共有フォルダに「最終版_修正済_v3」が並ぶ|どのExcelが正か決めないまま業務システムを入れると起きること、上期末までに決める置き場と持ち主

業務システムデータ管理Excel

この記事の事例は、実際にいただくご相談をもとにした想定ケースです。特定の企業を指すものではありません。

業務システムの話を始めると、たいてい最初につまずくのはシステムの機能ではなく、共有フォルダの中身です。

同じ表が7つ、中身は3〜4通りに割れています

同じ表の散らばり方

\\fileserver\共有\受注\
  取引先別単価表.xlsx
  取引先別単価表_修正済.xlsx
  取引先別単価表_最終版.xlsx
  取引先別単価表_最終版_修正済_v3.xlsx
  取引先別単価表_20260731_田中.xlsx
  【旧】取引先別単価表.xlsx
  取引先別単価表 - コピー.xlsx

7つを開いて突き合わせると、値が食い違うのは全体の1〜2割にとどまります。やっかいなのは、どれか1つが古いのではなく、それぞれが別の場面では正しかったという点です。値引き交渉中の単価を入れた版、経理が請求に使った版、展示会の見積り用に丸めた版が同じ棚に並んでいます。だから誰も消せませんし、消してよいかを判断できる人もいません。

「正」はファイル単位ではなく、列単位で分かれます

列ごとに持ち主が違う

「この表の持ち主は誰ですか」と聞いて答えが出ないとき、原因は担当者が曖昧なことではありません。1枚のシートに、持ち主の違う列が同居しているためです。単価は営業部が決め、支払サイトは経理が決め、納品先の住所は物流が直します。3人が3人とも「自分の列については自分が正しい」と考えていて、実際にそのとおりです。

ですから、決めるべき単位はファイルではなく列です。列ごとに持ち主を書き出すと、1枚だと思っていた表が3枚に分かれるべきものだったと分かります。この分解を飛ばすと、取引先別の売上を出したら合計が合わない状態が、システムに載せ替えたあともそのまま残ります。

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置き場は、更新する人数と間違えたときの波及で分かれます

すべてをシステムのマスタに載せる必要はありません。条件ごとに結論は分かれます。

判断軸 共有フォルダに残す場合 クラウドの共有ライブラリへ移す場合 システムのマスタに載せる場合
更新する人 1人しか触らない場合 2〜5人が同じ表を触る場合 部署をまたいで参照される場合
更新の頻度 年に数回で済む場合 月に数回から週1回になる場合 日々の入力で毎日値が動く場合
変更の履歴 いつ誰が変えたか問われない場合 直前の版に戻せれば足りる場合 いつ誰がなぜ変えたかを残す必要がある場合
他の帳票との関係 単独で完結している場合 参照が1〜2本にとどまる場合 3本以上の帳票が同じ値を使う場合
間違えたときの波及 作った本人が気づいて直せる場合 部内で気づける場合 請求書・在庫・給与に出てしまう場合

右の列に寄るほど、Excelに置き続ける費用が上がります。逆に、左の列で足りる表までシステムに載せると、入力画面を作る費用と、たまにしか使わない画面の使い方を思い出す手間が増えます。業務システムが定着せず現場がExcelに戻るのは、この左側の表まで囲い込んだときによく起きます。

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持ち主が1人に決まらない表は、載せる順番を後ろにします

表に添える5行メモ

持ち主は役職ではなく氏名で決めます。「営業部で管理」は持ち主がいない状態と同じです。決まった表から、次の5行を1枚のメモにして表と同じ場所に置きます。

取引先別単価表
  置き場   : マスタ/取引先別単価表.xlsx(共有ライブラリ)
  持ち主   : 営業部 単価改定担当(氏名で1名)
  更新権限 : 持ち主のみ。他は閲覧のみとします
  締め日   : 毎月25日17時。以降の変更は翌月適用とします
  複製方針 : コピーを作らず、検討用は別フォルダに分けます

会議で持ち主が決まらない表は、決まらないこと自体が答えです。その表はシステムに載せる順番を後ろに回し、上期末までは共有フォルダに残したままにします。無理に載せると、稼働後に「システムの数字が違う」という申告が続き、結局また手元のExcelが増えます。持ち主が退職予定の場合はさらに急ぎで、9月末で辞める社員が作ったExcelマクロと同じ扱いで引き継ぎ先を先に決めます。

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決めないまま進めると、費用は移行の工程で膨らみます

決めないまま進むと

開発が始まってからでも、この判断は避けられません。移行の段階で「7つのうちどれを取り込みますか」と必ず聞かれ、答えられないと確認待ちで日程が止まります。取り急ぎ全部を取り込めば、重複した取引先が二重に登録され、稼働直後の帳票が合わなくなります。上期末までに置き場と持ち主だけでも決まっていれば、データ移行の対象をどこまで持っていくかの相談が、見積り前の短い確認で済みます。

えらびの道では、業務システムをオーダーメイドで開発しています。卸売の受発注・請求、出張販売の管理、介護のシフト管理といった実績があります。今回のような場面では、共有フォルダのExcelを列単位で棚卸しして、システムのマスタに載せる列と当面Excelに残す列を分ける整理からお手伝いできます。データの可視化やレポートの自動化にも対応していますが、最初から全部を作り込まず、正が決まった表から順に小さく載せて、動かしながら育てる進め方をとっています。

どのExcelを正とするかを決めるところから、えらびの道でお手伝いできること

合同会社えらびの道は、中小企業向けのシステム受託開発と、データ活用・DXのご支援をしています。卸売の受発注や請求、介護のシフト管理、出張販売の管理、EC・決済、業務データを集めて予測に使う基盤づくりなどを手がけてきました。実際に手を動かして作る立場から、現場で起きていることをお伝えしています。

この記事で扱った、共有フォルダに散らばった表の整理も、御社の実情に合わせたかたちでお手伝いできます。取引先別単価表のように持ち主の違う列が同居している表を洗い出し、列ごとに持ち主と締め日を決めるところから、システムのマスタに載せる分と共有フォルダに残す分の切り分けまでをご一緒します。

進め方としては、全部を一度に置き換えることはしません。止まると困る1業務から動かし、残りは様子を見ながら移していきます。打ち合わせから開発まで同じ人間が担当しますので、現場で伺った話がそのまま設計に入ります。

まずは、どの表のどの値が食い違っているかを伺うところからで構いません。えらびの道ではオンラインで30分ほどのご相談をお受けしており、費用はかかりません。

よくある質問

共有フォルダのファイルは全部クラウドに移した方がよいですか?

移す必要があるのは、複数人が同じ表を触っていて、直前の版に戻したい場面がある表です。1人しか更新せず年に数回しか開かない表は、共有フォルダのままで足りますし、移しても手間だけが増えます。判断は表ごとに分けてください。

「正」のExcelを決める会議には誰を呼べばよいですか?

その表の列を実際に書き換えている人を全員呼びます。管理職だけで集まると、誰がどの列を直しているかが分からず結論が出ません。逆に人数が多くなりすぎる表は、1枚に複数の持ち主が同居しているので、表を分ける判断が先になります。

業務システムを入れれば共有フォルダのExcelはなくなりますか?

なくなりません。集計や検討のためにデータを書き出す使い方は残りますし、それ自体は問題ありません。なくすべきなのは、正の値をExcel側で書き換えて、それが誰にも共有されないまま増えていく使い方の方です。

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