工事が終わってから赤字に気づく|大分の建設会社が実行予算と実際原価のズレを施工中に見えるようにした工事台帳の作り替え
この記事の事例は、実際にいただくご相談をもとにした想定ケースです。特定の企業を指すものではありません。
大分市の総合建設業K社(架空・土木6割、建築4割、従業員28名のうち現場代理人を置ける技術者9名、年間の完成工事30〜35件、完成工事高およそ9.4億円)は、2025年10月にA工事を引き渡しました。請負6,800万円、実行予算では原価5,900万円、粗利900万円(13.2%)の見込みです。実際の粗利が390万円だったと分かったのは、12月でした。
竣工から2か月たって、粗利が510万円減っていました
会計事務所から届いた工事別の完成工事原価は6,410万円で、粗利は5.7%まで落ちていました。差の510万円は、外注費が330万円、労務費が120万円、材料費が60万円です。
原因ははっきりしています。7月に掘削したところ想定と土質が違い、地盤改良を追加しました。現場代理人はその場で協力会社へ口頭で依頼し、工事は止まらずに進みました。注文書が起票されたのは8月末、請求が届いたのが9月末、会計へ入ったのが10月です。7月の判断が数字になるまで、5か月かかっていました。
問題は510万円という金額よりも、7月の時点で誰も金額を持っていなかったことです。追加が予算のどこを食うか分かっていれば、後工程の仮設計画を組み替えるか、発注者と協議するかを選べました。竣工後では、どちらもできません。
原価が台帳に載るのは、請求書が会計へ入った後でした
原価の種類ごとに、台帳へ載るまでの経路を並べました。
| 原価の種類 | 変える前に台帳へ載る時点 | 変えた後に台帳へ載る時点 |
|---|---|---|
| 材料費 | 仕入請求書を会計へ入力した時点 | 注文書を発行した時点 |
| 外注費 | 出来高請求を受け取った時点 | 注文伺いを承認した時点 |
| 労務費(直用) | 月次で日報を集計した時点 | 日報を入力した翌朝の時点 |
| 重機・運搬 | 月末に按分した時点 | 使用予定を登録した時点 |
| 産廃処理費 | マニフェストの返送を待った時点 | 搬出量を現場で入力した時点 |
一番遅い経路で70日、早いものでも30日ほどかかっていました。締めが遅ければ判断はさらに後ろへずれます。この遅れを待ち時間と作業時間に分けて数える手順は、月次の数字が出るのは翌月20日過ぎで書いたとおりです。
実行予算と会計で、費目の切り方が違っていました
実行予算は工事ごとに1つのExcelファイルで、材料費・労務費・外注費・経費の4区分です。会計側は勘定科目が20を超えていました。どの科目がどの区分に入るかは経理担当の記憶の中にあり、突き合わせのたびに半日かかります。担当が違えば配分も変わるため、比較しても差の原因までは追えませんでした。
そこで、実行予算・工事台帳・会計で同じ費目コードを使う形に直しました。
費目コード(実行予算・工事台帳・会計で共通に使う)
110 直接材料費 / 120 仮設材料費
210 直用労務費 / 220 現場管理者の労務費
310 外注費(土工)/ 320 外注費(型枠・鉄筋)/ 330 外注費(設備)
410 重機賃料 / 420 運搬費 / 430 産廃処理費
510 現場経費(仮設事務所・光熱費)/ 520 保険・その他
発注書を出した時点で、台帳に原価を積むようにしました
2026年1月から、まず3工事だけで試しました。変えたのは3つです。口頭発注をやめて現場代理人がタブレットから注文伺いを出すこと、金額欄を必須にすること、日報を当日中に入力して労務費を社内単価×時間で自動計算することです。入力の手間を増やしたわけではなく、現場代理人が手元の野帳へ書いていた内容を画面に移しただけにとどめました。新しい入力先を作ると、忙しい時期に必ず元へ戻ります(業務システムが定着せず現場がExcelに戻る4つの理由)。
そのうえで、工事ごとに毎週月曜へ1枚を出しています。
残予算 = 実行予算 − 確定原価(請求済)− 発注残(注文済・未請求)− 当月労務費(日報×社内単価)
予算消化率 = (実行予算 − 残予算) ÷ 実行予算
出来高率 = 出来高調書の金額 ÷ 請負金額
