大分の宿泊業が繁忙期の後に見直す予約・シフト・売上のつなぎ方|別府の旅館が数字を1枚にするまで

データ活用宿泊業業務システム

この記事の事例は、実際にいただくご相談をもとにした想定ケースです。特定の企業を指すものではありません。

大分県別府市の旅館S(架空・客室26室、従業員32名のうちパート・アルバイト19名、年商約2.9億円)は、2026年8月の稼働率が91%でした。過去5年で一番良い夏です。それでも支配人は、8月の粗利がいくらだったかを9月末の時点で答えられませんでした。会計事務所から試算表が届くのは10月中旬。判断材料が2か月遅れて届く状態が、何年も続いていました。

8月の数字は5か所にあり、どれも日付の意味が違った

データ別・日付のずれ

数字がなかったわけではありません。むしろ多すぎました。予約はOTA3社の管理画面と自社サイト、それに電話・FAXで入る地元の宴会と法人の団体(全体の約2割)。シフトはフロント・客室・調理・清掃で別々のExcelファイルが4本あり、作成者は3人。売上はレジの日計表を手書きで転記していました。

9月の第1週に全部を並べたところ、つながらない原因が金額ではなく日付だと分かりました。

データ 出どころ 記録されている日付 粒度 宿泊日に揃えるには
予約 OTA管理画面3社・自社サイト・電話メモ 予約日 予約1件 明細の宿泊日で展開する(連泊は日ごとに分ける)
宿泊売上 レジ日計表 チェックアウト日 会計1件 泊数で按分し、宿泊日基準に組み替える
売店・宴会 レジ(別部門) 販売日 レシート1枚 当日利用のためそのまま使える
シフト予定 部署別Excel 4本 勤務日 30分単位 部署コードの表記を統一する
勤怠実績 タイムカード 勤務日 打刻 深夜またぎの扱いを先に決める
OTA入金 各社の支払明細 入金日 月次まとめ 売上とは別軸。突合は月次で行う

2泊3日の予約は、労働が3日分発生するのに売上は最終日に1本立ちます。この状態で「8月12日の売上と人件費」を比べても意味がありません。

9月:集める前に、日付の言葉を1枚に固定した

1枚に固定した日付の定義

最初にやったのは連携の設計ではなく、用語を決めることでした。A4で1枚、これだけです。

宿泊日 = その日に泊まった事実の日付(連泊は日ごとに1行に分ける)
予約日 = 受注が入った日。先行指標。売上の集計には使わない
計上日 = 会計上の売上日。月次の締めにだけ使う
勤務日 = 実際に働いた日。深夜勤務は開始日側に寄せる
入金日 = OTAの支払日。売上とは月がずれるので突合専用

この紙を作った時点で、社内の会話が変わりました。「先月は良かった」が「8月の宿泊日ベースでは」に置き換わるだけで、話が噛み合うようになります。

10月:人時売上を出したら、部署ごとに分母が違った

稼働別・1室あたり清掃時間

宿泊日で並べ直して、売上を総労働時間で割りました。すると、清掃は「稼働室数÷人数」、フロントは「宿泊人数」で忙しさを管理していたことが分かりました。分母が違うので、それまで比較できていなかったのです。

宿泊人数を共通の分母に置き換えて計算すると、8月の平均稼働24室の日は清掃6人×5時間で1室あたり1.25時間。9月の平日、稼働9室の日は4人×4時間で1室あたり1.78時間でした。稼働が落ちるほど1室のコストが上がる構造が、初めて数字になりました。10月から閑散日の清掃を3人×4時間に組み替えています。

繁忙期に何が起きたかは、記憶が残っているうちにしか書き出せません。これはお盆休みで止まる業務こそ、システム化の優先順位が一番高い理由で書いたことと同じで、9月を過ぎると「なぜその日だけ人を増やしたのか」を誰も思い出せなくなります。

あわせて読みたいお盆休みで止まる業務こそ、システム化の優先順位が一番高い理由

11月:入力先は変えず、集計だけ1か所に寄せた

集計だけを1か所に寄せる手順

OTAの管理画面もレジもシフトのExcelも、そのまま残しました。サイトコントローラーと レジからCSVを出し、シフトのExcelと合わせて宿泊日で結合するだけの仕組みを作り、日次で1行を出力しています。

宿泊日,稼働室数,宿泊人数,宿泊売上,売店売上,宴会売上,総労働時間,人時売上,自社,OTA,電話
2026-11-12,21,46,612000,38000,0,58.5,11111,4,15,2
2026-11-13,9,17,231000,12000,0,41.0,5927,2,6,1

