月次の数字が出るのは翌月20日過ぎ|上期末の判断に間に合わせるため、遅れを待ち時間と作業時間に分けた話

月次決算業務システム原価管理

この記事の事例は、実際にいただくご相談をもとにした想定ケースです。特定の企業を指すものではありません。

「7月の数字が出るのは、8月22日です」

大分県内で産業機械の部品加工を受託しているA社です。従業員46名、本社と第二工場の2拠点、年商9.2億円、3月決算です。7月上旬に社長が経理へ確認したときの返事がこれでした。

上期は4月から9月末までです。9月中に着地を見て手を打ちたいのに、8月の数字が揃うのは9月20日過ぎになります。材料が出そろったときには、外注の絞り込みも受注の調整も間に合いません。

「会計ソフトが古いからでは」という声が出ました。ちょうど基幹システムの入れ替え提案も受けていました。ただ、原因をシステムだと決める前に、7月分の締めを1回だけ測ってみることにしました。

35日のうち、実際に手を動かしていたのは10人日

実作業と全体日数の差

工程ごとに、次の項目だけを記録しました。

工程名 / 担当 / 実作業(人日) / 前工程の完了から着手までの空き日数 / 待っている相手
例)工数集計 / 製造管理 / 3.0 / 4 / 各班長の日報提出

出てきたのが下の表です。

工程 担当 実作業 待ち日数 完了日
出荷伝票の回収・売上計上 業務課 2.0人日 3日 8/6
外注費・仕入の請求書受領 購買 1.0人日 12日 8/15
工数の集計(Excel) 製造管理 3.0人日 4日 8/17
原価配賦・仕掛品の評価 経理 2.0人日 1日 8/19
会計入力・試算表の出力 経理 2.0人日 1日 8/22

実作業は合計10人日です。対して7月末から8月22日までは22日あります。差の大半は「誰かの入力や書類を待っている時間」でした。

システムを入れ替えて短くなるのは、この表の実作業の列だけです。仮に半分になっても全体では4日しか縮まりません。先に触るべきは待ちのほうでした。Excelでの集計が残っていること自体が問題ではなく、Excelに戻ってしまう業務の作られ方と同じで、前後のつながりが切れていることが本体でした。

あわせて読みたい業務システムが定着せず現場がExcelに戻る4つの理由|導入前に見落とされること

外注先12社のうち、4社の請求書が15日以降に届く

待ち12日を4日にした手順

待ち12日の正体は、外注費でした。12社のうち4社が「月末締め・翌月15日発行」で、うち1社は郵送のため到着が18日です。ここが動かない限り、原価は確定しません。

A社がやったのは3つです。①4社に「翌月5日までに金額の速報をメールで」と依頼し、3社が応じました。②残る1社は前月実績で仮計上し、翌月に差額精算する運用にしました。③紙の日報を月末にまとめて提出していた工数入力を、タブレットからの日次入力に変えました。集計は3.0人日から0.5人日になりました。

交渉と運用変更だけで、待ちは12日から4日に縮みました。費用はタブレット6台と入力画面の作り込みだけで済んでいます。

確定を待たずに、速報値を先に出す

速報値と確定値の使い分け

もう1つ変えたのが、「確定した数字しか出さない」という前提でした。売上は出荷実績が確定した時点でほぼ見えています。請求書の締めを待つ必要はありません。

-- 当月の売上速報(請求確定を待たず、出荷実績から集計)
SELECT
  c.segment                        AS 得意先区分,
  SUM(s.qty * s.unit_price)        AS 売上速報,
  COUNT(DISTINCT s.order_id)       AS 受注件数
FROM shipments s
JOIN customers c ON c.id = s.customer_id
WHERE s.shipped_at >= '2026-08-01'
  AND s.shipped_at <  '2026-09-01'
  AND s.status IN ('shipped', 'delivered')
GROUP BY c.segment
ORDER BY 売上速報 DESC;

過去6か月分で速報と確定値を突き合わせたところ、差は平均0.8%、最大でも1.9%でした。経営判断にはこの精度で足ります。速報は傾向を見るため、確定は申告と対外提出のため、と用途を先に分けたことで「どちらが正しいのか」という議論も起きませんでした。

