健康診断を誰が受けていないか年末まで分かりません|深夜業で年2回必要になる対象者を勤怠データから割り出し、受診記録と有所見者の就業判定を台帳へ寄せる範囲

健康診断勤怠データ労務管理

この記事の事例は、実際にいただくご相談をもとにした想定ケースです。特定の企業を指すものではありません。

6月に全員終えたはずの健診に、12月にもう1回が残っていました

大分県内で自動車部品を加工するA社は、従業員124名の製造業です。定期健康診断は毎年6月に一括で実施し、受診者の名簿は健診機関から返ってくるExcelをそのまま保管していました。総務課は2名です。

9月の産業医の職場巡視で「夜勤の方は年2回ですよね」と聞かれ、担当者は誰が対象なのか答えられませんでした。深夜業を含む業務に常時従事する労働者には6か月以内ごとに1回の健診が必要だと労働安全衛生規則第45条に定められています。6月に受けた人の2回目は、12月までに終える必要がありました。

対象者を数えたのは名簿ではなく、勤怠の打刻でした

深夜業の対象者を判定する条件

A社が最初に作ったのは夜勤者リストではなく、「常時従事」の線引きです。同じ規則の第50条の2には、深夜業に従事する労働者の自発的健康診断の要件として、6か月を平均して1か月あたり4回以上という基準があります。社内の判定条件も、これに合わせました。

# 深夜業の回数を数える条件(社内で決めた定義)
対象時間帯 : 22:00-翌5:00
1回と数える: 対象時間帯に30分以上の実労働がある勤務
集計単位   : 暦月ごと、直近6か月の平均回数
対象の判定 : 6か月平均が月4回以上 → 年2回の健診対象
分母の扱い : 休職・産前産後休業の月は平均から除く

想定32名が51名になったのは、応援で夜勤に入る人がいたからです

対象者と追加費用の差

勤怠データを流した結果、対象者は51名でした。総務が把握していた交替勤務の32名に加えて、繁忙月だけ夜勤へ応援に入る設備保全の9名と、月末だけ夜勤に入るパートの10名が残っていたためです。2回目の健診費用は1人8,500円で、想定外の19名分として約16万円を追加しました。費用よりも厳しかったのは枠で、12月の予約は埋まりかけており、11月中に押さえ直しています。

深夜の回数は月ごとに動くので、対象者も入れ替わります。時間外の集計が翌月にしか出ない話と同じで、締めてから数えていては期限に間に合いません。A社は毎月1日に6か月平均を再計算し、新しく対象へ入った人を総務へ通知する形にしました。

あわせて読みたい時間外の集計が翌月にしか出ないから36協定の上限に気づけない|年720時間と月45時間超の残り回数を、9月末までに勤怠データから月中に出す

受診の記録と就業の判定は、同じ台帳の別の列に置きました

台帳の列と添付ファイルの分担

健診の情報 台帳の列として持つもの 添付ファイルのまま置くもの
受診の管理 受診日、次回期限、受診状況の3列 健診機関から届く受診案内
検査の結果 所見の有無と再検査の要否 検査値が並んだ健診個人票
事後の措置 意見聴取日と就業区分のコード 産業医が書いた意見書の原本
かかった費用 1回あたりの単価と負担の区分 健診機関から届く請求書
社員番号,雇用区分,深夜回数_6か月平均,健診区分,受診日,次回期限,
受診状況,所見区分,意見聴取日,就業区分,措置内容,反映日

台帳は勤怠システムの社員マスタに列を足すのではなく、社員番号でひも付く別のテーブルにしました。健診結果は取り扱いが限られる情報で、勤怠画面を開く全員に見せるわけにはいかないためです。閲覧できるのは総務課の2名と産業医に限りました。

