新しい販売管理が1月稼働に間に合わないと10月に言われた|旧システムの保守を12月末で解約済みの会社が、延期・機能の絞り込み・保守延長を選ぶときの4つの失敗

販売管理システム移行プロジェクト管理

この記事の事例は、実際にいただくご相談をもとにした想定ケースです。特定の企業を指すものではありません。

10月に入ってから、開発会社に「1月5日の稼働は難しいです。3月初めなら確実です」と言われたというご相談があります。旧システムの保守は、新システムへ切り替える前提で9月に12月末での解約を通知していました。打てる手は、稼働を延ばすか、機能を絞って1月に動かすか、旧システムの保守を延ばすかの3つです。どれを選んでも、判断の順番を誤ると年明けに請求書が出せなくなります。この場面でよく起きる失敗を4つ挙げます。

延期の日付を先に決めたあとで、保守の延長を断られます

保守会社への確認事項

稼働日を3月に決めてから保守会社に連絡すると、「12月末で担当者を外します」「延長は年単位でしか受けられません」と言われることがあります。原因は、保守の解約を総務や経理が受け持っていて、保守会社が開発プロジェクトの会議に出てこないことです。解約が受理された時点で、保守会社は翌年の体制を組み直しています。

防ぐには、延期の日付を決める前に保守会社へ確認します。保守費に何が含まれているかは保守費の線引きの記事で整理しています。延長の交渉でも、同じ区分で聞くと話が早く進みます。

保守会社への確認事項
・解約通知を取り下げられるか、月単位で延長できるか
・延長した場合の月額と、最短の契約期間はいくらか
・障害時の駆けつけ/電話対応/データ復旧のうち、どれが残るか
・年末年始の休業期間と、その間の障害連絡先はどこか
・延長しない場合、1月以降もサーバーとデータを参照できるか

あわせて読みたい毎年払っている業務システムの保守費は何の対価なのか|障害対応・法改正対応・追加改修の線引きを下期の予算前に確認する

機能を絞るときに、使う回数の少ない画面から削ってしまいます

初めて使う日付で並べる

機能を絞る打ち合わせでは、開発会社が「月に数回しか使わない画面」を削る候補に挙げがちです。ところが販売管理では、回数の少ない処理ほど月末に集中します。20日締めの得意先への請求、複数店舗の合算請求、返品の赤伝票、単価をさかのぼって直す処理は、どれも1月の最初の締めで必ず使います。

防ぐには、機能を使う回数ではなく「1月中に初めて使う日付」で並べます。1月20日締め、1月末締め、2月10日の請求書発送と並べると、削ってよいのは2月以降に初めて使う機能だけだと分かります。削った機能を手作業で補う場合は、誰が何時間かけるのかまで見積もっておきます。

延期を決めたのに、データ移行の段取りが12月末のまま残っています

延期で動く移行の基準日

移行リハーサルは「12月末の締め後のデータを1月4日に移す」前提で組まれています。稼働を3月に延ばすと移行の基準日は2月末に動き、1〜2月に旧システムで登録した得意先や単価改定も移す対象に入ります。

防ぐには、延期を決めた日のうちに、移行の基準日と旧システムでマスタ変更を受け付ける締めを決め直します。過去データをどこまで持っていくかの考え方はデータ移行費が膨らむ理由で書いています。移行リハーサルのやり直しが見積もりに含まれているかも、あわせて確かめます。

あわせて読みたい新システムへのデータ移行費が見積もりで一番膨らむ理由|過去データをどこまで持っていくかの判断基準

遅れの中身を聞かないまま、新しい稼働日を受け入れてしまいます

「3月なら確実です」という言葉に根拠が付いていないと、2度目の延期につながります。遅れの原因が仕様の未確定であれば、発注側が決めない限り、何か月延ばしても作業は終わりません。

