
「機械が足りない」と言われて測ったら、成形機の稼働率は5割台でした|大分の樹脂成形会社が設備投資の前に、古い成形機へ後付けした稼働監視で止まる理由を数えた経緯
この記事の事例は、実際にいただくご相談をもとにした想定ケースです。特定の企業を指すものではありません。
「機械が足りない」の根拠は、納期が詰まった週の記憶でした
大分県内で、自動車部品と住宅設備部品の射出成形をしている会社を想定します。成形機は18台あります。そのうち半分は20年以上前の機種で、外部へデータを出す口を持っていません。来年度の設備投資では、製造部から「成形機を2台増やしたい」という案が出ていました。
根拠を尋ねると、「先月も夜勤で回した」「納期を延ばしてもらった」という話が返ってきます。どの機械が1日に何時間動いていたかの記録はありませんでした。日報には生産数が書かれていますが、止まっていた時間とその理由は書かれていません。1台で千万円を超える投資を決める前に、まず2か月だけ、止まっている時間を数えることにしました。
信号灯の点灯から、動いているか止まっているかだけを取ります
古い成形機の制御盤からデータを取ろうとすると、機種ごとに改造が要ります。費用も期間も読めません。そこで、各機に付いている積層信号灯へ後付けの監視ユニットを付け、緑・黄・赤の点灯を1分ごとに記録しました。機器は1台あたり数万円で、配線は信号灯の根元だけで済みます。
計測の前に、色の意味を揃えました。同じ黄色が、ある機械では「材料切れ」を、別の機械では「型開き中」を表していたためです。緑を自動運転中、黄を停止中、赤を異常停止と決め、意味が違っていた3台は点灯の設定を直してから計測を始めました。
止まった時間には、現場の言葉で理由を付けてもらいます
信号灯から分かるのは、止まった時刻と長さだけです。理由は人が付けるしかありません。黄か赤が10分を超えて続くと、成形機の横のタブレットに理由の選択画面が出るようにしました。選択肢は班長と相談して、次のように絞りました。
停止理由コード(10分以上止まったときに入力します)
D1 金型交換・段取り替え
D2 生産指示なし(割り当てる仕事がありません)
D3 材料待ち・乾燥待ち
D4 成形不良・条件調整(金型の温調待ちもここに含めます)
D5 取り出し・検査の人待ち
D6 故障・修理
D7 計画停止(休憩・清掃・定期点検)
D9 その他(選んだ人がメモを残します)
※10分未満の停止は理由を問わず、集計では D0 として扱います
最初の週は「その他」が3割を超えました。メモを読み、「金型の温調待ち」をD4に含めると決めてからは、5%を下回るようになりました。
機械ごとに並べ直すと、足りないのは大型機だけでした
7〜8月の2か月分を、次の式で集計しました。分母は2交代16時間から計画停止を除いた時間にしています。
-- 機械ごと・状態ごとに、計画時間に占める割合を出します
SELECT
l.machine_no,
m.clamp_force_t,
CASE WHEN l.state = 'run' THEN 'RUN'
ELSE COALESCE(l.reason_code, 'D0') END AS status,
COUNT(*) AS minutes,
ROUND(100.0 * COUNT(*)
/ SUM(COUNT(*)) OVER (PARTITION BY l.machine_no), 1) AS pct_of_planned
FROM status_log l
JOIN machines m ON m.machine_no = l.machine_no
WHERE l.logged_at >= '2026-07-01'
AND l.logged_at < '2026-09-01'
AND COALESCE(l.reason_code, '') <> 'D7' -- 計画停止は分母から外します
GROUP BY l.machine_no, m.clamp_force_t, status
ORDER BY m.clamp_force_t DESC, l.machine_no, status;
18台全体の稼働率は54%でした。止まっていた46%の内訳は次のとおりです(計画時間は月あたり約6,048時間です)。
| 停止理由 | 18台合計の停止時間(月あたり) | 計画時間に占める割合 | 減らす担当 |
|---|---|---|---|
| 金型交換・段取り替え | 約847時間 | 14% | 成形担当と金型担当 |
| 生産指示なし | 約665時間 | 11% | 生産管理 |
| 成形不良・条件調整 | 約423時間 | 7% | 成形担当 |
| 材料待ち・乾燥待ち | 約302時間 | 5% | 資材担当 |
| 取り出し・検査の人待ち | 約302時間 | 5% | 製造課長 |
| 故障・修理 | 約121時間 | 2% | 保全担当 |
| 10分未満の停止 | 約121時間 | 2% | 成形担当 |
機械ごとに見ると、型締力350トン級の4台は82%動いていました。一方で、100トン級以下の10台は41%でした。「生産指示なし」の大半はこの小型機で起きていました。大型機でしか成形できない品番が詰まり、小型機は仕事を待っていたことになります。結果として、投資案は「成形機2台の増設」から「350トン級1台の増設と、段取り替えを短くするための金型予熱設備」に組み替えて、来年度予算に載せることになりました。どの受注がどの機械の前で待っているかまで追いたい場合は、受注した仕事がいまどの工程にあるかを取る範囲の考え方と組み合わせます。
