Accessの販売管理が共有フォルダで月に1度壊れる|Office 2021のサポートが切れる10月13日を前に、Microsoft 365版で延命するかWebへ作り直すかを決めた卸売会社の3か月

Access販売管理サポート終了業務システム

この記事の事例は、実際にいただくご相談をもとにした想定ケースです。特定の企業を指すものではありません。

月に1度、朝の受注入力が「認識できないデータベース形式です」で止まっていました

ファイル破損で失ったもの

大分市で住宅設備機器を卸しているA社(従業員24人)では、2013年に当時の総務課長がAccessで作った販売管理を使い続けています。受注・出荷・請求・在庫・仕入のデータは、すべて社内NASに置いた1本のファイル(1.3GB)に入っています。多い日には9人がこのファイルを同時に開いていました。

2026年に入ってから、このファイルがほぼ月に1度開けなくなりました。「最適化/修復」で戻る日は40分ほどで済みます。戻らない日は前夜のバックアップから復元し、午前中の受注伝票を打ち直します。5月は2回壊れ、打ち直した伝票は合わせて120件ほどになりました。作った課長はすでに退職しており、社内で中身を読める人はいません。辞めた社員が作ったツールを引き継ぐときと同じ状況です。

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10月13日に止まるのは更新で、Accessが開かなくなるわけではありません

サポート終了で起きること

6月、A社の社長は取引先から「Office 2021のサポートが10月で切れる」と聞き、買い替えれば壊れなくなるのではないかと考えました。Microsoftの案内によると、Office 2021のサポートは2026年10月13日に終わり、延長も有償のセキュリティ更新もありません。ただし、終了後もアプリ自体は起動します。

調べるうちに、担当者はサポート終了と毎月の破損が別の問題だと気づきました。壊れる主な原因は、1つのファイルを複数のPCが共有フォルダ越しに同時に書き換えていることにあります。Microsoft 365版のAccessに替えても、ファイルの置き方が同じなら壊れ方は変わりません。

7月に、Accessの中身を数えるところから始めました

作った数と使われていた数

延命するにしても作り直すにしても、中に何が入っているか分からないままでは見積もりを取れません。そこで、次のVBAでオブジェクトの一覧を書き出しました。

Sub ListObjects()
    Dim obj As AccessObject
    For Each obj In CurrentData.AllTables
        If Left(obj.Name, 4) <> "MSys" Then Debug.Print "テーブル", obj.Name, obj.DateModified
    Next
    For Each obj In CurrentData.AllQueries
        If Left(obj.Name, 1) <> "~" Then Debug.Print "クエリ", obj.Name, obj.DateModified
    Next
    For Each obj In CurrentProject.AllForms
        Debug.Print "フォーム", obj.Name, obj.DateModified
    Next
    For Each obj In CurrentProject.AllReports
        Debug.Print "レポート", obj.Name, obj.DateModified
    Next
End Sub

一覧にはテーブル31、クエリ186、フォーム54、レポート42が並びました。この一覧を2週間各担当者に回し、使ったものに印を付けてもらいました。実際に使われていたのは、クエリ48、フォーム17、レポート15でした。さらに、入れ替える予定のPCは64ビット版のOfficeだったため、Declare文を使う2つのモジュールがそのままでは動かないことも分かりました。

8月に、3つの選択肢を「破損が減るか」で比べました

選択肢 この会社での見積もり 破損が減る見込み 向いている場合
Microsoft 365版のAccessへ入れ替えるだけ ライセンス費のみ 変わらない見込み 同時に使う人が少なく、壊れた経験がない場合
フォーム側とデータ側に分け、データ側だけを共有する 改修費 約40万円 減る見込み 1〜2年のうちに作り直す予定がある場合
Webの業務システムへ作り直す 約480万円・約6か月 ファイル共有による破損はなくなる見込み 社外や倉庫からも入力したい場合

入れ替えるだけなら費用は小さく済みますが、毎月の打ち直しは残ります。作り直せば破損の心配はなくなります。ただし、受注から仕入まで一度に移そうとすると、来年春の繁忙期に間に合いません。

9月に、分割して延命しながら受注と請求から作り直すと決めました

延命と作り直しの進め方

A社は2つの方法を組み合わせました。まず10月13日までに9台をMicrosoft 365版へ入れ替え、同時にAccessをフォーム側とデータ側に分けます。フォーム側は各PCに置き、共有フォルダにはデータ側だけを残します。無線LANにつないだノートPCからは開かないという決まりも作りました。

同時に、よく使われている受注・出荷・請求の3業務をWebの業務システムへ作り直し、2027年4月の稼働を目指します。在庫と仕入は第2期に回し、それまではAccessで管理します。過去のデータは移行費が膨らみやすいため、直近3期分だけを移します。旧システムとの並行期間は1か月と見込んでいます。

えらびの道は、卸売の受発注・請求、出張販売の管理、介護のシフト管理、ECサイトなどの業務システムをオーダーメイドで開発しています。Accessからの作り直しでは、オブジェクトの一覧から実際に使われている画面と帳票を洗い出し、先に移す業務と後に回す業務を分けるところから一緒に進められます。作り直しが終わるまで使うAccessの分割や、過去データをどこまで移すかの整理にも対応しています。稼働後は売上や在庫の可視化、レポートの自動化まで、小さく作って動かしながら育てる進め方をとっています。

Accessを延命するか作り直すかの判断まで、えらびの道でお手伝いできること

合同会社えらびの道は、中小企業向けのシステム受託開発と、データ活用・DXの支援をしている会社です。卸売の受発注・請求や介護のシフト管理、EC・決済などの仕組みを、実際に作って動かしてきました。

Accessの販売管理なら、テーブルやクエリ、フォーム、レポートの数を数えるところから始めます。そのうえで、実際に使われている機能を洗い出します。受注入力や出荷、請求書の発行といった御社の業務に合わせて、Microsoft 365版で延命する範囲とWebへ作り直す範囲を一緒に決めます。

全部を一度に置き換えることはしません。受注入力のように止まると困る業務を1つ選んで先に新しい仕組みへ移し、残りは様子を見ながら順に移していきます。打ち合わせから開発まで同じ人間が担当するので、現場で聞いた事情をそのまま作る側に持ち込めます。

Office 2021のサポート終了を前に、どこから手を付ければよいか迷っている段階でもかまいません。えらびの道ではオンラインで30分のご相談を受けており、費用はかかりません。

よくある質問

Office 2021のサポートが終わったらAccessは使えなくなりますか?

10月13日を過ぎてもAccess 2021は起動し、これまでのファイルも開けます。止まるのはセキュリティ更新と不具合の修正です。ただし、更新が来ないOfficeで業務を続けることになるため、入れ替えるか、作り直すまでの期間を区切って使うかを決めておく必要があります。

共有フォルダに置いたAccessのファイルが壊れるのはなぜですか?

1つのファイルを複数のPCがネットワーク越しに同時に書き換えていると、通信が途切れたり書き込み中のPCが止まったりしたときに、中身の整合性が崩れやすくなります。フォームとデータを分けたり無線LANから使わないようにしたりすれば頻度は下げられますが、ファイルを共有する仕組みのままではゼロにはなりません。

AccessからWebの業務システムへ作り直すにはどのくらいの期間がかかりますか?

中身の量と、移す業務の範囲によって大きく変わります。この記事の想定ケースでは、実際に使われていたフォーム17とレポート15に絞り、受注・出荷・請求の3業務から始めて約6か月を見込みました。先に使われているオブジェクトを数えておくと、見積もりの幅が狭まります。

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