
下期の売上見込みが営業担当の勘でしか出てこない|出した見積書を案件として数えるために決めた受注確度と更新のルール
この記事の事例は、実際にいただくご相談をもとにした想定ケースです。特定の企業を指すものではありません。
10月から下期が始まる会社では、8月から9月にかけて下期の見込みを立てます。営業部長に数字を聞くと「たぶんこのくらいは行きます」と返ってきます。根拠をたどると、担当者それぞれの手応えを足したものだと分かります。
手応えが外れているという話ではありません。困るのは、外れたときに何が違ったのかを後から追えない点です。見積書は毎月発行しているのに、そのうち何件が生きていて、何件が消えたのかを誰も数えていない状態が続きます。
以下、出した見積書を案件として数えようとしたときに起きる失敗を4つ挙げます。
A・B・Cの確度が、営業担当ごとに違う意味で使われています
案件表に確度の欄はあります。ただ、AとBの境目が人によって違います。10年やっている担当者は先方の稟議が上がるまでAを付けません。2年目の担当者は、感触が良ければAを付けます。同じ「A」が、片方では8割、片方では3割の意味になります。
なぜ起きるかというと、確度が自分の気持ちで決まっているからです。「取れそうです」は本人の中では正確な表現ですが、他人が足し算できる情報ではありません。
防ぐには、確度を自社側の感触ではなく、相手側で起きた事実で定義します。誰が入力しても同じ答えになる形にします。
| 確度の段階 | 引き上げに必要な事実 | 見込みへの計上の仕方 |
|---|---|---|
| 見積提出済みの段階 | 見積書を先方の担当者へ渡したこと | 金額の30%を月別に載せること |
| 予算確認済みの段階 | 先方の予算枠と実行時期を聞けたこと | 金額の50%を月別に載せること |
| 決裁者合意の段階 | 決裁者から発注時期を示されたこと | 金額の80%を月別に載せること |
| 内示・受注の段階 | 発注書か内示書を受け取ったこと | 金額の100%を月別に載せること |
パーセントは最初は仮の数字で構いません。大事なのは、左の列に書かれた事実がなければ確度を上げられない、という一点です。
失注した見積書が、案件表から消えないまま残っています
案件表の合計が、その会社の年商を超えていることがあります。中身を見ると、2年前に出した見積書が確度Bのまま残っています。
なぜ起きるかというと、案件を閉じる作業は誰の得にもならないからです。失注を入力すれば自分の数字が減ります。放置しても叱られません。「まだ可能性はあります」と言えば残せてしまいます。
防ぐには、閉じ方を2種類だけ用意します。失注は理由を選択式で必須にします(価格・時期・競合・要件不一致・連絡が取れない、の5つで足ります)。保留は再開の条件と再確認日をセットで入れます。そのうえで、最終更新から60日動いていない案件は自動的に保留へ落とし、確度を0にします。担当者が自分で消すのではなく、期限が来たら勝手に落ちる形にすると、入力の心理的な負担がなくなります。
-- 60日以上動いていない案件を、担当者ごとに拾う
SELECT o.owner_name, o.opportunity_no, o.customer_name,
o.amount, o.probability, o.updated_at
FROM opportunities o
WHERE o.status = 'open'
AND o.updated_at < DATE_SUB('2026-08-27', INTERVAL 60 DAY)
ORDER BY o.owner_name, o.amount DESC;
見込みに入れた金額が、どの月の売上になるのか決まっていません
受注予定日だけを持っている案件表は、下期の見込みには使えません。10月に受注しても、検収が3月であれば売上は下期の最後に立ちます。分割検収なら11月と2月に分かれます。
なぜ起きるかというと、案件表が営業の進捗を追うために作られていて、会計の計上時期を持たない作りだからです。営業にとっての「取れた月」と、経理にとっての「売上の月」は別物です。
防ぐには、日付を3つに分けて持ちます。受注予定日、売上計上予定月、入金予定月の3つです。分割検収や年間保守が付く案件は、1件を1行にせず、計上月ごとに行を分けます。ここまで持てば、見込みと実績を同じ軸で並べられます。並べたときに実績側が出てくるのが遅いようであれば、月次の数字が出るのは翌月20日過ぎで扱った、締めの遅れの分解のほうを先に片づけてください。
-- 確度で重みを付けた、月別の売上見込み
SELECT r.revenue_month,
SUM(r.amount) AS 総額,
SUM(r.amount * o.probability / 100) AS 加重見込み
FROM opportunity_revenues r
JOIN opportunities o ON o.opportunity_no = r.opportunity_no
WHERE o.status = 'open'
AND r.revenue_month BETWEEN '2026-10' AND '2027-03'
GROUP BY r.revenue_month
ORDER BY r.revenue_month;
