受注した仕事がいまどの工程にあるか、現場に聞かないと分かりません|納期回答を当日中に返すために年末の増産前に決めた進捗データの取得範囲

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「あの品番、いま第2工程まで終わってますか」と聞かれて、答えるまでに30分かかる。班長のところまで歩いて、現品票の束を見て、機械の脇の予定表を確認して、ようやく「明後日には研磨に入ります」と返す。この30分が1日に何度も発生している会社は珍しくありません。

取引先からの納期回答も同じ経路をたどります。電話を受けた営業が生産管理に聞き、生産管理が現場に聞き、現場が答えるまで営業は待つことになります。結果として「明日折り返します」が定型句になり、当日中の回答ができません。年末の増産期に入ると、この待ち時間がそのまま失注や過剰な安全余裕になって効いてきます。

「工程進捗が見えない」は、実は3種類の問題が混ざっています

見えない理由の3分類

見えない理由を分けずに「生産管理システムを入れよう」と進めると、必要のない機能まで抱え込みます。実際には次の3つが混ざっています。

1つ目は、実績が記録されていないという問題です。誰がいつどの工程を終えたかが、そもそもどこにも残っていません。現品票に手書きの日付があっても、それは現場の紙にしか存在しません。

2つ目は、記録はあるが集まっていないという問題です。日報や作業日誌には書かれていますが、翌朝まとめて事務所に上がり、Excelに転記されるのが翌日以降になります。聞かれた瞬間の状態は分かりません。

3つ目は、集まっているが単位が合っていないという問題です。受注は「1オーダー500個」で入っているのに、現場の記録は「今日この機械で320個」になっており、どのオーダーの分なのか紐づいていません。合計は出ても、特定の受注がどこにあるかは出てきません。

納期回答を当日中に返したいのであれば、必要なのは3つ目の解消です。工場全体の稼働率を測る話とは別ものだと切り分けておくと、投資の範囲が小さくなります。

実績をどの単位で取るかを、先に決めます

工程進捗のデータ収集で最初に決めるのは、1レコードを何にするかです。ここを曖昧にしたまま端末を配ると、現場が入力する意味を見いだせずに形骸化します。

取得単位 分かること 現場の入力負荷 向く場合
オーダー単位(着手・完了のみ) そのオーダーがどの工程まで進んだか 1オーダーあたり数回で済む場合 納期回答を優先する場合
工程単位(工程ごとに着手・完了) 次工程への引き渡し予定日 工程数だけ操作が増える場合 多工程で滞留が読みたい場合
ロット・数量単位(分割着手を含む) 仕掛品の分散と歩留まり 分割のたびに操作が必要な場合 分納や部分出荷がある場合
設備・作業者単位(時間の記録を含む) 実際原価と工数の差異 開始・終了の打刻が必要な場合 原価の精度を上げたい場合

納期回答が目的なら、まずは工程単位までで足ります。設備・作業者単位まで一気に広げると、入力が増えた割に納期回答は改善しないという結果になりがちです。原価の精度を上げたい話は、工事が終わってから赤字に気づく問題を扱った記事と同じ構造で、別の目的として後から積み増すほうが無理がありません。

あわせて読みたい工事が終わってから赤字に気づく|大分の建設会社が実行予算と実際原価のズレを施工中に見えるようにした工事台帳の作り替え

進捗レコードに持たせる項目を、要件として書き出します

進捗レコードの決め事

単位が決まったら、1レコードに何を持たせるかを決めます。ここで抜けやすいのが「予定」と「実績」を分けて持つことと、後から訂正できるようにしておくことです。

項目 必須かどうか 決めておくこと
オーダー番号 必須の項目 受注番号と製造番号のどちらを主にするか
工程コード 必須の項目 工程マスタを何段階まで細かくするか
状態(未着手・仕掛・完了) 必須の項目 「中断」を状態として持つかどうか
数量(良品・不良) 準必須の項目 不良を工程進捗と同じ画面で取るかどうか
実績日時 必須の項目 入力した時刻か、作業した時刻か
入力者 推奨の項目 個人か班かのどちらで持つか
訂正履歴 推奨の項目 上書きを許すか、訂正レコードを積むか

