賞味期限とロットが手書き伝票にしか残っていない|大分の食品加工会社が年末の贈答期前に決めたトレーサビリティの粒度と、回収連絡先をさかのぼれる範囲

食品製造トレーサビリティ要件整理

この記事の事例は、実際にいただくご相談をもとにした想定ケースです。特定の企業を指すものではありません。

大分の食品加工会社では、11月から12月にかけて出荷量が通常月の数倍になります。お歳暮の詰め合わせが動き出し、卸や量販店への納品に加えて、自社サイトやカタログから個人宅への直送が一気に増えます。箱には賞味期限とロット番号を印字していますが、どのロットをどこへ何個出したかは、手書きの製造日報と出荷伝票の綴りにしか残っていません。「1ロットだけ回収することになったら、連絡先が出そろうまでに何時間かかりますか」と聞かれて、答えが出てこない状態です。記録をどこまで細かくするかを、繁忙期に入る前に制度の側から決めていきます。

回収の届出書に書く項目が、記録の粒度を先に決めています

届出項目と記録の出どころ

食品の自主回収に着手したときは、遅滞なく行政へ届け出る仕組みが令和3年6月1日から動いています。入口は食品衛生法に基づくものと食品表示法に基づくものの2つですが、どちらも管轄の保健所へ、厚生労働省の食品衛生申請等システムを通じて届け出ます。大分県の自主回収制度の案内でも、同システムの食品等自主回収情報管理機能を使うよう示されています。

届け出る内容には、消費者庁の食品リコール情報届出制度の資料にあるとおり、販売先と、販売先ごとの販売日および販売数量、回収に着手した年月日などが含まれます。社内で「どこまで細かく記録するか」を議論する前に、書かされる欄がほぼ決まっているわけです。なお、届出の項目や様式、システムの画面は法令改正や運用の見直しで変わりますので、実際に着手する場面では年度ごとに最新の案内を確認してください。

届出で書くこと どの記録から出すか 手書きの伝票だけだとどうなるか
対象の品名と規格 製品マスタ すぐに出せます
製造ロットと賞味期限 製造日報とラベルの印字記録 綴りを繰って半日かかります
販売先 出荷伝票の得意先欄 得意先の名前までは分かります
販売先ごとの販売日と販売数量 出荷伝票の明細 日付ごとに拾い直しになります
回収の対象数量 出荷数量から返品と廃棄を引いた残り 集計しないと出てきません
個人へ直送した分の届け先 受注データと送り状番号 運送会社の控えに頼ることになります

一つ前と一つ後で足りる出荷と、足りなくなる贈答の直送があります

ロットをさかのぼる順路

トレーサビリティの土台は、入荷の記録と出荷の記録をロットでつなぐことにあります。農林水産省の食品トレーサビリティの実践的なマニュアル(製造・加工業編)でも、一つ前の入荷先と一つ後の出荷先がたどれる状態が出発点として置かれています。卸や量販店への納品は一つ後が法人ですから、得意先と出荷日と数量が残っていれば連絡はつきます。

崩れるのは贈答の直送です。一つ後が個人になり、しかも注文者と届け先が別人であることが普通です。届け先の住所と電話番号は運送会社の送り状にしか残らず、自社の出荷記録に送り状番号を持っていないと、さかのぼれる範囲が注文者までで止まります。出荷先の名前の書き方が揺れていると法人側の突き合わせも進まないため、得意先の表記ゆれを先に片づけておくほうが安全です。

品目によっては、記録の作成と保存そのものが法律上の義務になります。米トレーサビリティ法では、もち、だんご、米菓、清酒、単式蒸留しょうちゅうといった米加工品が対象で、伝票類に品名・産地・数量・年月日・相手方・搬出入の場所が記載されていれば、それを保存することで義務を果たしたことになります。保存期間は原則3年間で、消費期限が付された商品は3か月、賞味期限が3年を超える商品は5年とされています。麦焼酎や米菓を扱う会社では、この区分が社内の保存年数の下限になります。

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ロットをどこで切るかが、回収の対象量をそのまま決めます

ロットの切り方と大きさ

粒度の議論は、突き詰めると「回収するときに捨てる量」と「毎日書き足す手間」の釣り合いです。

ロットをどう切るか 1ロットの大きさ 回収の対象になる量 現場の入力はどう増えるか
製造日で切ります その日の製造分 同じ日に作った全量 増えません
仕込みの回ごとに切ります 釜1回分 同じ釜で作った分だけ 仕込み回を1つ書き足します
包装の時間帯で切ります 午前と午後の半日分 半日分 時間帯を1つ書き足します

賞味期限は、ロットに紐づく実際の日付として持ちます。「製造日から180日」という印字ルールだけを社内に残すと、休日をまたいだ製造や再包装で例外が出たときに、箱の印字と社内の記録が食い違います。期限そのものは食品の期限表示の考え方に沿って、微生物試験や理化学試験の結果に安全係数をかけて設定するものですから、設定の根拠とは別に、出荷した1件ごとの期限を値として残しておく必要があります。