労務費も同じ考え方で、勤怠データから先に概算を出すようにしました。10月の最低賃金改定を前に人件費の増加額を試算するときも、この日次データがそのまま使えています。

あわせて読みたい10月の最低賃金改定で人件費はいくら増えるのか|Excelの勤怠集計では試算が合わない理由

9月11日に、上期の着地が見えた

早まった結果と残る課題

8月分は、9月4日に速報、9月11日に確定しました。以前より11日早くなりました。社長は9月中旬に上期の着地見込みを見て、下期の外注比率と設備の稼働計画を決めています。

ただし完全ではありません。仕掛品の評価だけは実地棚卸しの結果に依存するため、9月末締めの上期数字は10月に入らないと固まりません。ここは棚卸しで差異が出る前提をどう設計するかという別の課題として、下期に持ち越しました。

A社が入れ替えを保留した基幹システムは、いまも動いています。遅れの内訳が分かった今なら、次に投資すべきは会計ソフトではなく工数と出荷のデータをつなぐ部分だと説明できます。


えらびの道では、業務システムをオーダーメイドで開発しています。卸売の受発注・請求、出張販売の管理、介護のシフト管理、ECサイトなどを手がけてきました。今回のようなテーマでは、工程ごとのリードタイムを測る段階の同席、日次入力の画面づくり、出荷や勤怠のデータから速報値を自動集計するレポートの整備までを担当できます。データの可視化やレポートの自動化に加えて、実績データを使った着地予測やリアルタイムなデータ収集基盤にも対応しています。最初から全社の月次を作り替えるのではなく、遅れの大きい1工程だけを小さく作って動かし、そこから広げる進め方をとっています。

月次の数字を早く出すために、えらびの道でお手伝いできること

合同会社えらびの道は、中小企業向けのシステム受託開発と、データ活用・DXのご支援をしています。卸売の受発注や請求、介護のシフト管理、出張販売の管理、EC・決済、業務データを集めて予測に使う基盤づくりなどを手がけてきました。実際に手を動かして作る立場から、現場で起きていることをお伝えしています。

この記事で扱った月次締めの遅れについても、御社の実情に合わせたかたちでお手伝いできます。工程ごとに実作業と待ち時間を分けて記録する仕組み、紙の日報に代わる工数の日次入力、出荷実績からの売上速報の集計まで、いまの締めのやり方に合わせて作ります。既存の会計ソフトや基幹システムは残したまま、その手前の入力と集計だけを整えるかたちも取れます。

進め方としては、全部を一度に置き換えることはしません。止まると困る1業務から動かし、残りは様子を見ながら移していきます。打ち合わせから開発まで同じ人間が担当しますので、現場で伺った話がそのまま設計に入ります。

まずは、御社の締めがどこで止まっているかを伺うところからで構いません。えらびの道ではオンラインで30分ほどのご相談をお受けしており、費用はかかりません。

よくある質問

月次決算は何日くらいで締めるのが普通ですか?

中小企業では翌月10日前後に出せていれば早いほうで、20日を過ぎると経営判断には使いにくくなります。ただし日数そのものより、遅れの内訳が待ち時間なのか実作業なのかを把握することが先です。まず1か月分を工程ごとに測ってみてください。

会計システムを入れ替えれば月次決算は早くなりますか?

早くなる部分はありますが、入れ替えで縮むのは入力や集計といった実作業の時間だけです。請求書の到着待ちや日報の提出待ちが日数の大半を占めているなら、効果は限定的になります。待ちの内訳を測ってから、投資先を決めることをおすすめします。

速報値と確定値がずれると現場が混乱しませんか?

用途を先に分けておけば混乱しません。速報は傾向をつかむため、確定は申告や対外提出のためと決め、資料にもどちらかを明記します。あわせて許容できる差を何%までとするか社内で合意しておくと、速報の信頼度を保ったまま運用できます。

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097-507-3082

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この記事は、生成AIで下書きを作成し、実務経験にもとづいて内容を確認・編集したうえで公開しています。制度・金額・要件は年度や状況によって変わるため、実際のご判断の前に公式の窓口でご確認ください。

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