防ぐには、残っている作業を分けて出してもらいます。

開発会社への依頼
残っている作業を、次の3つに分けて一覧にしてください。
1. 仕様が決まっていない機能(決める人と期限を添えて)
2. 作ってあるが、テストが終わっていない機能
3. まだ作っていない機能
それぞれに、1月稼働に必要かどうかの見立てと残りの工数を付けてください。

1が多い場合は、延期を決める前に、社内で仕様を決める日を押さえます。決めた仕様を後から変えるときの費用の扱いは仕様変更の線引きの記事をご覧ください。

あわせて読みたい開発が始まってからの仕様変更はどこから追加費用になるのか|秋稼働の業務システムで議事録と変更管理の線引きを決める

3つの選択肢は、1月に使う業務と保守会社の回答で決まります

3つの選択肢の選び方

選択肢 選んでよい場合 避けたほうがよい場合
稼働延期 保守会社が月単位の延長に応じる場合 遅れの原因が仕様の未確定で、決める日が決まっていない場合
機能を絞って1月に稼働 削る機能が2月以降に初めて使うものだけで済む場合 1月の締めや請求で使う機能まで削ることになる場合
保守の延長を先に確保 残作業の一覧から新しい稼働日を引ける場合 新しい稼働日の根拠が開発会社の見込みしかない場合

えらびの道は、卸売の受発注・請求、出張販売の管理、介護のシフト管理、ECサイトなどの業務システムをオーダーメイドで開発しています。稼働の遅れが分かった段階であれば、残作業の一覧づくり、1月の締めと請求で使う機能の洗い出し、移行の基準日の決め直しをお手伝いできます。機能を絞って先に動かし、残りを稼働後に足していく小さく作って育てる進め方にも対応しています。切り替えたあとの売上や請求の数字の可視化、レポートの自動化も、あわせて組み立てられます。

稼働延期の判断から移行まで、えらびの道でお手伝いできること

合同会社えらびの道は、中小企業向けの業務システムを受託で開発している会社です。卸売の受発注・請求、介護のシフト管理、出張販売の管理など、日々の業務で使われるシステムを自分たちで作り、動かしてきました。

稼働が遅れると言われた段階からでも、御社の状況に合わせてお手伝いできます。開発会社から出てきた残作業の一覧を読み解き、1月の締めで使う請求や赤伝票の処理を洗い出します。そのうえで、保守会社への確認事項や移行の基準日の決め直しまで、発注側の立場で一緒に整理します。

進め方として、全部を一度に置き換えることはしません。止まると困る請求のような1業務から動かし、残りの機能は様子を見ながら移していきます。打ち合わせから開発までを同じ人間が担当するため、話した内容が途中で抜け落ちにくいことも特徴です。

延期・機能の絞り込み・保守延長のどれを選ぶかで迷っている段階でも、えらびの道へご相談ください。オンラインで30分、費用はかかりません。残作業の一覧や保守契約の書面があれば、それを見ながらお話しします。

よくある質問

新しいシステムの稼働が遅れたら、旧システムの保守は延長できますか?

保守会社と製品の状況によって変わります。解約通知が受理された後でも、月単位の延長に応じてもらえることはあります。一方で、担当者の配置換えや製品のサポート終了を理由に断られることもあります。延期の日付を決める前に、延長できるかどうか、月額、対応範囲を確かめるのが先です。

販売管理システムの機能を絞って先に稼働させても大丈夫ですか?

削る機能が、稼働後の最初の締めと請求で使わないものだけであれば成り立ちます。月末締めの請求、合算請求、赤伝票などは回数が少なくても必ず使うため、削ると手作業が月末に集中します。稼働した月に初めて使う日付で機能を並べ、削ってよいものを判断します。

システム開発が遅れたとき、発注側は何を確認すればよいですか?

残っている作業を、仕様が決まっていないもの、作ったがテストが終わっていないもの、まだ作っていないものに分けて出してもらいます。仕様が決まっていない部分が多い場合は、発注側が決める日を押さえない限り、稼働日を延ばしても再び遅れます。

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