取引先ごとに違う請求書のひな形をExcelで作り分けている|請求データを1本にまとめ、Web請求システムへの手アップロードを10月からどこまで減らすか【Q&A】

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月末になると、取引先ごとに違うExcelファイルを開いて、同じ売上の数字を何度も打ち直す。A社は指定様式のExcel、B社は自社ひな形のPDF、C社は先方のWeb請求システムに1件ずつ入力する。請求件数は変わっていないのに、担当者の残業だけが月末に集中します。

10月からの下期を区切りにこれを整理したい、というご相談は毎年この時期に増えます。よく出る質問から順に答えます。

取引先ごとに様式が違う以上、ひな形を作り分けるのは仕方ないのではありませんか

ひな形20種類でも数字は1か所

仕方ないのは「出力の見た目」までです。作り分けてはいけないのは、その手前にある請求データのほうです。

いま起きているのは、Excelのひな形が「様式」と「データ」を同じファイルに抱えている状態です。A社用のブックにはA社の請求明細しか入っていません。だから合計を出すにも、消費税の端数を確かめるにも、ファイルを1つずつ開くことになります。

分けるべき線は1本です。請求データは全取引先ぶんを1つのテーブルに縦に積み、様式は出力するときにだけ当てる。この形にすると、ひな形が20種類あっても構いません。20種類あるのはレイアウト定義だけで、数字の出どころは1か所になります。

請求データを1本にまとめる、というのは具体的にどういう形ですか

行の単位を決めるところから始まります。1行=1明細(請求先・締め日・伝票日付・品目・数量・単価・税区分・金額)にして、取引先ごとの特殊事情は「列」で持ちます。列で持つとは、たとえばこういうことです。

取引先ごとに違う項目 Excelひな形での持ち方 1本化したときの持ち方
締め日(20日締め・末締め) ファイル名やシート名で区別する持ち方 請求先マスタの締め日区分として持つ持ち方
先方の注文番号・工事番号 備考欄に手で書き足す持ち方 明細行の参照番号列として持つ持ち方
単価の丸め・端数処理 ひな形の数式に埋め込む持ち方 請求先ごとの計算ルールとして持つ持ち方
消費税の計算単位(明細ごと・請求書ごと) ひな形ごとにバラバラな持ち方 税計算区分として明示的に持つ持ち方
送付方法(紙・PDFメール・Web登録) 担当者の記憶で分ける持ち方 請求先マスタの送付区分として持つ持ち方

この形にしておくと、後から「消費税は明細ごとに切っているのか、請求書単位で切っているのか」と聞かれたときに、データを見れば答えられます。ひな形の数式を1つずつ追う必要がなくなります。

なお、請求書の記載事項そのもの(登録番号、税率ごとに区分した対価の額、税率ごとの消費税額)は制度で決まっています。国税庁のインボイス制度の概要にある記載事項を、テーブルの列として満たせているかを先に確認しておくと、様式を作り直すときの手戻りが減ります。

取引先が指定してくるWeb請求システムへの入力は、結局なくならないのではありませんか

CSV取込を確かめる順序

なくなるものと、残るものがあります。分けて考えます。

多くのWeb請求システムには、CSVの一括取込機能があります。ここが使えるなら、1件ずつ画面に打つ作業は「ファイルを1本作ってアップロードする」に変わります。画面入力そのものは残りますが、件数に比例していた時間が、件数に比例しなくなります。100件でも1回のアップロードです。

減らせるかどうかは、次の順で確かめます。

  1. その取引先のシステムに、請求データのCSV取込があるか
  2. 取込フォーマットの仕様書が公開されているか、担当窓口から受け取れるか
  3. 取込に使う項目のうち、自社側に存在しない値(先方の取引先コード、部門コード、契約番号など)はどれか

3番目が実際の作業量を決めます。先方コードが自社データに無ければ、変換表を作って持つことになります。この変換表は顧客マスタの重複と表記ゆれを先に片づけていないと、当てる先が定まらず機能しません。

一方、残るものもあります。CSV取込に対応していない取引先、取込後に画面で承認操作が要る取引先、添付書類(納品書の写しなど)を都度アップロードする取引先。ここは手作業のまま残ると見込んでおきます。

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10月の下期からどこまで減らすのが現実的ですか

全部を一度に寄せようとすると、10月には間に合いません。件数の多い順に並べて、上から取るのが早いです。

判断のために、まず取引先を送付方法で数えます。

送付区分 10月から着手する範囲 当面そのまま続ける範囲
自社ひな形でPDF送付 出力を1本化して自動生成する範囲 手書きの但し書きが毎回入る取引先の範囲
先方指定のExcel様式 様式テンプレートに値を差し込む範囲 年に数回しか発生しない取引先の範囲
Web請求システム(CSV取込あり) 取込用CSVを自動出力する範囲 承認操作が画面必須の取引先の範囲
Web請求システム(CSV取込なし) 入力順に並べた一覧を用意する範囲 画面への入力自体は人が行う範囲
紙で郵送 印刷用の出力を揃える範囲 押印と封入を人が行う範囲

