
立替経費の精算書に領収書を糊で貼っている|スマホ撮影で紙の原本を捨てられる条件と、10月からの新運用に残る例外処理
月末になると、A4の精算書に領収書を糊で貼った束が経理へ回ってきます。貼り方には人それぞれの流儀があって、重ねて糊付けする人もいれば、余白にびっしり並べる人もいます。この束をスマートフォンで撮った画像に置き換えたい、10月の下期から切り替えたい。ここまでは決まっていて、詰まるのはたいてい「では紙はいつ捨てていいのか」からです。
糊で貼る5分より、貼ったあとの7年のほうが重くなっています
糊付けそのものは1人あたり5分程度の作業です。20人いれば毎月100分ですが、これは切り替えで浮く時間の一部でしかありません。
重いのは、貼り終わった束のほうです。法人は帳簿や取引に関して受け取った書類を、確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存する必要があります。欠損金が生じた事業年度は10年間になります(国税庁のNo.5930 帳簿書類等の保存期間)。年度ごとにファイルへ綴じ、書庫の棚を1段ずつ占有していきます。数年後に1枚を探すときは、月と社員名から当たりを付けて束をめくることになります。そのころ感熱紙のレシートは、文字が薄くなっています。
金額の基準や代理承認の決め方は承認ワークフローの手前で決める話と重なりますが、ここでの論点は承認の速さではなく、紙をいつ手放せるかのほうです。
手順1:精算書に載っている紙を、経路ごとに分けます
最初にやるのは、アプリを選ぶことではありません。いま貼られている紙が、どういう経路で手元に来たのかを分けることです。ここを飛ばすと、電子で受け取った領収書まで印刷して撮る運用になり、かえって手数が増えます。
| 領収書の受け取り方 | 適用される保存のルール | 紙の原本を捨てられるか |
|---|---|---|
| 店頭で受け取る紙のレシート | スキャナ保存のルール | 要件を満たせば捨てられます |
| 郵送で届く手書きの領収書 | スキャナ保存のルール | 要件を満たせば捨てられます |
| メールに添付されて届くPDF | 電子取引データ保存のルール | もともと紙の原本がありません |
| Web明細としてダウンロードするデータ | 電子取引データ保存のルール | 印刷した紙は原本ではないため捨てられます |
| ICカードや回数券で支払う運賃 | 帳簿のみで控除できる特例のルール | そもそも領収書が発生しません |
3行目と4行目は電子取引に当たり、データのまま保存する義務があります(国税庁の電子取引関係)。印刷して糊で貼り、その紙を撮る流れは経路として成立しませんので、撮影の列から外してください。
手順2:撮る期限を決めて、精算の締め日と揃えます
次に決めるのは解像度ではなく、いつまでに撮るかです。入力期間には制限があり、受け取ってから速やかに(おおむね7営業日以内)入力するか、業務処理サイクル(最長2か月)を経過した後おおむね7営業日以内に入力するかのどちらかになります。後者を選ぶ場合は、その事務の処理に関する規程を定めて備え付ける必要があります(国税庁のスキャナ保存関係)。
月末締めで翌月10日精算の会社なら、規程は業務処理サイクル方式で書くほうが現実に合います。ただし規程どおりに月末まで待たれると、月末に40枚まとめて撮る人が出ます。規程は月次で書き、現場へ配る案内は日次で書いてください。
【10月1日から】立替経費の領収書は、受け取った日に撮ります
1. 受け取った当日に、経費精算アプリのカメラから撮影します
(難しい日は翌営業日まで。それを過ぎた分は経理へ一報を入れてください)
2. 1枚ずつ撮ります。複数枚を机に並べて1枚に収めないでください
3. 折り目を伸ばし、レシートの上下の端まで画面に入れて撮ります
4. 撮った直後に、日付・金額・店名の3つが画面で読めることを確かめます
5. 読めることを確かめた紙は、経理へ回さず各自の封筒で保管します
(経理から「廃棄可」の連絡が出た月の分から、まとめて処分できます)
※ メール・Web明細で受け取った領収書は撮らないでください。
PDFやダウンロードしたファイルのまま、精算明細に添付します。
手順3:要件は人の規律ではなく、仕組みの側で満たします
撮影ルールを紙で配っただけの運用は、3か月ほどで元に戻ります。機械が担保できる部分は機械に持たせてください。押さえるのは4点です。
解像度と階調を設定で固定します。200dpi相当以上、赤・緑・青それぞれ256階調以上が求められます。A4判を200dpiで読み取ると約387万画素になりますので、いまのスマートフォンなら画素数は足ります(国税庁の電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】)。実際に問題になるのは画素数ではなく、アプリ側の圧縮設定や、白黒2値で保存する設定のほうです。
訂正・削除の扱いを決めます。タイムスタンプを付けるか、訂正や削除の履歴が残る(あるいは訂正削除ができない)システムに格納するかのどちらかを選びます。
検索できる状態にします。取引年月日・取引金額・取引先の3項目で絞り込める必要があり、考え方は電子帳簿保存法の検索要件と同じです。
帳簿との相互関連性を持たせます。領収書は重要書類ですので、精算明細や仕訳と画像を相互にたどれるようにします。精算明細のIDを画像側にも持たせる形が確実です。
そのうえで、期限を過ぎそうな明細を毎朝拾えるようにしておくと、締め日に慌てずに済みます。
-- 領収書の日付から10日過ぎても画像が付いていない明細を拾う
