
開発会社を変えたいのにソースコードも仕様書も手元にない|業務システムのベンダー乗り換え前に確認する契約と資産
「今のシステムの中身が分からないので、見積もれません」
10年動いている受発注システムがある。作った会社の担当者はもう辞めていて、小さな修正を頼んでも返事は2か月後。別の会社に相談したら、最初の打ち合わせで「ソースコードはお持ちですか」と聞かれて止まる。
手元にあるのは当時の提案書のPDFと、画面の操作を書いた社内マニュアルだけ。仕様書は納品された記憶があるが、どのフォルダにあるか分からない。サーバーは事務所の隅にあるのに、ログインできるのは前のベンダーだけ。
この状態でも乗り換えはできます。ただし順番があります。最初にやることは新しい会社を探すことではなく、今の契約で何が自社のものになっているかを確定させることです。ここを飛ばして相見積もりを取ると、後から「そのデータはお渡しできません」と言われて全部やり直しになります。
契約書で最初に読むのは、著作権が誰にあるか
開発委託の契約書はたいてい10ページ前後です。全部を読み直す必要はなく、見る場所は決まっています。
| 確認すること | 契約書のどこを見るか | 定めがないと起きること |
|---|---|---|
| ソースコードの著作権 | 著作権の帰属、成果物の権利 | 権利はベンダー側に残り、開示の義務がない |
| 納品物の範囲 | 検収、納入物件の一覧 | 納品は実行環境のみでソースは対象外 |
| 保守契約の終了 | 契約期間、解約予告 | 3〜6か月前の予告が必要で即時に切れない |
| データの返還 | 契約終了時の措置 | 返還の形式(CSVかDB全体か)が決まらない |
| サーバー・ドメインの名義 | 別紙、運用範囲 | 名義がベンダーで、移管に同意が要る |
日本の開発委託では、特約がない限り著作権は制作した側に残ります。「代金を払ったのだからうちのもの」は通りません。逆に「著作権は甲に譲渡する」の一文があれば、引き渡しを求める根拠になります。まずこの一文の有無だけを探してください。
名義の確認も同時に進めます。退職者のアカウントが消えないまま残るのと同じで、誰の名前で契約されているかを一覧にしておかないと、切替当日に管理画面へ入れません。
現ベンダーへの照会は、感情を抜いて項目で送る
乗り換えの連絡は口頭ではなく文面にします。何を求めたかの記録が残り、相手も社内で判断しやすくなります。
件名: 現行システムの資産一覧のご確認について
現行の受発注システムについて、社内の資産整理を進めております。
下記につきご回答をお願いいたします。
1. 成果物の著作権の帰属(20XX年X月付 業務委託契約書 第X条の解釈)
2. ご提供いただける範囲と条件(有償/無償の別)
- ソースコード一式
- データベースの定義(テーブル定義書またはCREATE文)
- 稼働データのエクスポート(形式・想定件数)
- 外部連携の仕様(銀行入金データ、EDI、送信メール)
3. サーバー、ドメイン、SSL証明書の契約名義と更新月
4. 保守契約の終了に必要な予告期間
5. 上記にかかる費用と、ご回答をいただける時期
X月X日までにご回答いただけますと助かります。
「渡してもらえますか」ではなく「有償か無償か」と聞くのが要点です。無償では出せないが有償なら出せる、という会社は珍しくありません。20〜50万円かかっても、作り直しよりは安く済みます。
回答を待つ間に、動いているものから仕様を起こす
ソースコードがなくても、稼働中の画面と帳票からは仕様の大半が取り出せます。やることは3つ。画面を1つずつ撮る。実際に出している帳票とCSVを1か月分そろえる。担当者に「この画面で何を入力し、次に何をするか」を話してもらい、そのまま書き取る。
書き取りは次の粒度でそろえると、新しい会社が見積もれる材料になります。
画面: 受注入力
入力項目: 得意先コード / 納品日 / 商品コード / 数量 / 単価 / 備考
自動計算: 単価は得意先別単価マスタから取得、なければ標準単価
チェック: 納品日が過去日なら警告、与信超過は登録不可
出力: 受注伝票PDF、ピッキングリスト(翌朝6時に一括印刷)
例外運用: 電話受注は仮登録で入れ、翌日に担当者が確定する
件数: 1日あたり約120件、月末は300件
効くのは最後の2行です。例外運用と件数は仕様書には書かれていないのに、作り直すと必ず問題になります。