「実績日時」を入力時刻にするか作業時刻にするかは、後から効いてきます。夜勤明けにまとめて入力する運用があるなら、作業時刻を別に持たないと進捗が半日ずれます。

また、状態に「中断」を持つかは判断が分かれます。段取り替えや材料待ちで止まっている仕掛品は、仕掛のままだと「進んでいるように見える」ので、納期回答の精度に直結します。持つと決めたら、中断理由の選択肢を5つ程度に絞って現場が迷わないようにします。

誰がいつ入力するかを決めないと、データは半日遅れます

項目が決まっても、入力のタイミングが決まっていないと結局翌日データになります。次のような具体的な取り決めが要ります。

  • 工程完了時にその場で入力するのか、休憩前・終業前にまとめるのか
  • 端末は据置か、班に1台の共有タブレットか、個人のスマートフォンか
  • 現品票のバーコードやQRを読むのか、番号を手入力するのか
  • ネットワークが届かない場所での入力をどう扱うのか

金属加工の現場では、油や切粉のある環境でタッチ操作が安定しないという実務上の制約があります。工程の入口に据置端末を置いて、現品票のバーコードを読むだけで着手が立つ形にすると、手袋のまま操作できて定着しやすくなります。

なお、入力端末を新しく買うのか、いま使っているPCで凌ぐのかを検討するときは、Windows 10でしか動かない業務システムの延命判断と同じ時期の話になることが多いので、まとめて棚卸ししておくと二重に費用がかかりません。

あわせて読みたいWindows 10でしか動かない業務システムを延命するか更改するか|10月にESU費用が倍になる前の判断基準

納期回答に必要な問い合わせは、この形で出せるようにします

当日回答までの積み上げ

集めたデータから何を返すのかを、あらかじめ決めておきます。納期回答で実際に聞かれるのは、おおむね次の3つです。

1. 受注番号 XXXX は、いまどの工程で、いつ次工程に渡る見込みですか
2. 品番 YYYY を今から100個追加すると、最短でいつ出せますか
3. 今週中に完了予定のオーダーのうち、遅れているものはどれですか

1つ目は進捗レコードがあれば出せます。2つ目は工程ごとの残負荷(仕掛数量×標準時間)が要るので、標準時間のマスタが必要になります。3つ目は計画日と実績日の比較なので、オーダーごとの工程別予定日を持っていることが前提です。

つまり、「納期回答を当日中に返す」を満たすだけでも、進捗レコードに加えて工程マスタ・標準時間・工程別予定日の3つが要ります。ここを飛ばして実績だけ集めると、「いまどこにあるか」は分かるが「いつ出せるか」が出ないという状態で止まります。

【現場に確認する項目の整理メモ】
- 工程の名前と順序を、実際に呼ばれている名称で書き出す
- 各工程の標準時間を、品番グループ単位でよいので置く
- 外注に出す工程がどこか、返ってくる日数の実績を3か月分拾う
- 分割着手・飛び越し(工程を飛ばす)が発生する条件を挙げる

外注工程は特に抜けやすい部分です。社内工程だけをデータ化しても、めっきや熱処理を外に出している間の日数が読めないと納期回答は当たりません。外注の発注記録と納入予定日を同じ台帳に載せるかどうかは、年内に施行される取適法への対応とも重なるため、発注記録と支払期日の整理と一緒に検討する余地があります。

あわせて読みたい1月施行の取適法に、いまの発注書と支払データで答えられますか|製造と運送を外注する金属加工会社が年内に直した発注記録と支払期日の数え方

年末の増産前に、どこまでを対象にするか

増産前に絞る範囲

制度の期限があるわけではないので、区切りは自社で決めることになります。年末の増産期を基準にするなら、逆算して次の範囲に絞るのが現実的です。

対象を「受注残のあるオーダー」に限り、工程は主要な4〜6工程だけをデータ化します。試作品や社内加工品は当面対象外にします。全品番・全工程を一度に載せようとすると、工程マスタの整備だけで数か月かかり、増産期には間に合いません。

