上期の人事評価シートが締切を過ぎても集まりません|12月賞与の査定に間に合わせるため、目標・評価・等級テーブルをExcelからどこまでデータで持つか

人事評価人事システムデータ活用

上期の評価シートの締切を9月末に置いている会社は多く、10月に入っても半分ほどしか戻っていない、というご相談をこの時期に伺います。12月の賞与に反映させるなら、査定を確定させる日から逆算して動かせる時間はひと月あまりです。仕組みを丸ごと入れ替える余裕はありませんので、目標・評価・等級テーブルのうち、どこをデータで持ち、どこをExcelのまま残すかを選ぶ話になります。

集まらないのは書く手間ではなく、探す手間が先に立つからです

締切後の提出状況

評価者が入力を始めるまでに、いくつも探しものがあります。期首に提出した目標シートをメールの添付から探し、前期の評語と等級を人事に問い合わせ、期中に異動した部下がどちらの上長の分に入るのかを確かめます。部下が5人いれば、書き始める前の準備だけで1時間近くかかります。締切を過ぎるのは、そのまとまった時間が月末に取れないからです。

催促のメールは全員宛に飛びます。ところが止まっている場所は人によって違い、まだ一次評価に入っていない人と、差戻しを受けたまま置いている人が同じ文面を受け取ります。誰がどこで止まっているのかが見えない限り、催促の回数を増やしても戻りは早くなりません。

12月の支給日から逆算すると、今期に触れる範囲が決まります

12月支給日からの逆算

賞与の支給日からさかのぼると、給与計算の締め、査定の決裁、部門間の原資調整、二次評価、一次評価、シートの提出、という並びになります。これを実際の日付に置き換えると、今期に手を入れられるのは「集める」と「集計する」の2つで、評価そのものを入力する画面まで作る時間は残っていない、と分かります。

もう1つ、今期は動かせないものがあります。賞与のように臨時に支払う賃金は、定めを置くのであれば就業規則に記載する項目です(労働基準法第89条)。評語の区分や支給月数の刻みを変えるには規程の改定が要りますので、今期は規程どおりに計算できる材料をそろえることに絞ります。

データで持つかどうかは、後工程が読むかどうかで決まります

データで持つかの線引き

判断の軸は2つです。1つは、その値を賞与計算・昇給・次期の目標といった後工程が読むかどうかです。もう1つは、毎期同じ形で繰り返し現れるかどうかです。両方に当てはまるものだけをデータにします。人によって長さも書き方も違い、その期の中で閉じるものは、Excelや紙のままで支障がありません。

評価シートの要素 データで持つ場合 Excelのままでよい場合
等級・号俸と賞与係数 係数が改定され、過去分の再計算が要る場合 等級が3段階以内で、係数を変えていない場合
評価点と最終評語 賞与・昇給・昇格の3つで同じ点を使う場合 賞与の配分だけに使い、年1回で終わる場合
評価ライン(誰が誰を評価するか) 期中に異動や組織変更がある場合 1年を通じて評価者が動かない場合
提出状況と差戻しの記録 対象者が30人を超える場合 対象者が十数人で、一覧を目視で追える場合
目標の本文と自己評価のコメント 次期の目標や異動先へ引き継ぐ場合 期の中で閉じ、翌期に読み返さない場合
面談の記録 処遇の根拠として後から示す必要がある場合 紙で保管し、本人と上長だけで使う場合

上の4行がそろえば、催促の宛先と賞与の計算材料は出せます。下の2行まで今期のうちに画面へ載せようとすると、締切に間に合いません。

等級と係数のテーブルは、Excelに置いたままだと毎回壊れます

評価シートの末尾に等級別の支給月数表を貼り付けている例をよく見かけます。この形だと、係数を改定したときに、配布済みのシートと新しいシートで別の数字が動きます。後から「あの人の査定はどの版で計算したのか」を確かめる場面で、根拠が残りません。

係数は適用期間を持たせて1か所に置き、シート側は等級コードだけを持ちます。

grade_master      : 等級コード / 等級名 / 有効開始日 / 有効終了日
bonus_coefficient : 等級コード / 評語 / 支給月数 / 適用開始日 / 適用終了日
employee_grade    : 社員コード / 等級コード / 適用開始日 / 発令の根拠

参照する版は、支給日ではなく査定基準日の時点のものを使います。10月1日付で昇格する人を上期の査定でどう扱うかは、基準日を決めた時点で自動的に決まります。どのファイルが正なのかを決めないまま集計だけを急ぐと、共有フォルダに「最終版_修正済_v3」が並ぶで書いた状態が、人事の数字でも起こります。

