DX Strategy
DX戦略

当社は、本ページで公表しているDX戦略にもとづき、2026年10月1日付でDX認定(情報処理の促進に関する法律第28条にもとづく経済産業大臣の認定)を受けました。 認定の期間は2028年9月30日まで、手続番号はDX-2026-10-0004-01です(IPAの認定事業者一覧で検索できます)。
IPAの認定事業者一覧で確認する策定日:2026年8月14日 / 改定日:2026年9月11日(いずれも代表社員決定)
本ページは、情報処理の促進に関する法律第28条に基づくDX認定制度の認定基準に沿って、 当社のDX戦略を公表するものです。
当社は代表社員1名の会社で、従業員は雇用していません。本ページに記す体制・人材育成・指標は、すべてこの規模を前提としています。
1. 経営ビジョンとビジネスモデル
当社は、中小事業者向けの業務システムの受託開発、データ分析・DX支援、 および生成AIの業務活用に関する研修を行っています。
解こうとしている問題は「小さな組織ほど、人が事務作業に埋まる」ことです。 受発注、集計、請求、報告。人手で回している限り、人数がそのまま処理能力の上限になり、 事業者は本来やるべき仕事に時間を割けなくなります。
当社自身が、その問題に直面する最小の事業者です。代表社員1名で、 複数の事業者の業務システムを開発し、本番環境を継続的に運用しています。 これは長時間労働で成立させているのではなく、 自社の業務のうち定型的な部分をデジタル技術に任せることで成立させています。
したがって当社にとってのデジタル技術の活用は、顧客に提供する商品である以前に、1名という規模のまま事業を継続し、拡大するための前提条件です。 自社で実際に運用して成果と限界を確かめたものだけを、顧客に提案します。
2. 戦略
上記のビジョンを実現するため、当社は、自社の業務で生じるデータと外部の公開データを蓄積・分析し、その結果を判断と自動処理に反映することを、 戦略の中心に置きます。具体的には、次の方策を実行します。
2-1. 業務データを1か所に集め、受注と価格の判断に使う
当社は、案件と業務(タスク)の進行履歴、請求と入金の記録、問い合わせと商談の履歴、 および取引先の情報を、自社開発の業務タスク管理システムに集約しています。 これらは日々の作業の副産物として蓄積され、 どの案件のどの作業にどれだけ時間がかかったかを、後から取り出せる形で保存しています。
蓄積したデータは、次のように利活用します。 過去の類似案件の所要時間を集計し、見積金額と納期の根拠とします。 同時に進行している案件の負荷から、新規の引き合いを受けられるかどうかを判断します。 着手されずに滞留している業務や、入金が確認できていない請求を抽出し、対応の順序を決めます。
これにより、受注の可否と価格を、代表社員の記憶や感覚ではなく、実績値に基づいて決められる状態にします。 今後は、蓄積した実績から所要時間を見積もる方法を整備し、見積作成そのものを半自動化します。
2-2. 過去の業務記録から判断基準を抽出し、定型業務の自動処理に使う
当社は、自社開発の業務タスク管理システムに登録された調査・文書作成業務を、 生成AIの実行環境が1日6回、定時に処理する運用を2026年7月から社内で行っています。 実行の対象は代表社員が事前に承認した業務に限り、 生成された成果物は代表社員が内容を確認し、承認して初めて確定します。 判断と責任を人に残したまま、作業量だけを増やすための設計です。
この運用で蓄積されるのは、指示の内容、生成された成果物、 そしてそれを承認したか、差し戻したかの記録です。 当社は、この承認・差戻しの履歴を分析し、 当社がどのような基準で成果物の可否を判断しているかを、文章化された判断基準として抽出しています。 抽出した基準は、次回以降の自動処理に入力条件として渡します。
これにより、処理を重ねるほど差戻しが減り、代表社員が確認に費やす時間が減っていく状態を目指します。 今後は、対象範囲を見積・請求・進捗報告といった定型度の高い業務へ広げます。
2-3. 外部の公開データを収集・分析し、受注機会の探索に使う
当社は、公的機関が公示する調達情報を日次で収集し、 発注機関、業務内容、予定価格、契約方式、公示日といった項目に分けて蓄積しています。
蓄積したデータは、契約方式別・価格帯別・業務分野別に集計し、 当社の規模と資格等級で応札できる案件が、どの程度の頻度で、どの価格帯に出るのかを 把握するために使います。この集計の結果をもとに、営業として時間を割く先を決めています。
これにより、案件を人手で探す作業を、条件による抽出と判定に置き換えます。 今後は、収集の対象機関を広げ、条件に合う公示を検知した時点で通知する運用にします。
2-4. 稼働データを蓄積し、障害の予防と復旧時間の短縮に使う
