
時間外の集計が翌月にしか出ないから36協定の上限に気づけない|年720時間と月45時間超の残り回数を、9月末までに勤怠データから月中に出す
この記事の事例は、実際にいただくご相談をもとにした想定ケースです。特定の企業を指すものではありません。
産業用機械の設計と製造を手がける、従業員94名の会社を想定します。3月決算で、36協定の起算日は4月1日にそろえています。この会社が上期の途中で気づいたのは、残業が長いことではなく、残業が長い月を今年すでに何回使ったのかを誰も数えていなかったことでした。
5月の残業が確定したのは、6月24日でした
勤怠はICカードで打刻していて、データそのものは毎日たまっています。ただ、時間外の集計は総務の担当者が月末締めのあとにExcelへ落として作っていて、部門長の手元に届くのは翌月の労務会議、つまり6月24日でした。
その表で、設計課の3名が5月に45時間を超えていると分かりました。4月も超えていました。特別条項を結んでいても、月45時間を超えられるのは年6回までです(厚生労働省の時間外労働の上限規制)。しかし6月24日の時点で、進行中の6月がどうなっているかは誰にも見えません。翌月の集計を待てば、7月下旬に「6月も超えていました」と知ることになります。
数字が遅れて出ること自体は珍しくありません。月次の数字が翌月20日過ぎになる理由は、在庫でも売上でも同じ構造です。ただ36協定は回数と年間の合計で縛りがかかるため、遅れた月数だけ打ち手が減ります。
上限に近かったのは、残業時間が長い人ではありませんでした
4月から6月までを1人ずつ並べ直しました。最も長かったのは製造課の班長で、3か月の合計は171時間です。ただ月別では48・42・44時間で、45時間超は1回でした。
一方、設計課のAさんは合計148時間で、内訳は52・46・50時間です。合計は23時間短いのに、45時間超は3回です。残り9か月で使える回数は、すでに3回しか残っていませんでした。
部門ごとの平均残業時間を眺めていると、この差はまったく見えません。上限は個人ごとにかかるからです。
「残業時間」という言葉が、社内で3種類使われていました
集計を作り直そうとして、ここでつまずきました。勤怠システムが出す残業時間は、所定労働時間の7時間45分を超えた分です。36協定で数えるのは、法定労働時間の1日8時間・週40時間を超えた分です。1日あたり15分ずれるので、月20日勤務なら5時間の差になります。
さらに、年720時間と月45時間には休日労働を含めませんが、月100時間未満と2〜6か月平均80時間には休日労働を含めます。同じ「残業」で数え方が3種類動いていたわけです。この土台がずれていると、10月の最低賃金改定で人件費がいくら増えるかという試算も同じ場所で狂います。
月中に出す数字を、4つに絞りました
全部を月中に出そうとすると締め処理そのものを前倒しする話になるため、次の4つだけに絞りました。
| 月中に出す数字 | 数える範囲 | 休日労働を含めるか | 出す頻度 |
|---|---|---|---|
| 当月の時間外の累計 | 当月1日から前日までの範囲 | 含めません | 毎朝1回 |
| 起算日からの年間累計 | 4月1日から前日までの範囲 | 含めません | 毎朝1回 |
| 月45時間を超えた回数 | 確定した月だけの範囲 | 含めません | 月初に1回 |
| 時間外と休日労働の平均 | 直近2か月から6か月までの範囲 | 含めます | 毎週1回 |
年間累計と回数は、確定した月をそのまま足すだけです。
-- 起算日(2026-04-01)からの累計と、月45時間超の残り回数を社員ごとに出します
SELECT
emp_id,
ROUND(SUM(legal_ot_min) / 60.0, 1) AS 年度累計_時間外,
SUM(CASE WHEN legal_ot_min > 45 * 60 THEN 1 ELSE 0 END) AS 超過回数,
6 - SUM(CASE WHEN legal_ot_min > 45 * 60 THEN 1 ELSE 0 END) AS 残り回数
FROM monthly_overtime
WHERE fiscal_start = '2026-04-01'
GROUP BY emp_id;
進行中の月は、締めていない打刻をそのまま使います。精度より、届きそうな人が事前に分かることを優先しました。
