票のデータを扱って作る立場から、現場で起きていることをお伝えしています。

この記事で挙げた導入前の決めごとについても、御社の在庫に合わせたかたちでお手伝いできます。今回の差異を種類別に分けるところ、入出庫をどの時点で記録するかの決定、ケースとバラの換算をはじめとする単位の定義、金額と出庫回数から管理対象を絞る作業、複数に分かれた商品コードの突き合わせまで、棚卸しと在庫管理の実務に沿って進めます。

進め方としては、全部を一度に置き換えることはしません。止まると困る1業務から動かし、残りは様子を見ながら移していきます。打ち合わせから開発まで同じ人間が担当しますので、現場で伺った数え方の事情がそのまま設計に入ります。

まずは、今回の棚卸しでどこに差異が出たのかを伺うところからで構いません。えらびの道ではオンラインで30分ほどのご相談をお受けしており、費用はかかりません。

よくある質問

在庫管理システムの導入にはどのくらい期間がかかりますか?

対象商品を絞った場合で、要件の整理に1〜2か月、開発と並行運用を含めて3〜6か月が目安です。単位や基準日の定義が社内で固まっているかどうかで大きく変わり、ここが未整理だと要件の段階で想定より時間がかかります。

Excelでの在庫管理は限界がありますか?

商品数が数百点までで、入出庫を1人が入力しているうちは十分に回ります。限界が来るのは、複数拠点で同時に更新するようになったときと、月次で在庫金額を締める作業が数日かかるようになったときです。この2つが起きたら移行を検討する時期です。

棚卸しの差異は何パーセントまでなら許容範囲ですか?

業種によりますが、金額ベースで1%を超えると原因の特定が必要とされることが多いです。ただし率よりも、差異が記録漏れなのか数え間違いなのか説明できる状態にあるかどうかが重要で、率が小さくても原因不明のままなら改善の余地があります。

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この記事は、生成AIで下書きを作成し、実務経験にもとづいて内容を確認・編集したうえで公開しています。制度・金額・要件は年度や状況によって変わるため、実際のご判断の前に公式の窓口でご確認ください。

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