1名の体制では、障害に人が張り付くことができません。 そのため当社は、稼働中のサービスを外形監視し、応答の結果を時系列で記録しています。 障害が発生した場合は、症状、調査の経過、原因、および復旧手順を記録として残します。
蓄積したデータは、検知から復旧までに要した時間の計測と、障害の分類に使います。 同じ原因で再発した事象については、 記録した手順を自動復旧の処理として実装し、人手を介さずに戻せるようにします。 データベースは日次で取得し、遠隔地のオブジェクトストレージにも保管しています。
今後は、復旧手順が未整備の系統を洗い出し、検知から復旧までの時間を短縮します。
2-5. 開発した資産を再利用できる形で残す
受託開発は、案件ごとに作り切ると規模が売上の上限になります。 当社は、案件で得た業務知識と実装を、他の案件でも使える部品として残す方針を取っています。 同じ構造を持つ業務は、同じ部品で短期間に立ち上げられるようにします。
3. 戦略を進めるための体制と、人材の育成・確保
3-1. 体制
当社は代表社員1名の会社であり、代表社員が実務執行総括責任者を兼務し、 戦略の決定、実装、運用、および見直しの責任を負います。 意思決定は代表社員の決定をもって行います。
社内に専門部署を置く規模ではないため、当社は外部組織との協業によって体制を構成します。 研修の講師、営業、および案件ごとの開発について、業務委託契約に基づく外部パートナーと 協働する体制を取っています。契約には秘密保持および再委託の制限を定めています。
3-2. 人材の育成・確保
当社における人材育成は、代表社員自身の継続的な技能の獲得を指します。 提供する技術の変化が速いため、体系的な知識を外部の基準で定期的に確認することを方針としています。 その一環として、代表社員は2026年9月に、 一般社団法人日本ディープラーニング協会のG検定を受験します。
2026年9月24日追記:代表社員は2026年9月5日にG検定を受験し、合格しました(JDLA Deep Learning for GENERAL 2026 #5)。
人材の確保については、雇用ではなく外部パートナーとの契約により必要な技能を調達します。 当社が担う範囲と外部に委ねる範囲を明確にし、当社側には設計と品質の責任を残します。
4. ITシステム・デジタル技術を活用する環境の整備
当社は、開発から本番運用までを自社で完結できる環境を整備しています。 アプリケーションは仮想専用サーバー上でプロセス管理下に置き、 構成はバージョン管理システムで管理しています。 通信経路と公開範囲はネットワーク層で制御し、 管理用のシステムは限定されたネットワークからのみ到達できるようにしています。
新しい技術の採用にあたっては、まず自社の業務で運用し、 効果と運用上の負荷を確認したうえで顧客への提案に用いることを原則とします。
情報セキュリティについては、情報セキュリティ基本方針を定めて公表し、これに基づき対策を実施しています。
5. 戦略の達成状況を測る指標
当社は次の指標により戦略の達成状況を測定し、事業年度ごとに自己評価と見直しを行います。当社は第1期(2026年7月1日〜2027年6月30日)の途中にあり、 実績値はまだありません。下記はいずれも第1期末時点の目標値です。
- 定型業務のうち、自動処理で完了した件数
- 目標値:月 40 件自社の調査・文書作成業務が対象
- 本番サービスの計画外停止からの平均復旧時間
- 目標値:60 分以内検知から復旧までを計測
- 同時に開発・運用する案件数
- 目標値:8 件1名の体制で並行できる上限を引き上げる
- 代表社員の稼働のうち、設計・提案に充てる割合
- 目標値:週の 50% 以上定型作業に費やす時間を減らせているかの裏返し
6. 代表社員からのメッセージ
会社を1人で始めて、最初にぶつかったのは「作れるのに、回らない」ことでした。 システムは作れる。けれど見積を書き、請求を出し、進捗を報告し、 障害に対応していると、次を作る時間が残らない。 人を増やせば解決しますが、増やせる段階ではありませんでした。
そこで、自分の仕事のうち「判断が要らない部分」を切り出して、 機械に渡すことから始めました。渡してみて分かったのは、 判断が要らない仕事は思っていたよりずっと多く、 そして判断が要る仕事は絶対に渡してはいけないということでした。 だから当社の仕組みは、最後に必ず人が確認して確定する形にしています。 速さより、間違えないことを優先しています。
この考え方は、お客様に対しても同じです。 デジタル技術は、人を減らすためのものではないと考えています。 ひとりで抱えている作業を仕組みに預けて、空いた時間で目の前の人と話す。 そのために使うものだと思っています。
自社で試して、うまくいったことも、うまくいかなかったことも分かったうえで、 お客様にお渡しできる会社でありたいと考えています。
合同会社えらびの道 代表社員喜多 理人
策定日:2026年8月14日 / 改定日:2026年9月11日
合同会社えらびの道 代表社員 喜多理人