当月の時間外(速報) = 当月1日から前日までの法定時間外の合計
月末の見込み = 当月の時間外(速報) + 残りの所定労働日数 × 直近4週の1日あたり時間外
45時間に届く日 = 見込みが45時間を超える最初の日
9月末までに作った範囲と、下期に回した範囲
作ったのは、勤怠のCSVを毎朝1回取り込み、社員ごとに上の4つを一覧で出す画面だけです。開発は3週間で、給与ソフトとの連携と割増賃金の再計算は下期に回しました。打刻そのものはICカードのまま残しています。労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインでも、始業・終業時刻は客観的な記録を基礎として確認することとされているためです。
8月18日、設計課の2名に「45時間到達予定は8月26日」という行が出ました。1件の図面作業を9月へ動かした結果、8月に45時間を超えたのは1名にとどまりました。従来の総務のExcelマクロは、中身を読めるのが作った本人だけという状態でしたので、集計の定義をSQLとして文書に残すところまでを上期の範囲としました。
えらびの道では、業務システムをオーダーメイドで開発しています。今回のように、既存の勤怠システムを入れ替えずにCSVやAPIでデータだけ取り出し、法定時間外の再計算と一覧画面を別に作る形にも対応できます。データの可視化やレポートの自動化から、予測を伴う仕組みまで扱っていますが、まずは4つの数字を毎朝出すところのような小さい範囲から作り、動かしながら足していく進め方をとっています。所定外と法定外の差や休日労働の扱いなど、数え方の定義を決める部分も一緒に整理します。
残業の上限管理まで、えらびの道でお手伝いできること
合同会社えらびの道は、中小企業向けのシステム受託開発と、データ活用・DX支援を本業にしています。卸売の受発注・請求、介護のシフト管理、出張販売の管理、EC・決済、業務データの収集と予測基盤といった領域を、実際に手を動かして作ってきました。この記事も、そうした現場で伺った話をもとにしています。
36協定の上限管理では、勤怠データから法定時間外を計算し直す部分、起算日からの年間累計、月45時間を超えた回数、休日労働を含めた2〜6か月平均といった数字を、御社の所定労働時間や締め日に合わせて組み立てます。既存の勤怠システムは入れ替えず、CSVやAPIで取り出したデータだけを別に集計する形にもできます。
進め方は、全部を一度に置き換えない形をとっています。止まると困る1業務から動かし、残りは様子を見ながら移します。期限がある場合は、間に合う範囲と後に回す範囲を分けたうえで着手します。打ち合わせから開発まで同じ人間が担当しますので、現場で伺った数え方の定義がそのまま設計に入ります。
まずは現状をお聞かせください。えらびの道ではオンラインで30分のご相談を承っており、費用はかかりません。いま時間外の集計がいつ出ているかが分かれば、どこから手を付けられそうかをその場でお話しできます。
よくある質問
36協定の月45時間を超えられるのは年に何回までですか?
特別条項を結んでいる場合で、年6回までです。7回目は協定の範囲を超えるため、回数は起算日からの通算で数えます。年度の途中で何回目まで使ったかを把握していないと、残り月数で調整できなくなりますので、確定した月ごとに1件ずつ積み上げて記録しておくことをおすすめします。
勤怠システムを入れ替えないと、月中の集計はできませんか?
多くの場合は入れ替えなくても可能です。日次の打刻データをCSVやAPIで取り出せれば、法定時間外の再計算と累計の表示は別の仕組みで作れます。入れ替えは打刻の運用と給与計算に影響が及びますので、まず取り出せるデータの範囲を確認するほうが先になります。
年720時間には休日労働も含まれますか?
年720時間と月45時間には休日労働を含めません。一方で、月100時間未満と2〜6か月平均80時間には休日労働を含めて数えます。同じ勤怠データから出す数字でも含める範囲が変わりますので、集計を作る段階で列を分けて持っておくと、あとから数え直す手間がなくなります。
この記事は、生成AIで下書きを作成し、実務経験にもとづいて内容を確認・編集したうえで公開しています。制度・金額・要件は年度や状況によって変わるため、実際のご判断の前に公式の窓口でご確認ください。
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