新規取引先の与信枠を営業の感触と評点だけで決めていませんか|年末の倒産・支払遅延が増える前に、売掛残と入金遅延日数から限度額を引き直す【Q&A】

与信管理販売管理データ活用

年末に向けて新規の取引先が増える時期です。与信枠を決める根拠が、営業担当の「あそこは大丈夫です」という感触と、外部の信用調査会社が出す評点の2つしかない会社は少なくありません。どちらも間違いではありませんが、どちらにも「自社との取引で、実際にどう支払われてきたか」が入っていません。社内にある売掛データから枠を引き直すときに出てくる質問に、順に答えていきます。

外部の評点が高ければ、与信枠は大きくしてよいのですか

与信の材料と穴

評点は、その会社を業界横断で並べたときの相対的な位置を示すものです。自社への支払いぶりは含まれていません。評点が同じ2社でも、一方は毎月期日どおりに入金し、もう一方は毎回数日遅れる、ということが普通に起きます。遅れている側では、支払いの優先順位のなかで自社が後ろに回っています。これは評点には出てきません。

評点と営業の感触は「取引を始めてよいか」の入口で使い、「いくらまで出すか」は自社の実績で決めます。材料ごとに埋まらない穴があります。

材料 分かること 分からないこと
外部の信用調査の評点 業界内での相対的な位置 自社への支払いぶり
営業担当の感触 現場の空気や設備の様子 金額に直せる根拠
自社の売掛残高 いま抱えている損失の上限 これから増える注文の分
自社の入金遅延日数 支払いの優先順位の変化 遅れが起きている理由

与信限度額は、何を根拠に金額を置けばよいのですか

限度額を決める数字

上限を2つ出して、小さいほうを採ります。1つは取引の形から自然に決まる残高です。月200万円の取引で翌月末払いなら、締め日の直前にはおよそ400万円が未回収で残ります。もう1つは自社の体力から決まる上限です。粗利率20%の会社が400万円を回収できなければ、2000万円の売上で取り返す計算になります。この額を吸収できないなら、枠を広げるのではなく、締めを分ける、前受けを入れる、出荷の頻度を落とす、のいずれかで残高そのものを削ります。

判断の材料は決算書ではなく、自社の売掛データから出します。

-- 取引先ごとに、過去12か月の最大売掛残と平均入金遅延日数を出します
SELECT c.customer_code, c.customer_name,
       MAX(ar.balance)                         AS max_ar_balance,
       AVG(DATEDIFF(p.paid_date, ar.due_date)) AS avg_delay_days
FROM receivables ar
JOIN customers c ON c.customer_code = ar.customer_code
LEFT JOIN payments p ON p.receivable_id = ar.id
WHERE ar.closing_date >= DATE_SUB(CURRENT_DATE, INTERVAL 12 MONTH)
GROUP BY c.customer_code, c.customer_name
ORDER BY avg_delay_days DESC;

入金の遅れは、何日から兆候として扱えばよいのですか

遅れの兆候を見る点

何日という固定の線より、その取引先自身の平均からどれだけずれたかを見るほうが早く気づけます。振込手数料の差や銀行の休業日、自社の請求書の送付遅れで、数日の前後は日常的に起きるからです。過去12か月の平均遅延日数に対して、直近3か月の平均が3日以上伸びた先を見直しの対象にします。あわせて、請求額に対していくら入ったかも見ます。端数や一部だけが入る状態は、遅延日数より先に現れることがあります。

ただしこの数字は、入金消込が取引先単位で正しくついていることが前提です。振込名義のズレを毎月手作業で合わせているなら、入金消込が毎月2日かかるで扱った消込の整理が、そのまま与信の材料づくりになります。

あわせて読みたい入金消込が毎月2日かかる|振込名義のズレ・一括入金・端数差を、上期末の売掛金残高確認までにどこまで仕組みで減らせるか

枠を超えた注文が来たとき、誰がどこで止めるのですか

超過注文の止め方

枠を登録しても、超えたときに何が起きるかを決めていなければ止まりません。止める場所は出荷ではなく、受注を確定する手前です。出荷直前で止めると、現場が荷造りを終えた後の押し問答になります。段は金額ではなく超過率で分けると運用しやすくなります。

