バラバラに増えたクラウドサービスを1つにまとめるべきか|中小企業の「システムが多すぎる」問題

業務システムクラウドサービスシステム統合

勤怠、給与、会計、請求書、経費精算、ファイル共有。それぞれ別の会社のクラウドサービスを使っていて、合計で7〜10契約になっている。中小企業ではよくある状態です。1本あたり月3千円〜1万円程度なので、コストが理由で問題になることはあまりありません。困りはじめるのは、年末調整と法改正の準備が重なる秋口です。

増えたのは契約ではなく、管理義務の窓口

契約数と確認窓口の関係

税務調査や労働基準監督署の調査で聞かれるのは、どのサービスを使っているかではありません。定められた要件を満たして保存されているか、です。

サービスが分かれていても、義務が分割されるわけではない。請求書がA社、領収書がB社、メール添付がそのまま受信箱、という状態でも、電子取引データとしては同じ扱いを受けます。サービスが1つ増えるたびに、要件を満たしていることを確認する窓口が1つ増える、と考えたほうが実態に近いです。

保存と管理の要件を1枚に並べる

根拠法ごとの保存期間

社内に散らばっているデータを、根拠法ごとに並べ直すと輪郭が見えます。

対象データ 主な根拠 保存期間の目安 サービスが分かれると起きること
注文書・請求書・領収書の電子データ 電子帳簿保存法 原則7年(欠損金の繰越がある事業年度は最長10年) 請求・経費・メールに分散し、日付や金額や取引先での検索が横断できない
帳簿・決算関係書類 法人税法 原則7年 会計サービスを解約した後にデータを取り出せない
適格請求書の写し 消費税法(インボイス制度) 交付日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日より7年 発行がサービスとExcelの2系統になり、登録番号の記載漏れが片方だけ起きる
マイナンバー(特定個人情報) 番号法 所管法令の保存期間経過後は速やかに廃棄・削除 年末調整用と給与用の両方に登録され、退職者分の削除が片方だけ残る
賃金台帳・労働者名簿・出勤簿 労働基準法 5年(当分の間3年の経過措置) 勤怠と給与が別サービスで、遡って修正した内容が片方にしか反映されない

保存期間や検索要件は改正で変わります。上表は目安として使い、実際の運用は国税庁・厚生労働省が公開している最新の資料で確認してください。

負担は「サービスの数」ではなく「境界の数」で増える

判断材料になるのは契約本数ではなく、データが人の手を経由して渡っている箇所と、同じマスタが何か所にあるかです。

社員名簿が勤怠・給与・会計・グループウェアの4か所にあるとします。入社1人につき4回の登録、退職1人につき4回の削除確認。年間の入退社が20人なら160回の操作で、しかもこれは誰の担当業務としても定義されていないことが多い。抜けるのは決まって使用頻度の低い1か所です。

勤怠と給与が別サービスの場合、賃金の遡及修正や割増賃金の再計算も片方に取り残されます。10月の最低賃金改定で人件費はいくら増えるのかで触れた試算が合わない原因の多くは、この境界にあります。

あわせて読みたい10月の最低賃金改定で人件費はいくら増えるのか|Excelの勤怠集計では試算が合わない理由

「まとめる」には統合・連携・集約の3つがある

統合・連携・集約の違い

「1つにする」と言うとき、実際には別々のことを指しています。

やり方 内容 向いている状況 注意点
統合 全部入りのサービスや自社システムに置き換える 業務が標準的で拠点が少ない 一番弱い機能に全体が引きずられる
連携 各サービスは残し、マスタと仕訳だけ自動で流す どれか1つが業務の核で動かせない 連携先の仕様変更に追随が必要
集約 入力先は変えず、閲覧と集計だけ1か所に集める 現場の操作を変えたくない 元データの修正はサービス側で行う

全部を1本に寄せる統合は、選択肢としては目立ちますが最も失敗しやすい形でもあります。今まで使えていた機能が新システムで劣化すると、現場は元のやり方に戻ります。業務システムが定着せず現場がExcelに戻る4つの理由で書いたとおりです。現実的な着地は、マスタだけ統合して保存は集約する、という組み合わせになることが多い。