つまずきやすいのは、稼働率の分母と「動いているのに遅い」時間です
一番もめやすいのは分母です。24時間を分母にすると、同じデータでも稼働率は約36%になります。製造部は「夜は人がいないのだから低くて当然」と受け取り、経営側は「3分の1しか動いていない」と受け取ります。計画停止を除いた分母を先に決めて、表の上に書いておくのが安全です。
もう一つは、緑のまま遅くなっている時間です。サイクルタイムが標準より延びていても、信号灯では「稼働中」のままになります。5割台という数字は時間だけを見たもので、速度の落ちは含まれていません。型開きの信号からショット数を数えられる機械は、次の段階で標準サイクルと比べることにしました。
また、「人待ち」の5%を作業者の怠慢として扱うと、翌月から理由の入力が「その他」に逃げていきます。数字は人ではなく配置と段取りを直すために使うものだと、計測の前に伝えておくことが欠かせません。集計を作っても見られなくなる経緯は、経営ダッシュボードを6枚へ絞り直した記事でも書いています。
えらびの道では、卸売の受発注・請求、出張販売の管理、介護のシフト管理、ECサイトなどの業務システムをオーダーメイドで開発しています。データの可視化やレポートの自動化から、機械学習による予測、リアルタイムにデータを集める基盤まで対応しています。稼働監視であれば、後付けの機器から届く点灯データの受け口、停止理由を入力するタブレット画面、機械別・理由別の集計表を、まず数台分だけ作って動かし、現場の選択肢を直しながら全台へ広げていく形でお手伝いできます。
設備投資の前に稼働を数えるところから、えらびの道でお手伝いできること
合同会社えらびの道は、中小企業向けのシステム受託開発と、データ活用・DX支援を本業にしている会社です。卸売の受発注・請求、介護のシフト管理、出張販売の管理、EC・決済などの仕組みを、実際に作って動かしてきました。業務データを集めて予測に使う基盤づくりにも携わっています。
成形機の稼働監視であれば、信号灯の点灯記録を受け取る仕組み、停止理由を入力するタブレットの画面、機械ごとの稼働率を並べる集計を、御社の機械の構成や現場の運用に合わせて作ります。停止理由コードの選択肢を班長の方と絞る作業や、稼働率の分母をどう決めるかの整理からご一緒できます。
進め方は、全部を一度に置き換えるのではなく、判断に関わる数台から記録を始め、残りは様子を見ながら広げていく形です。打ち合わせから開発まで同じ人間が担当するため、現場で伺った話を伝言を挟まずに画面や集計へ反映できます。
「設備投資を決める前に、まず止まっている時間を数えてみたい」という段階のご相談も歓迎しています。オンラインで30分、費用はかかりませんので、えらびの道までお気軽にお声がけください。
よくある質問
古い成形機でも稼働監視はできますか?
制御盤から通信でデータを取れない機種でも、積層信号灯の点灯を後付けの機器で読み取れば、動いているか止まっているかは記録できます。ただし、止まった理由は分からないため、一定時間以上の停止で作業者に理由を選んでもらう画面を併せて用意する必要があります。
成形機の稼働率がどのくらいなら設備を増やすべきですか?
一律の基準はありません。全体の稼働率が低くても、特定の型締力の機械だけが詰まっていることがあります。機械ごとの稼働率と、止まっている理由の内訳を見て、段取りや生産計画で減らせる停止を差し引いても足りない機械だけを増設の対象にするのが確実です。
稼働監視を入れるにはどのくらいの期間がかかりますか?
信号灯への機器の取り付け自体は1台あたり短時間で済みます。時間がかかるのは、色の意味を機械ごとに揃えることと、停止理由の選択肢を現場と決めることです。選択肢は最初の数週間で入力内容を見ながら直すことが多く、判断に使える数字が揃うまで2か月ほど見ておくと安心です。
この記事は、生成AIで下書きを作成し、実務経験にもとづいて内容を確認・編集したうえで公開しています。制度・金額・要件は年度や状況によって変わるため、実際のご判断の前に公式の窓口でご確認ください。
あわせて読みたい
似た部品を前回いくらで見積もったか探せない|大分の金属加工会社が、見積担当の定年までの半年で過去の見積と実績工数を図面番号から引けるようにした手順
大分の金属加工会社を想定し、見積担当が定年を迎えるまでの半年で、過去の見積書と作業日報の実績工数を図面番号でつなぐ手順をまとめました。似た部品の前回価格を探す方法と、つまずきやすい点も説明します。
上期の予実差異が毎月「季節要因です」で終わる|来年度予算を12等分・前年同月比・得意先別積み上げのどれで配るかの判断基準
年間予算を12で割ると、繁忙月と閑散月の差がそのまま「季節要因」の差異になります。前年同月比で配る方法、得意先ごとに積み上げる方法と比べ、売上の波と得意先の偏りから来年度予算の配り方を決める基準を整理します。
経営ダッシュボードを作ったのに3か月で誰も開かなくなった|会計と合わない売上、月1回の更新、30枚のグラフを下期の経営会議に向けて6枚へ絞り直した経緯
経営ダッシュボードが3か月で使われなくなる原因は、会計と合わない売上、月1回の更新、何も決まらないグラフにあります。想定ケースをもとに、30枚を6枚に絞り直すまでの失敗と防ぎ方を整理します。