案件表の更新が、営業会議の前日にまとめて行われています
更新日を見ると、全案件が同じ日付になっています。月1回の会議の前日です。その日だけは正しく、それ以外の29日間は古い表になります。
なぜ起きるかというと、更新のきっかけが会議だからです。前日にまとめて埋めれば、1か月前の記憶をたどることになり、結局は勘で入力する形に戻ります。
防ぐには、更新のきっかけを会議から行動へ移します。見積書を発行したら案件が立つようにして、見積番号をそのまま案件番号にします。訪問や電話の記録を残すときは、次に何をいつやるかの欄を空欄のまま保存できないようにします。先方から返事が届いた日に確度を動かします。器はExcelでも始められますが、そのときは正本を1つに決めてください。同じ内容のファイルが増えると、どれが最新か分からなくなる問題は共有フォルダに「最終版_修正済_v3」が並ぶで書いたとおりです。
決めたルールが、最初の1か月で形だけになるのを避けるために
ルールを決めた直後は全員が入力します。崩れるのは2か月目からです。崩れを止めるには、入力した結果が自分に返ってくる状態を作ります。
具体的には、3か月経った時点で確度ごとの実際の受注率を出します。30%と置いた層が実際には12%だった、80%と置いた層は75%だった、という数字が出ます。ここで重みを直せば、翌期の見込みは実績に近づきます。入力が数字の精度に効いていると分かれば、更新は続きます。
なお、この突き合わせは案件表と売上データを取引先で結合して行います。同じ会社が「(株)○○」「株式会社○○」「○○(本社)」と別々に登録されていると結合できません。着手前に取引先別の売上を出したら合計が合わないで扱った名寄せを済ませておくと、後戻りが減ります。
えらびの道では、業務システムをオーダーメイドで開発しています。卸売の受発注・請求、出張販売の管理、介護のシフト管理、ECサイトなどを手がけてきました。今回のテーマでいえば、見積書の発行をそのまま案件登録につなげる仕組み、確度を上げるときに根拠の事実の入力を求める画面、停滞案件を自動で保留に落とす処理、月別の加重見込みを実績と並べて出すレポートといった部分が実装の範囲です。データの可視化やレポートの自動化から、機械学習による予測やリアルタイムなデータ収集基盤まで対応しています。小さく作って動かしながら育てる進め方をとっていますので、まずは見積書の番号を案件番号として揃えるところだけから始めることもできます。
案件表と売上見込みの整備まで、えらびの道でお手伝いできること
合同会社えらびの道は、中小企業向けのシステム受託開発と、データ活用・DXの支援を行っています。卸売の受発注と請求、介護のシフト管理、出張販売の管理、EC・決済、業務データの収集と予測基盤といった、現場で毎日動く仕組みを作ってきました。記事に書いたことは、そうした案件の中で実際に手を動かしながら整理してきた内容です。
御社の商談の進み方に合わせて、案件表と見込みの仕組みを作るところからお手伝いできます。確度の段階を相手側の事実で定義し直すこと、失注と保留の閉じ方を入力欄の形に落とすこと、動きの止まった案件を自動で保留へ落とす仕組みを組むこと、受注月と売上計上月を分けて月別に積み上げること。既にお使いのExcelやスプレッドシート、SFAをそのまま活かす形も含めて検討します。
進め方としては、全部を一度に置き換えることはしません。えらびの道では、止まると困る1業務から先に動かし、残りは様子を見ながら移していきます。案件表であれば、まず確度の定義と更新のきっかけだけを決めて数か月回し、数字が読めるようになってから帳票や連携に手を広げる、という順番です。
打ち合わせから開発まで、同じ人間が担当します。オンラインで30分ほど、費用はかかりませんので、いまの案件表を画面共有で見せていただきながら、どこから手を付けるとよさそうかをご一緒に整理するところから始めていただければと思います。
よくある質問
案件管理は専用のツールを入れないと始められませんか?
始められます。件数が月に数十件までであれば、表計算ソフトでも運用できます。必要なのはツールよりも、確度の定義、失注と保留の閉じ方、更新のきっかけの3つを先に決めておくことです。決めないままツールを入れると、入力欄が増えるだけで数字は変わりません。
受注確度のパーセントは何を基準に決めればいいですか?
最初は30%、50%、80%といった仮の数字で構いません。3か月から6か月ほど運用したあと、その段階まで進んだ案件が実際に何%受注できたかを集計して置き換えます。他社の平均値を借りてくるよりも、自社の過去の実績から出したほうが見込みは実態に近づきます。
営業担当が案件表を更新してくれない場合はどうすればいいですか?
入力の手間を減らすことと、入力しないと困る状態を作ることの両方が要ります。見積書を発行したら案件が自動で立つようにすれば入力は減ります。あわせて、案件表に載っていない案件は見込みにも会議の議題にも上げない運用にすると、更新は続きやすくなります。
この記事は、生成AIで下書きを作成し、実務経験にもとづいて内容を確認・編集したうえで公開しています。制度・金額・要件は年度や状況によって変わるため、実際のご判断の前に公式の窓口でご確認ください。
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