進捗が取れるようになると、次に「予定を自動で引き直す」という話が出てきます。ただしこれは実績データが3か月分ほど溜まってからでないと精度が出ません。最初から予定の自動再計算まで含めた見積もりを取ると、稼働までの期間が倍近くなることがあります。

なお、生産管理の周辺制度(税制優遇や補助金の要件、電子帳簿保存法の保存要件など)は年度で内容が変わります。設備投資や補助金を絡めて検討する場合は、中小企業庁の各支援施策のページで、その年度の公募要領を必ず確認してください。過去年度の条件がそのまま続く前提で計画を立てると、申請時期になって対象外だったということが起こります。

工程進捗を自社で持つときに手伝えること

えらびの道は、業務システムをオーダーメイドで開発しています。卸売の受発注・請求、出張販売の管理、介護のシフト管理などを実際に作ってきました。工程進捗であれば、現品票のバーコード読み取りから実績を貯める入力側と、営業が納期回答に使う照会側を、それぞれ小さく作って動かしながら整えていく形をとります。

データが溜まってきた段階では、工程別の滞留時間を可視化したり、過去実績から工程ごとのリードタイムを推定したりする部分まで対応できます。既存の生産管理パッケージや販売管理システムが入っている場合は、そこから受注データを取り込んで進捗だけを別に持つ構成もとれます。最初から全工程を作り込むのではなく、詰まっている工程から順に載せていく進め方をご提案しています。

工程進捗の見える化まで、えらびの道でお手伝いできること

合同会社えらびの道は、中小企業向けのシステム受託開発と、データ活用・DX支援を本業としています。卸売の受発注・請求、介護のシフト管理、出張販売の管理、EC・決済、業務データの収集と予測基盤といった領域で、実際に動くシステムを作って納めてきました。現場で使われる仕組みを組んできた立場から、机上の整理にとどまらない話ができます。

この記事で扱った進捗データの取得範囲についても、御社の工程に合わせて設計からお手伝いできます。実績を取る単位をオーダー単位にするか工程単位にするか、進捗レコードに実績日時や訂正履歴をどう持たせるか、そして納期回答の画面に何を出すかまで、現場の入力負荷を見ながら決めていきます。

進め方としては、全部を一度に置き換えることはしません。止まると困る1業務、たとえば納期回答に直結する工程実績の入力から動かして、原価や設備稼働の話は様子を見ながら後から積み増します。えらびの道では打ち合わせから開発まで同じ人間が担当しますので、現場で聞いた話がそのまま設計に反映されます。

年末の増産期を前に、どこまでデータを取るか迷っている段階でもかまいません。オンラインで30分ほど、費用はかからない形でご相談をお受けしています。現状の記録の取り方をうかがったうえで、どこから手をつけるとよいかを一緒に整理します。

よくある質問

工程進捗のシステムを入れると、現場の入力作業は増えますか?

工程単位で着手・完了を取る場合、1オーダーあたり数回の操作が増えます。ただし現品票のバーコードを読むだけの形にすれば、1回あたり数秒で終わります。日報の手書きや翌日の転記がなくなる分と相殺して、全体では減る場合が多いです。

標準時間のデータがないと、納期回答の仕組みは作れませんか?

「いまどの工程にあるか」を返すだけなら標準時間は不要です。「いつ出せるか」を返すには工程ごとの残負荷が必要になるため、品番グループ単位のおおまかな標準時間から始めて、実績が溜まってから精度を上げる進め方が現実的です。

外注に出している工程の進捗はどうやって取ればよいですか?

外注先に入力してもらうのは負担が大きいため、発注時の納入予定日と、実際に返ってきた日を自社側で記録する形が現実的です。過去3か月分の実績日数を拾っておくと、外注工程の日数を平均値で見込めるようになります。

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この記事は、生成AIで下書きを作成し、実務経験にもとづいて内容を確認・編集したうえで公開しています。制度・金額・要件は年度や状況によって変わるため、実際のご判断の前に公式の窓口でご確認ください。

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