抜け落ちるのは、画面に出てこない処理
移行で見落とされるのは、人が触らない部分です。毎晩2時に売上を集計して翌朝の一覧を作っているバッチは、誰も見ていないので存在ごと忘れられます。銀行の入金データ取込、取引先とのEDI、証明書の更新月も同じです。メールの送信設定も抜けます。送信元ドメインの認証設定を引き継がないと、切替の翌日から注文確認メールが相手の迷惑メールに入ります。
サーバーが事務所内にあるなら、置き場所ごと見直すかを同時に決めた方が結果的に安く済みます。この判断をする機会は、乗り換え以外ではなかなか来ません。
期間は保守的に見ます。ソースコードが手に入る場合で3〜4か月、手に入らず現行の動きを仕様として作り直す場合は6〜10か月。稼働日から逆算する考え方は乗り換えでも同じで、現行保守が切れる日を先に置き、そこから着手日を決めます。並行稼働の期間は1か月は取ってください。
自社で実装するときに手伝えること
えらびの道では、卸売の受発注・請求、出張販売の管理、介護のシフト管理、ECサイトなどの業務システムをオーダーメイドで開発しています。今回のテーマでいえば、稼働中の画面と帳票からの機能一覧の起こし直し、旧システムのデータ移行、夜間バッチや外部連携の洗い出しと再実装までが範囲です。データの可視化やレポートの自動化、機械学習による予測、リアルタイムなデータ収集基盤も扱っています。全部を一度に移さず、受注入力など日々止められない部分から動かして、並行稼働しながら移していく進め方をとっています。
ソースコードと仕様の引き継ぎまで、えらびの道でお手伝いできること
合同会社えらびの道は、中小企業向けのシステム受託開発と、データ活用・DX支援を行っています。卸売の受発注や請求、介護のシフト管理、出張販売の管理、EC・決済、業務データの収集と予測基盤といった領域で、実際に動くシステムを作ってきました。ベンダーの乗り換えについても、引き継ぐ側・引き継がれる側の両方の事情を現場で見ています。
この記事で扱った資産の棚卸しも、御社の状況に合わせてお手伝いできます。契約書のどこに著作権の定めがあるかの確認、現ベンダーへ送る照会状の項目づくり、稼働中の画面と帳票から仕様を書き起こす作業まで、受発注システムのように長く使われてきたものほど、外から見た整理が役に立ちます。
進め方としては、全部を一度に置き換えることはしません。止まると困る1業務から動かして、残りは様子を見ながら移していきます。旧システムを急に止めずに済むので、引き継ぎの材料が足りない段階でも着手できます。打ち合わせから開発まで同じ人間が担当するため、契約の話と技術の話が別々の窓口に分かれることもありません。
まずは現状をお聞かせください。契約書が見当たらない、どこから手をつければよいか分からない、という段階で構いません。えらびの道ではオンラインで30分ほどのご相談をお受けしており、費用はかかりません。
よくある質問
開発会社にソースコードの引き渡しを断られた場合、どうすればいいですか?
契約書に著作権の譲渡や納品物としての明記がなければ、法的に引き渡しを強制するのは難しいのが実情です。ただしデータのエクスポートや外部連携の仕様は交渉できることが多く、有償なら応じる会社もあります。断られた前提で、稼働中の画面と帳票から仕様を起こす準備を並行して進めてください。
仕様書がない状態でも、別の会社に見積もりを依頼できますか?
依頼できます。画面のスクリーンショット、実際に出している帳票とCSV、1日あたりの件数、電話受注などの例外運用をまとめれば見積もりの材料になります。この整理がないまま相談すると概算しか出ず、着手後に金額が動く原因になります。
業務システムのベンダー乗り換えにはどのくらい期間がかかりますか?
ソースコードとデータが引き継げる場合で3〜4か月、現行の動きを仕様として作り直す場合は6〜10か月が目安です。これに並行稼働の1か月を足します。現行の保守契約に3〜6か月の解約予告が必要なことも多いため、逆算して動き始める時期を決めてください。
この記事は、生成AIで下書きを作成し、実務経験にもとづいて内容を確認・編集したうえで公開しています。制度・金額・要件は年度や状況によって変わるため、実際のご判断の前に公式の窓口でご確認ください。
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