SELECT e.employee_code, e.receipt_date, e.amount, e.vendor_name
FROM expense_lines e
LEFT JOIN receipt_images i ON i.expense_line_id = e.id
WHERE e.receipt_date >= '2026-10-01'
AND i.id IS NULL
AND e.receipt_date < CURRENT_DATE - INTERVAL '10' DAY
ORDER BY e.receipt_date;
要件を満たして保存できていれば、入力を終えた原本は廃棄できます。かつて求められた相互けんせいや定期的な検査といった事務処理の要件は廃止されていますので、経理が全件を目視し終わるまで紙を置き続ける必要はありません。
10月からの新運用に残る例外処理
切り替えても、すべてが画像1枚で片づくわけではありません。残るのは次の5つです。
電子で受け取った領収書は、スキャナ保存ではなく電子取引データとして保存します。撮影の列に混ぜた時点で、保存方法を間違えます。
従業員名義の領収書は、宛名が従業員名の適格簡易請求書と、従業員が作成した立替金精算書をあわせて保存することで、仕入税額控除の対象になります。撮るのは領収書だけと決めてしまうと、精算書の側が消えます。
領収書が出ない交通費は、出張旅費・宿泊費・日当のうち通常必要と認められる部分について、帳簿のみの保存で控除できます(出張旅費、宿泊費、日当等に係る仕入税額控除の適用要件)。この行は「領収書なし」ではなく「特例」として区分を持たせてください。
1万円未満の少額な支払いは、基準期間の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5千万円以下の事業者であれば、帳簿のみの保存で控除できます。令和11年9月30日までの経過措置です(少額特例)。ただし消費税の話であって、法人税の書類として領収書を残す義務は別に残ります。
免税事業者の店で払った経費は、2026年10月1日から経過措置による控除が仕入税額相当額の50%に下がります。取引先区分を会計・購買データでどう持つかで整理したのと同じ区分を、経費精算の明細にも持たせてください。仕入の側だけ整えて、立替経費が取り残される形が一番起きやすくなります。
えらびの道では、卸売の受発注・請求、出張販売の管理、介護のシフト管理、ECサイトなどの業務システムをオーダーメイドで開発しています。今回のテーマでいえば、精算明細と領収書画像を相互にたどれる形で持たせるところ、入力期限を過ぎそうな明細を毎朝抽出するところ、電子取引データと撮影分を経路ごとに分けて保存するところ、免税事業者の区分を精算明細にも載せるところが実装の範囲です。データの可視化やレポートの自動化、機械学習による予測、リアルタイムなデータ収集基盤にも対応しています。全部を一度に置き換えず、まず1部門で撮影分だけを動かし、確かめてから広げる進め方をとっています。
経費精算の紙を手放すところまで、えらびの道でお手伝いできること
合同会社えらびの道は、中小企業向けのシステム受託開発と、データ活用・DX支援を本業にしています。卸売の受発注・請求、介護のシフト管理、出張販売の管理、EC・決済、業務データの収集と予測基盤といった領域で、実際に手を動かして作ってきました。この記事の内容も、そうした現場で出た質問がもとになっています。
立替経費の精算についても、御社の締め日や承認の流れに合わせた形でお手伝いできます。スマホで撮った画像と精算申請をひとつにまとめる入力、取引年月日・金額・取引先での検索、メール添付のPDFやWeb明細を電子取引データとして分けて保存する導線まで、いまの精算書の項目に合わせて作ります。
進め方は、全部を一度に置き換えない形をとっています。10月は店頭のレシートだけ先に切り替えて、免税事業者からの領収書やICカード運賃のような例外は様子を見ながら整えることもできます。打ち合わせから開発まで同じ人間が担当しますので、現場で伺った話がそのまま設計に入ります。
いまの精算書と、月あたりのおおよその枚数が分かればお話ができます。えらびの道ではオンラインで30分のご相談をお受けしており、費用はかかりません。
よくある質問
スマートフォンで撮った領収書でも、紙の原本は捨てられますか?
解像度200dpi相当以上・256階調以上での読み取り、入力期間内の入力、タイムスタンプまたは訂正削除の履歴が残るシステムへの格納、3項目での検索、帳簿との相互関連性といった要件を満たして保存していれば、入力後に廃棄できます。定期的な検査を終えるまで紙を置く必要はありません。
メールで届いた領収書PDFも、印刷して撮り直したほうがいいですか?
必要ありません。メールやWebサイトで受け取ったものは電子取引に当たり、受け取ったデータのまま保存する義務があります。印刷した紙は原本ではありませんので、撮影の対象に含めず、PDFのまま精算明細へ添付する経路を分けてください。
経費精算の運用を10月から切り替えるとして、いつまでに何を決めればいいですか?
先に決めるのは、撮影の期限と規程の書き方です。業務処理サイクル方式を選ぶなら事務の処理に関する規程の備え付けが要りますので、9月中に文面を固めます。アプリの設定や検索項目の持ち方は、その期限が決まってからでも間に合います。
この記事は、生成AIで下書きを作成し、実務経験にもとづいて内容を確認・編集したうえで公開しています。制度・金額・要件は年度や状況によって変わるため、実際のご判断の前に公式の窓口でご確認ください。
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