現実的な線引きとして、10月の請求分では「請求データの1本化」と「PDF・Excel様式の自動生成」までを終わらせ、Web請求システムへのCSV取込は取引先を2〜3社に絞って試すという進め方をよく取ります。11月・12月で対象を広げます。9月中にやるのは、上の表を自社の取引先名で埋めることだけです。

移行の前に、いまのExcelから何を引き出しておくべきですか

移行前に書き出す請求ルール

ひな形の数式です。ここが一番あとから揉めます。

Excelの請求書には、長年の運用でしか説明できない計算が埋まっていることがあります。「この取引先だけ端数を切り上げている」「送料は税抜合計が3万円を超えたら0円にしている」「値引き行は消費税の計算対象から外している」。作った人が辞めていると、なぜそうなっているのか誰も答えられません。自作ツールの引き継ぎと同じ問題です。

移行の前に、取引先ごとに次を書き出しておきます。仕様の聞き取りは、この形で受け取れると早いです。

【請求先】〇〇株式会社
締め日:20日締め/翌月末払い
税計算:明細ごとに切り捨て
端数処理:単価×数量の小数点以下を切り捨て
送料:請求書単位で加算(税抜3万円以上は0円)
値引:課税対象に含める
様式:先方指定Excel(項目20列・A列は先方コード)
送付:Web請求システムへCSV取込(月末3営業日前まで)
特記:注文番号を明細ごとに記載する必要あり

書き出した結果、同じルールの取引先が大半で、例外は数社だったという結果になることがよくあります。その場合は、例外の数社だけを個別対応にして残りを共通化すれば、作るものはかなり小さくなります。

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請求データを1本にすると、他に何が変わりますか

1本化すると変わること

入金の確認が変わります。

取引先ごとにExcelが分かれていると、「9月に請求した総額」を出すのにファイルを集める作業が要ります。1本化すると、請求残高が常に一覧で出ます。入金消込の突き合わせ相手が定まるので、振込名義のズレや一括入金の照合にかかる時間も一緒に減ります。

もう1つは保存です。電子帳簿保存法では、電子取引でやり取りした請求データを検索できる形で保存することが求められます。取引年月日・取引金額・取引先で検索できる状態にしておく必要があり、国税庁の電子帳簿保存法一問一答(電子取引関係)に具体的な要件が示されています。Excelがフォルダに散らばっている状態より、1本のデータとして持っているほうが、この要件は満たしやすくなります。

えらびの道では、卸売業の受発注・請求のシステムをオーダーメイドで開発してきました。今回のテーマでいえば、請求データを1つのテーブルにまとめる設計、取引先ごとの様式を差し込みで出力する仕組み、Web請求システムの取込フォーマットに合わせたCSV生成といった部分をお手伝いできます。まず件数の多い数社ぶんだけを動かして、月次の締めを1回まわしてから対象を広げる、という小さく育てる進め方をとっています。既存のExcelひな形はそのまま出力テンプレートとして流用できることも多く、作り直しの範囲は思ったより小さくなる場合があります。

請求データを1本にまとめるところまで、えらびの道でお手伝いできること

合同会社えらびの道は、中小企業向けのシステム受託開発と、データ活用・DX支援を行っています。卸売の受発注と請求、介護のシフト管理、出張販売の管理、EC・決済、業務データを集めて予測に使う基盤まで、実際に手を動かして作ってきました。請求まわりは何度も手がけてきた領域です。

この記事で扱った請求ひな形の作り分けも、御社の様式に合わせてお手伝いできます。取引先別のExcelに散った明細を1つのテーブルに積み直し、締め日区分・参照番号・税計算区分・送付区分を請求先マスタとして持たせるところから、様式ごとの出力とWeb請求システム向けCSVの作成、先方コードの変換表までを一緒に組み立てます。

進め方は、全部を一度に置き換えない形を取ります。CSV取込が使える取引先から切り替え、対応していない先は今のやり方を残す形でも構いません。打ち合わせから開発まで同じ人間が担当しますので、様式ごとの事情が伝言で抜け落ちることはありません。

10月の区切りに向けて何から手をつけるか迷っている段階でも、お話を聞かせてください。オンラインで30分、費用はかかりません。今のひな形と送付方法を見せていただければ、どこから減らせそうかをお伝えします。

よくある質問

取引先の指定様式が変更されたら、また作り直しになりませんか

データと様式を分けておけば、直すのは様式テンプレートの側だけです。列の追加や並び替え程度なら、テンプレートの差し替えで対応できます。ただし先方が新しい項目(部門コードなど)を求めてきた場合は、自社データにその項目を持たせる作業が発生します。

Web請求システムへのCSV取込は、どの取引先でも使えますか

すべてではありません。取込機能がないシステムや、少数の請求しか登録しない前提の画面もあります。まずは請求件数の多い取引先から、取込機能の有無と仕様書の入手可否を確認してください。対応していない先は、当面画面入力を残す前提で計画を立てるほうが安全です。

Excelをやめずに、いまのまま効率化する方法はありますか

あります。請求データを1つのシートに集約し、各ひな形はそこを参照するだけの形に変えるだけでも、二重入力は減ります。ただし月次の履歴が増えるとファイルが重くなり、同時編集もできません。件数と担当者数が増えてきたら、データ側をシステムへ移す判断時期になります。

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