年内に間に合った範囲と、来年へ回した範囲があります

毎月回す健診管理の流れ

51名の結果が戻ると、何らかの所見が付いたのは31名でした。所見があれば、医師の意見を聴いて就業区分を決めるところまでが事業者の仕事になります。意見聴取は健診の日から3か月以内と第51条の2にあり、厚生労働省のリーフレットでも徹底が求められている部分です。A社は受診日から起算した期限を台帳へ自動で立て、就業区分は「通常勤務」「就業制限」「要休業」の3つのコードで持ちました。制限が付いた2名は、夜勤から外した措置の内容と反映日まで残しています。文章のメモで持つと後から数えられないので、コードと日付に分けました。

12月10日までに51名の2回目が終わり、未受診は0名で確定しています。一方、短時間勤務のパートをどこまで健診対象に含めるかは所定労働時間での判断が必要なため、今回は社会保険労務士に確認しながら手作業で決め、システムには入れませんでした。有休の年5日を勤怠データから管理簿へ寄せた話や資格と法定講習の期限を台帳へ移す判断と同じで、期限が見える範囲から先に作る形です。

えらびの道では、業務システムをオーダーメイドで開発しています。今回のような話では、勤怠データから深夜回数を集計して対象者を毎月洗い出す処理、受診日から次回期限を自動で立てる台帳、閲覧できる人を限る権限の設計あたりが実装の対象になります。データの可視化やレポートの自動化も含めて対応しており、まず期限の一覧だけを作って動かし、就業区分や措置の記録は運用しながら足していく進め方をとっています。既存の勤怠システムからCSVで出せるなら、そこを入り口にできます。

深夜業の健診対象者の管理まで、えらびの道でお手伝いできること

合同会社えらびの道は、中小企業向けのシステム受託開発と、データ活用・DXのご支援をしています。卸売の受発注や請求、介護のシフト管理、出張販売の管理、EC・決済、業務データを集めて予測に使う基盤づくりなどを手がけてきました。実際に手を動かして作る立場から、現場で起きていることをお伝えしています。

この記事で扱った深夜業の健診についても、御社の勤務区分に合わせたかたちでお手伝いできます。打刻から22時以降の実労働を拾って6か月平均の回数を数える処理、対象へ入った人を毎月の頭に総務へ通知する仕組み、受診日と次回期限、有所見者の就業区分を列として持つ台帳まで、いまお使いの勤怠システムは残したまま、その先の集計と記録だけを整えるかたちも取れます。閲覧できる人を総務と産業医に絞る設定も含められます。

進め方としては、全部を一度に置き換えることはしません。止まると困る1業務から動かし、残りは様子を見ながら移していきます。打ち合わせから開発まで同じ人間が担当しますので、総務のご担当者から伺った例外の数え方が、そのまま設計に入ります。

まずは、対象者をいま何で数えているのかを伺うところからで構いません。えらびの道ではオンラインで30分ほどのご相談をお受けしており、費用はかかりません。

よくある質問

深夜業の健康診断は年2回必要ですか?

深夜業を含む業務に常時従事する労働者は、労働安全衛生規則で6か月以内ごとに1回の健診が必要とされています。定期健診とあわせて年2回になる形です。誰が「常時従事」に当たるかは、勤怠データで深夜の勤務回数を数えて判断するのが確実です。

健康診断の未受診者はどうやって把握すればよいですか?

受診者の名簿だけでは、受けていない人は浮かびません。対象者の一覧を先に作り、そこへ受診日を突き合わせる形にすると未受診が残ります。対象者は深夜勤務の回数で毎月入れ替わるため、月初に再計算して総務へ通知する仕組みにしておくと安全です。

健診結果を業務システムで持っても問題ありませんか?

検査値そのものを全社員が見える場所に置くのは避けるべきです。台帳には所見の有無や就業区分といった判断に使うコードだけを持ち、個人票はファイルのまま別に保管する形が扱いやすくなります。閲覧できる担当者を限る権限設定は、設計の段階で決めてください。

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