社長を名乗るメールでLINEに誘導され、経理が振り込んでしまう|大分でも被害が出たニセ社長詐欺を、年末の支払集中前にネットバンキングの承認権限と振込先登録で止める範囲

ニセ社長詐欺ネットバンキング内部統制

社長の名前で「新しい案件の連絡用にLINEグループを作り、招待用のQRコードを返信してください」というメールが届きます。グループに経理担当者が加えられ、口座残高を聞かれたあとで「取引先への支払いを今日中に」と送金を指示されます。警察庁が2026年2月に出した注意喚起は、この流れを「ニセ社長詐欺」として説明しています。グループに振込権限を持つ担当者を入れるよう指示される場合があることにも触れています。大分県内でも法人の被害が報じられており、大分県警察のサイバーセキュリティ通信(R8-14)が注意を呼びかけています。

狙われているのは、経理担当者1人で振込が終わる状態です

ニセ社長詐欺の流れ

警察も銀行も、対策として「複数人で確認する」「社内の送金ルールを決める」ことを挙げています。ただ、犯人は「内密に」「ほかの者は後から私が招待する」と書いてきて、担当者がほかの人に相談しにくい状況を作ります。担当者が社長本人の指示だと思い込んでいる間は、「確認してから送る」というルールがあっても、確認する相手がLINEの中の偽物になってしまいます。

そこで、人の注意に頼る前に、ネットバンキングの設定で「1人では送れない」「知らない口座にはすぐ送れない」状態を作っておきます。年末は賞与・納税・仕入の支払いが重なるので、普段より大きな金額が動き、「急ぎ」の指示も通りやすくなります。支払いが集中する前に設定を見直しておけば、繁忙期に手順を変えずに済みます。

ネットバンキングの設定で止められる範囲には限りがあります

設定ごとに止められる範囲

全国銀行協会の注意喚起は、法人向けネットバンキングの運用として3つを挙げています。申請者と承認者で別のパソコンを使うこと、限度額を必要な範囲でできるだけ低くすること、振込先の事前登録など銀行の機能を使うことです。これをニセ社長詐欺に当てはめると、次のように整理できます。

設定 止められる場合 止められない場合
申請者と承認者を分け、別の端末で操作する 承認者が指示の出どころを別の経路で確かめる場合 承認者も同じLINEグループに入れられている場合
振込先の新規登録に承認を必須にする 犯人の口座が初めての振込先である場合 既存の取引先の口座変更を装われた場合
1回・1日の限度額を下げる 被害額を普段の支払規模までに抑えたい場合 限度額の範囲内の金額を指示された場合
承認と振込の通知を複数人に送る 送金の直後に気づいて銀行へ連絡できる場合 通知が経理担当者本人にしか届かない場合

機能の名前、設定できる項目、限度額の上限、変更に必要な日数は、銀行や契約プランによって異なり、年度ごとに改定されることもあります。設定を変える前に、取引銀行の最新の規定で確認してください。限度額は過去1年でいちばん支払いが多かった日の総額を目安にします。12月の賞与などで一時的に上げる場合は、上げる期間と元に戻す日を先に決めておきます。

承認者には、指示の出どころを確かめる役目を持たせます

電話で確かめてから承認する振込

承認者が画面の「承認」を押すだけの役になっていると、申請者と同じ思い込みのまま振込が通ってしまいます。そこで、「初めての振込先」「普段の支払額を超える」「社長からの直接の指示」のどれかに当たる振込は、社長の携帯の登録済みの番号へ電話してから承認する、と決めておきます。メールやLINEに書かれた連絡先は使いません。

社長が承認者になる会社では、出張中に支払いが止まらないよう、代理承認者を1人決めておきます。代理の範囲や金額の基準は、稟議の承認ワークフローで金額基準と代理承認を決めた記事と同じ考え方で整理できます。また、退職した人や異動した人の承認者IDが残っていると、権限を分けた意味がなくなります。ネットバンキングのIDも退職者アカウントの棚卸しの対象に含めてください。

あわせて読みたい退職者のアカウントが消えないまま残っている|中小企業でID棚卸しが後回しになる理由と要件整理

犯人の口座は、これまで振り込んだことのない口座として現れます

振込実績のない口座の確認

社長を名乗る指示で振り込ませる先は、実在する取引先の口座ではありません。そのため、振込データの中から「過去に振り込んだ実績のない口座」を承認の前に抜き出せば、確かめるべき振込を絞り込めます。総合振込のデータを会計や購買の支払データから作っている会社なら、振込データの作成を支払データに寄せた記事の流れの途中に、次のような突き合わせを1つ挟めば済みます。