手書きを残したまま、データにする項目を絞ります

出荷の1行に持たせる項目

日報や伝票を全部やめる必要はありません。出荷の1行に、ロット番号・賞味期限・出荷先・送り状番号を持たせるところだけを構造化します。

出荷日,伝票番号,製品コード,ロット番号,賞味期限,出荷先区分,出荷先コード,送り状番号,数量
2026-11-18,S26111801,GF-101,26L1118A,2027-05-17,卸,W-024,,120
2026-12-03,S26120312,GF-101,26L1130B,2027-05-29,直送,EC-8842,441900000000,1

一つ前へつなぐ側は、製造ロットと原材料の受入ロットを別の台帳で対応させます。

製造日,ロット番号,製品コード,仕込み回,製造数量,賞味期限,原材料,受入ロット,納品書番号
2026-11-18,26L1118A,GF-101,1,480,2027-05-17,乾しいたけ,R-1105-03,N26110503
2026-11-18,26L1118A,GF-101,1,480,2027-05-17,しょうゆ,R-1028-11,N26102811

この2枚があれば、ロット番号を条件に出荷先と数量を引き、受入ロットから同じ原材料を使った他の製品も洗い出せます。ロット番号を人が読み取って書き写す運用は繁忙期に必ず崩れますので、年末の出荷ピークで検品をどう組むかと一緒に、印字とスキャンの形を決めるほうが定着します。

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年末の贈答期に間に合う範囲と、年明けに回す範囲を分けます

11月に入ってから入力項目を増やすと、忙しい日から順に記録が抜け、シーズンが終わったときに穴だらけの台帳が残ります。今シーズンに手をつけるのは出荷側の4項目、つまりロット番号・賞味期限・出荷先・送り状番号までにとどめ、原材料の受入ロットとの紐付けは年明けの閑散期に回す、という切り方が現実的です。ロットの単位を変えると在庫の数え方も変わりますので、棚卸しで何を1件と数えるかを先に揃えておくと、期末に食い違いが出ません。HACCPに沿った衛生管理で使う記録様式は業種別の手引書として業界団体が作っており、改訂されることがありますので、こちらも年度ごとに版を確認してください。

えらびの道では、業務システムをオーダーメイドで開発しています。卸売の受発注や請求、出張販売の管理、ECサイトなどを手がけてきましたので、今回のように出荷伝票・ラベルの印字・受注データ・送り状番号を1本の台帳につなぎ、ロット番号から出荷先と数量を引ける形にする部分はそのまま作れます。データの可視化やレポートの自動化から、実績を使った予測、日々のデータを自動で集める基盤まで対応しています。まず出荷入力の1画面だけを小さく作って贈答期を通し、原材料側の紐付けは翌シーズンに足す、という進め方をとっています。

ロットの記録と回収の連絡先まで、えらびの道でお手伝いできること

合同会社えらびの道は、中小企業向けのシステム受託開発と、データ活用・DXのご支援をしています。卸売の受発注や請求、介護のシフト管理、出張販売の管理、EC・決済、業務データを集めて予測に使う基盤づくりなどを手がけてきました。実際に手を動かして作る立場から、現場で起きていることをお伝えしています。

この記事で扱った賞味期限とロットの記録も、御社の製造と出荷のやり方に合わせてお手伝いできます。手書きの製造日報に代わるロット単位の記録、出荷伝票の明細を得意先と出荷日、数量でたどれるようにする仕組み、贈答の直送で送り状番号を受注データに紐づけて届け先までさかのぼれるようにする部分まで、いまの伝票の書き方を大きく変えずに整えられます。

自主回収の届出で書く項目や、米トレーサビリティ法で定められた保存年数を踏まえて、どこまでの粒度で残すかを一緒に整理するところからでも構いません。制度上の判断は所管の保健所にご確認いただく前提ですが、求められた記録を出せる状態にしておく部分は仕組みの側で支えられます。

まずは、いまどの記録が紙に残っていて、どこから追えなくなるのかを伺うところからで構いません。えらびの道ではオンラインで30分ほどのご相談をお受けしており、費用はかかりません。

よくある質問

食品のトレーサビリティは法律で義務ですか

一般的な加工食品では、記録の作成と保存を一律に義務づける法律はありません。ただし米や米加工品、牛肉には個別の法律があり、HACCPに沿った衛生管理でも記録の作成と保存が求められます。自主回収の届出では販売先ごとの販売日と数量を書きますので、記録がなければその場で困ります。

ロット番号はどのくらい細かく付ければよいですか

回収したときに対象となる量と、現場で増える入力の手間の釣り合いで決めます。製造日だけで切るとその日の全量が対象になり、仕込みの回ごとに分ければ対象は小さくなりますが、記入が1つ増えます。まず出荷量の多い主力品だけを細かくする決め方もあります。

個人宅へ直送した贈答品は、どこまで連絡先をさかのぼれますか

自社の出荷記録に送り状番号と発送日を残していれば、注文者と届け先の双方に連絡できます。運送会社の控えだけに頼ると、保管期間を過ぎた分は照会できなくなることがあります。送り状番号を自社側に持つかどうかが、さかのぼれる範囲の分かれ目になります。

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この記事は、生成AIで下書きを作成し、実務経験にもとづいて内容を確認・編集したうえで公開しています。制度・金額・要件は年度や状況によって変わるため、実際のご判断の前に公式の窓口でご確認ください。

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