あわせて読みたい共有フォルダに「最終版_修正済_v3」が並ぶ|どのExcelが正か決めないまま業務システムを入れると起きること、上期末までに決める置き場と持ち主

今期は集計まで、入力そのものは次期から、と分けます

今期に用意するもの

今期に用意するのは、社員・等級・評価ラインの3つの台帳と、提出状況の一覧です。シートの様式は変えず、Excelのまま提出してもらって取り込みます。

-- 二次評価まで終わっていない対象者を、評価者ごとに数えます
SELECT r.reviewer_code, COUNT(*) AS 未完了件数,
       MIN(s.updated_at) AS 最終更新
FROM review_sheets s
JOIN review_lines r ON r.employee_code = s.employee_code
                   AND r.period = s.period
WHERE s.period = '2026H1'
  AND s.status IN ('未着手', '一次評価中', '差戻し')
GROUP BY r.reviewer_code
ORDER BY 未完了件数 DESC;

これで催促は全員宛から数人宛に変わります。評価ラインは10月1日の組織変更で動きますので、部門マスタを上書きすると上期の集計が追えなくなります。10月1日の組織変更で部門を作り替えたら上期と比べられなくなったで扱った考え方と同じで、評価ラインにも適用期間を持たせておきます。

目標の登録と一次評価の入力を画面へ移すのは、次期からにします。期首の切り替わりに合わせるほうが、説明も移行も軽く済みます。等級の改定日や評価の基準日が人によって違う点は、有休の年5日が誰にあと何日残っているかと同じで、人ごとの日付を台帳側に持たせておくと後が楽になります。

えらびの道は、業務システムをオーダーメイドで開発しています。卸売の受発注や請求、介護のシフト管理、出張販売の管理などを手がけてきました。人事評価については、給与ソフトはそのまま使い、等級と係数を適用期間つきで持つ台帳、評価ラインの管理、提出状況の一覧、Excelシートの取り込みと集計といった部分をお手伝いできます。データの可視化やレポートの自動化から予測を伴う仕組みまで扱っていますが、まずは提出状況の一覧だけを作って今期に回してみる、という小さい範囲から始めて、動かしながら育てる進め方をとっています。

上期の評価を12月の査定につなげるまで、えらびの道でお手伝いできること

合同会社えらびの道は、中小企業向けのシステム受託開発と、データ活用・DXのご支援をしています。卸売の受発注や請求、介護のシフト管理、出張販売の管理、EC・決済、業務データを集めて予測に使う基盤づくりなどを手がけてきました。実際に手を動かす立場から書いています。

この記事で扱った提出状況の把握と査定の集計も、御社の評価制度に合わせたかたちでお手伝いできます。誰がどの工程で止まっているかが分かる一覧、期中の異動を反映した評価ライン、適用期間を持たせた等級・係数のテーブル、評価点から賞与の計算材料を出すまでの流れまで、目標の本文や面談の記録はExcelのまま残して、後工程が読む値だけをデータにするかたちも取れます。

進め方としては、全部を一度に置き換えることはしません。止まると困る1業務から動かし、残りは様子を見ながら移していきます。打ち合わせから開発まで同じ人間が担当しますので、人事のご担当者や評価者の方から伺った運用の例外が、そのまま設計に入ります。

まずは、催促の宛先を調べるのに時間がかかっている場所を伺うところからで構いません。えらびの道ではオンラインで30分ほどのご相談をお受けしており、費用はかかりません。

よくある質問

人事評価をシステム化すると、評価シートの様式も変えないといけませんか?

様式はそのままでも始められます。最初に効くのは等級や係数の台帳と提出状況の管理で、どちらもシートの外側にあります。入力画面へ移すのは次の期からにして、今期はExcelのまま提出してもらって取り込むほうが、評価者の手順は変わらずに済みます。

評価の結果は、給与ソフトに持たせておけば十分ではないですか?

給与ソフトが持つのは支給額の計算に必要な値までで、目標や評語の履歴、評価ラインの変遷までは持たないものが多くあります。賞与の計算だけに使うのであれば足りますが、昇給や昇格の説明にも使うのであれば、履歴を残せる場所を別に用意しておくほうが確実です。

12月の賞与に間に合わせるには、いつまでに何を決めればよいですか?

査定を決裁する日から逆算して、二次評価の締切を先に固定します。そのうえで、今期は集計までにとどめるのか、入力画面まで作るのかを決めます。等級と係数の台帳を1か所に寄せるところだけなら、シートの様式を変えずに着手できます。

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