-- 今回の振込データのうち、過去1年に振り込んだ実績のない口座を抜き出します
SELECT t.payee_name, t.bank_code, t.branch_code, t.account_no, t.amount
FROM transfer_batch AS t
LEFT JOIN (
  SELECT DISTINCT bank_code, branch_code, account_no
  FROM payment_history
  WHERE paid_on >= CURRENT_DATE - INTERVAL '1 year'
) AS h
  ON  t.bank_code   = h.bank_code
  AND t.branch_code = h.branch_code
  AND t.account_no  = h.account_no
WHERE t.batch_id = :batch_id
  AND h.account_no IS NULL;

ここで抜き出された口座が、請求書や取引先マスタの口座と一致しない場合は、承認を保留します。銀行側でも新規振込先の登録に承認を必須にしておけば、ネットバンキングの画面に直接入力された振込も同じ確認を通ります。この方法で止められないのは、既存の取引先を装って「口座が変わりました」と連絡してくる手口です。口座の変更は振込とは別の手続きにします。変更前から把握している連絡先へ電話で確かめてから取引先マスタを書き換える、と決めておきます。

えらびの道は、卸売の受発注・請求、出張販売の管理、介護のシフト管理、ECサイトなどの業務システムをオーダーメイドで開発しています。今回のテーマでは、支払データから総合振込データを作る途中で、振込実績のない口座や請求書と違う口座を承認前に一覧で出す仕組みを作れます。取引先マスタの口座変更を、申請・承認・変更履歴を残す形で管理する仕組みも作れます。ネットバンキング自体の設定は銀行との手続きになるため、どこまでを銀行側に任せ、どこからを社内のデータで確かめるかの切り分けから一緒に整理します。最初は突き合わせの一覧だけを作り、運用しながら承認の条件を足していく進め方をとっています。

振込の承認手順を社内の仕組みにするまで、えらびの道でお手伝いできること

合同会社えらびの道は、中小企業向けのシステム受託開発と、データ活用・DXの支援を本業としています。卸売の受発注・請求、介護のシフト管理、EC・決済など、毎日の業務で使われている仕組みをつくってきました。

ネットバンキングの設定は銀行の機能で行いますが、その手前にある社内の手順を支える仕組みは、御社に合わせてつくれます。たとえば、支払いの申請と承認の記録を残す仕組みです。振込先の新規登録や口座変更の履歴を残す台帳や、初めての振込先と普段より大きい支払いを承認者に知らせる一覧もつくれます。社長に電話で確かめたかどうかも、記録に残せるようにします。

全部を一度に置き換えることはしません。まずは振込先の登録と変更の管理のように1つの業務から動かし、残りの支払業務は様子を見ながら移していきます。打ち合わせから開発まで同じ人間が担当するので、経理の方から聞いた事情をそのまま形にできます。

年末の支払いが重なる前に手順を見直したいときは、まず今の運用をお聞かせください。えらびの道では、オンラインで30分の相談を受け付けています。費用はかかりません。

よくある質問

ニセ社長詐欺で振り込んでしまったら、お金は戻りますか?

気づいた時点ですぐに振込元の銀行と警察へ連絡し、相手口座の凍結を依頼します。凍結が間に合えば、口座に残っている額から返ってくる場合もあります。ただ、大分県警察も一度送金すると取り戻すのは難しくなると注意を呼びかけています。送る前に止める設定を優先してください。

ネットバンキングの承認者は何人いればよいですか?

申請者と承認者が別の人であれば、承認者は1人でも機能します。大切なのは、承認者が申請者と同じ思い込みのまま承認しないことです。社長が承認者の場合は、出張中に支払いが止まらないよう代理承認者を1人決めます。初めての振込先は電話で確かめてから承認する、という条件も付けておきます。

振込先の事前登録を必須にすると、急ぎの支払いに困りませんか?

普段の取引先はすでに登録されているので、影響を受けるのは初めての支払先だけです。年末に新しい支払先が出る場合は、請求書が届いた時点で登録を申請し、支払日より前に承認を済ませておけば間に合います。登録が使えるようになるまでの日数は銀行ごとに異なるため、事前に確かめておきます。

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この記事は、生成AIで下書きを作成し、実務経験にもとづいて内容を確認・編集したうえで公開しています。制度・金額・要件は年度や状況によって変わるため、実際のご判断の前に公式の窓口でご確認ください。

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