現場の操作を変えなかったのは意図的です。繁忙期の入力先を新しくすると、忙しい月に必ず元へ戻ります(業務システムが定着せず現場がExcelに戻る4つの理由)。まずは見る場所だけを1つにして、入力の統合は必要になったときに考える、という順番にしました。

あわせて読みたい業務システムが定着せず現場がExcelに戻る4つの理由|導入前に見落とされること

翌2月:稼働44%の月に、前年と同じ配置をやめられた

2月の稼働率は44%。前年と同じ数字でしたが、人件費は約7%下がり、口コミ評点は横ばいでした。効果として大きかったのはそこではなく、3月の団体予約を受けるかどうかを、打診を受けたその日に判断できるようになったことです。同じ日に清掃と調理が何時間必要かが分かるので、稼働率だけを見て安請け合いすることがなくなりました。

こうした投資には県や市の支援制度が使える場合がありますが、要件も締切も年度ごとに変わります。必ず窓口や公募要領で最新の内容を確認してください。制度の申請時期から逆算すると着手が想像より早いことは、来年4月稼働の業務システムが8月着手でギリギリな理由でも触れたとおりです。

えらびの道は、業務システムをオーダーメイドで開発しています。卸売の受発注・請求、出張販売の管理、介護のシフト管理、ECサイトなどの実績があります。今回のような案件では、OTAやレジから出るCSVを宿泊日で結合する処理、部署ごとに書式が違うシフトExcelの取り込み、日次1枚のレポート自動生成といった部分が具体的な担当範囲になります。データの可視化やレポートの自動化から、需要予測のような機械学習、リアルタイムなデータ収集基盤まで対応しています。既存の入力先を残したまま集計だけ切り出すなど、小さく作って動かしながら育てる進め方をとっています。

繁忙期の数字を1枚にまとめるところから、えらびの道でお手伝いできること

合同会社えらびの道は、中小企業向けのシステム受託開発と、データ活用・DXのご支援をしている会社です。卸売の受発注・請求、介護のシフト管理、出張販売の管理、EC・決済、業務データを集めて予測につなげる基盤づくりなど、実際に手を動かしてきた領域からお話ししています。

この記事で扱ったような、予約・シフト・売上が別々の場所にあって突き合わせられない状態も、御社の現場に合わせた形で整理をお手伝いできます。日付の定義を1枚に固定するところから、OTAや自社サイトの予約データ、部署ごとに分かれたシフト、レジの日計をどうつなぐか、集計の受け皿をどこに置くかまで、順番を決めて一緒に組み立てます。

進め方としては、全部を一度に置き換えることはしません。止まると困る1業務だけを先に動かし、残りは様子を見ながら移していきます。宿泊業のように繁忙期と閑散期の差が大きい仕事では、現場が回っている時期に大きな変更を入れないことも含めて計画を立てます。打ち合わせから開発まで、えらびの道の同じ人間が担当します。

まずは、いまお困りの状況をお聞かせください。オンラインで30分ほど、費用はかかりません。この場で解決の方向が見えることもありますし、そうでなければ次に何を確かめるとよいかをお伝えします。

よくある質問

旅館やホテルの予約データと売上データはどうやってつなげばいいですか?

先に日付の定義を揃えることが出発点です。予約は予約日、売上はチェックアウト日で記録されていることが多いため、両方を宿泊日に変換してから結合します。連泊は日ごとの行に分け、売上は泊数で按分すると、労働時間と同じ軸で比較できるようになります。

宿泊業のシフト管理をExcelから移すべきタイミングはいつですか?

部署ごとにファイルが分かれ、作成者が3人以上になった時点が目安です。ただし繁忙期の直前に入力先を変えると現場が元に戻るため、まずはExcelを残したまま集計だけ取り込む形が現実的です。閑散期に入ってから入力側の見直しを検討してください。

小さな旅館でもデータ分析の仕組みは作れますか?

客室数が20〜30室規模でも作れます。必要なのは高度な分析ではなく、宿泊日を軸に稼働室数・宿泊人数・売上・労働時間が1行に並んだ日次データです。この1枚があれば人時売上や部署別の負荷が見えるため、まずはCSVを結合するだけの仕組みから始めるのが確実です。

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この記事は、生成AIで下書きを作成し、実務経験にもとづいて内容を確認・編集したうえで公開しています。制度・金額・要件は年度や状況によって変わるため、実際のご判断の前に公式の窓口でご確認ください。

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