あわせて読みたい業務システムが定着せず現場がExcelに戻る4つの理由|導入前に見落とされること

今動くか、来年でいいかの分かれ目

棚卸から判断までの手順

判断の前に、契約している全サービスを1行ずつ書き出します。この項目が埋まらないサービスが、そのままリスクの所在です。

サービス名,用途,月額,契約者,管理者,保持データ,法定保存の対象,解約時のエクスポート形式,社員マスタ,他サービスへの転記
勤怠X,打刻・集計,8800,総務,佐藤,出勤簿・打刻ログ,労基法,CSV,あり,給与へ手入力
給与Y,給与計算・年末調整,12000,経理,田中,賃金台帳・マイナンバー,労基法/番号法,PDF+CSV,あり,会計へCSV

電子取引データを自社のストレージに集約する場合は、検索要件を満たすためにファイル名の規則を先に決めます。

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(取引年月日_取引先名_取引金額)

先送りできるのは、各サービスが単独で保存要件を満たしていて、重複するマスタが2か所以内に収まっているときです。逆に、解約後のデータ取得手段が確認できていない、退職者のマイナンバー削除が手作業、来年4月施行の改正で仕様変更が確定している、のどれかに当てはまるなら、判断を年明けに回すと着手が間に合いません。この時期の逆算については来年4月稼働の業務システムが8月着手でギリギリな理由に整理しています。

えらびの道は、業務システムをオーダーメイドで開発しています。卸売の受発注・請求、出張販売の管理、介護のシフト管理、ECサイトなどの実績があります。今回のテーマでいえば、既存のクラウドサービスを残したまま社員・取引先マスタを1か所に寄せる仕組み、各サービスからデータを集めて保存要件を満たす形で保管・検索できるようにする基盤、勤怠と給与のように分かれた数字を突き合わせるレポートの自動化などが具体的な守備範囲です。データの可視化から、機械学習による予測やリアルタイムなデータ収集基盤まで対応しています。全部を一度に置き換えず、影響の小さい範囲から小さく作って動かしながら育てる進め方をとっています。

サービスの整理と連携まで、えらびの道でお手伝いできること

合同会社えらびの道は、中小企業向けのシステム受託開発と、データ活用・DX支援を行っています。卸売の受発注と請求、介護のシフト管理、出張販売の管理、EC・決済、業務データを集めて予測に使う基盤まで、実際に現場で動くものを作ってきました。制度の解説だけでなく、運用が続く形に組み立てることを重視しています。

この記事で触れた、勤怠・給与・会計・請求が別々のサービスに分かれている状態も、御社の業務に合わせて整理をお手伝いできます。社員名簿のような同じマスタが何か所にあるかを洗い出し、統合・連携・集約のどれが向くかを一緒に判断します。連携が妥当であれば、マスタの受け渡しだけを自動で流す仕組みを作ることもできます。

進め方としては、全部を一度に置き換えることはしません。止まると困る1業務から動かし、残りは様子を見ながら移していきます。今まで使えていた機能が劣化して、現場が元のやり方に戻ってしまう事態を避けるためです。

打ち合わせから開発まで同じ人間が担当しますので、途中で話が伝わらなくなることもありません。まずはオンラインで30分ほど、現状をお聞かせください。費用はかかりません。

よくある質問

クラウドサービスは何個までなら管理できますか?

個数そのものに上限はありません。判断の目安になるのは、同じ社員名簿や取引先マスタが何か所に重複しているかと、人が手で転記している箇所の数です。重複が2か所以内で転記が自動化されていれば、契約が10本あっても運用は回ります。

業務システムを1つにまとめるとコストは下がりますか?

サービスの月額合計は下がることがありますが、統合には移行と再教育の費用がかかるため、短期で回収できるとは限りません。効果が出やすいのは金額よりも、二重入力の削減と、退職者データの削除漏れのような管理リスクの解消です。

電子帳簿保存法に対応するには専用のシステムが必要ですか?

必ずしも必要ではありません。取引年月日・取引先・取引金額で検索できる状態が保てれば、ファイル名の規則と索引簿でも対応できます。ただし件数が月に数百件を超えると手作業では維持しづらく、要件も改正で変わるため最新の資料での確認が前提になります。

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097-507-3082

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この記事は、生成AIで下書きを作成し、実務経験にもとづいて内容を確認・編集したうえで公開しています。制度・金額・要件は年度や状況によって変わるため、実際のご判断の前に公式の窓口でご確認ください。

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