  • 枠の90%を超えたら、受注は通し、営業と経理に通知します
  • 枠を超えたら受注は保留になり、決めた人の承認で通ります
  • 前受金や取引信用保険を理由に通す場合は、根拠と期限を記録に残します

期限のない例外は、翌年には誰も理由を説明できなくなります。

与信管理は、販売管理とは別のシステムを入れるべきですか

別の台帳に分けると更新が止まります。与信枠は受注の場面で参照するものなので、受注を入れる画面から見える場所に置くのが現実的です。持つ項目は、与信限度額・設定日・次回見直し日・超過時の扱い・例外の根拠と期限の5つで足ります。最終見直し日が空欄の先が多いなら、枠は運用されていません。

注意点が1つあります。与信は取引先単位で数えますが、顧客マスタが支店ごとや表記ゆれで分かれていると残高が分散し、実際より小さく見えます。取引先別の売上を出したら合計が合わないで触れた名寄せが、ここでも先に必要になります。枠を下げれば入金の見込みも変わりますから、資金繰り表が経理担当のExcelと頭の中にしかないで扱った入出金の見通しとつないで持つと、年末の支払いが重なる時期に効いてきます。

えらびの道は、卸売の受発注・請求や出張販売の管理などの業務システムをオーダーメイドで開発しています。与信については、既存の販売管理や会計のデータから取引先ごとの最大売掛残と入金遅延日数を集計する部分、受注画面で超過を判定して承認に回す部分、見直しの履歴を残す部分をお手伝いできます。データの可視化やレポートの自動化から、入金実績をもとにした遅延の予測まで対応しています。まずは集計の一覧だけを作って毎月眺めてみる、という小さい範囲から始めて、動かしながら育てる進め方をとっています。

与信枠の引き直しまで、えらびの道でお手伝いできること

合同会社えらびの道は、中小企業向けのシステム受託開発と、データ活用・DXのご支援をしています。卸売の受発注や請求、介護のシフト管理、出張販売の管理、EC・決済、業務データを集めて予測に使う基盤づくりなどを、実際に手を動かして作ってきました。この記事の内容も、その現場から出てきたものです。

この記事で扱った与信限度額の引き直しについても、御社の取引条件に合わせたかたちでお手伝いできます。取引先ごとの最大売掛残と平均入金遅延日数を毎月出す集計、直近3か月の平均が伸びた先を拾う一覧、請求額と入金額のズレの検知まで、いまの販売管理システムは残したまま、その先の集計だけを足すかたちも取れます。振込名義のズレで消込が合っていない場合は、取引先の名寄せから整えます。

進め方としては、全部を一度に置き換えることはしません。止まると困る1業務から動かし、残りは様子を見ながら移していきます。打ち合わせから開発まで同じ人間が担当しますので、営業のご担当者から伺った例外が、そのまま設計に入ります。

まずは、いまの与信枠が何を根拠に決まっているのかを伺うところからで構いません。えらびの道ではオンラインで30分ほどのご相談をお受けしており、費用はかかりません。

よくある質問

与信限度額はどのように計算すればよいですか

取引の形から決まる最大残高と、焦げ付いても自社が吸収できる額の2つを出し、小さいほうを限度額にします。前者は月の取引見込額に締めから入金までの期間をかけて求め、後者は年間の利益からどこまで耐えられるかを先に決めておきます。

取引先の支払いが遅れ始めたら、まず何をすればよいですか

遅れた日数だけでなく、請求額に対していくら入ったかを確認します。一部入金や端数残りが続くなら、資金繰りが詰まり始めている可能性があります。そのうえで、新規受注の枠を下げるか、前受けに切り替えるかを社内で決めます。

与信管理は中小企業でも必要ですか

取引先が数社でも、1社の未回収が年間の利益を超えるなら必要です。専用のシステムを入れるかどうかではなく、限度額と次回の見直し日を決めて記録に残すかどうかの話です。既存の販売管理に項目を足すだけでも運用は始められます。

ご相談は、お電話が一番早いです

システムの内容・費用の目安・進め方まで、その場でお答えします

097-507-3082

不在時は折り返しご連絡します

この記事は、生成AIで下書きを作成し、実務経験にもとづいて内容を確認・編集したうえで公開しています。制度・金額・要件は年度や状況によって変わるため、実際のご判断の前に公式の窓口でご確認ください。

あわせて読みたい