警告 = 予算消化率 − 出来高率 が 10ポイントを超えた工事に色を付ける
8月10日、着工2か月目で予算超過が見えました
2026年6月に着工したC工事(請負4,300万円、実行予算の原価3,700万円)は、8月10日の週次で色が付きました。出来高率31%に対して予算消化率44%、13ポイントの差です。土工の外注が予算1,050万円に対して発注残込みで1,240万円になっていました。残土の搬出先が変わり、運搬距離が伸びていたためです。
工期の3割の時点で分かったので、後工程の仮設を組み替え、増加分の一部を発注者との協議に乗せられました。原価が見えるまでの遅れは、最大70日から3営業日になっています。費用は初期240万円と月額2.8万円で、3工事の試行に2か月をあてました。こうした投資に県や市の支援制度が使える場合もありますが、要件も締切も年度ごとに変わりますので、窓口や公募要領で必ず確認してください。補助対象になるかどうかを先に置くと選定を誤りやすい点は、IT導入補助金が使えるかどうかで業務システムを選んでいないかにまとめています。
えらびの道は、業務システムをオーダーメイドで開発しています。工事原価まわりでは、実行予算と会計で共通に使う費目コードの設計、注文伺いから発注残を積む仕組み、日報からの労務費計算、工事ごとの週次1枚の自動出力までが具体的な担当範囲になります。データの可視化やレポートの自動化、蓄積した実績から次の実行予算を組み立てる分析にも対応しています。会計ソフトはそのまま残し、数件の工事で試してから全社へ広げる進め方をとっています。
工事台帳の作り替えまで、えらびの道でお手伝いできること
合同会社えらびの道は、中小企業向けのシステム受託開発と、データ活用・DXのご支援をしています。卸売の受発注・請求、介護のシフト管理、出張販売の管理、EC・決済、業務データを集めて予測に使う基盤づくりなどを、実際に手を動かして作ってきました。この記事に書いた考え方も、日々のご相談のなかで見えてきたものです。
工事台帳についても、御社の工事の進め方に合わせた形でお手伝いできます。実行予算と会計で費目の切り方を揃えること、注文伺いを承認した時点で原価を台帳へ積むこと、着工後の予算超過を月の途中で拾えるようにすることなど、この記事で扱った範囲はそのままご相談の対象です。既存の会計ソフトはそのままに、その手前だけを作るという進め方も選べます。
えらびの道では、全部を一度に置き換えるやり方はとりません。止まると困る業務をひとつ選んで先に動かし、残りは様子を見ながら移していきます。打ち合わせから開発まで同じ人間が担当しますので、現場で聞いた話が伝言のあいだに薄まることもありません。
工事台帳のどこから手を付けるか決めかねている段階でも構いません。オンラインで30分ほど、費用はかかりませんので、いまの原価の見え方をお聞かせください。
よくある質問
工事原価の管理システムは、どのくらいの規模の建設会社から必要になりますか
同時に動く工事が5件を超え、現場代理人が3人以上になったあたりが目安です。件数そのものより、実行予算を作った人と原価を入力する人が分かれているかどうかで決まります。分かれている場合は、竣工まで誰も差に気づかない状態が起こりやすくなります。
実行予算と実際原価がずれる原因として多いものは何ですか
施工中に決まった追加や変更が、注文書として起票されるまで台帳に載らないことが最も多い原因です。次に、実行予算の費目と会計の勘定科目が対応しておらず、差が出ても どの工種で膨らんだかまで追えないことが挙げられます。
会計ソフトの工事別集計だけでは足りませんか
原価を締めた後の実績を見るには十分です。ただし会計へ入るのは請求書が届いた後になりますので、施工中の判断には間に合いません。注文書を出した時点の発注残と、当月の労務費を先に積む仕組みを別に持つと、進行中の工事でも比較できます。
この記事は、生成AIで下書きを作成し、実務経験にもとづいて内容を確認・編集したうえで公開しています。制度・金額・要件は年度や状況によって変わるため、実際のご判断の前に公式の窓口でご確認ください。
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