
似た部品を前回いくらで見積もったか探せない|大分の金属加工会社が、見積担当の定年までの半年で過去の見積と実績工数を図面番号から引けるようにした手順
この記事の事例は、実際にいただくご相談をもとにした想定ケースです。特定の企業を指すものではありません。
大分の中小企業が営む金属加工の現場では、「前に似た部品をやったけど、いくらで出した?」と聞かれて答えられるのが見積担当の1人だけ、ということがよくあります。ここでは、従業員40名ほどの金属加工会社を想定します。20年以上見積を担ってきた担当者が来年3月末に定年を迎え、残りは10月からの半年です。
前回の金額は、見積書のExcelと紙の日報と担当者の頭に分かれています
見積書は顧客ごとのフォルダにExcelで約6,000件あります。ところがファイル名は「○○工業_ブラケット_0412.xlsx」のような形で、図面番号では探せません。実際にかかった時間は作業日報にありますが、2年前までは紙に書かれています。そして「この形なら旋盤で40分、前回は段取りに手間取ったので少し上げる」という判断は、担当者の頭の中にしかありません。
| 置き場所 | 残っている項目 | 図面番号の書かれ方 |
|---|---|---|
| 見積書(Excel) | 材質・数量・加工費・単価 | セル内の自由記述 |
| 受注台帳(販売管理) | 受注番号・納期・受注金額 | 品名欄への手入力 |
| 作業日報(紙→Excel) | 作業者・工程・時間 | 受注番号だけの記載 |
| 担当者の記憶 | 金額を上げ下げした理由 | 記録なし |
この4つを1本の番号でつなげば、前回の金額と実際の工数を並べて見られます。つなぐ番号には、顧客から届く図面番号を使います。見積の段階では、社内の品番がまだ振られていないからです。
最初に、図面番号の書き方が何通りあるかを数えます
同じ図面でも「AB-1234-B」「AB1234 B」「AB-1234(B)」のように書き方が揃っていません。まず見積書から図面番号らしい文字列を抜き出し、顧客ごとに並べて書き方のパターンを数えます。この想定では、主要な顧客12社で17通りの書き方が出てきました。
そのうえで、照合用の番号を別の列に作ります。全角は半角にし、ハイフンと空白を取り除き、改訂記号は別の列に分けます。元の表記は消さずに残しておきます。表記ゆれの片づけ方は、顧客マスタの重複と表記ゆれを片づける記事と同じ考え方です。
見積書と実績工数を、受注番号を経由して並べます
作業日報には図面番号がなく、受注番号しか書かれていないことが多くあります。そこで「見積書→受注台帳→作業日報」の順に受注番号でつなぎます。紙の日報は全部を打ち込まず、Excel化されている直近2年分のほかは、担当者が「よく出る」と挙げた上位100図面の分だけを拾いました。
並べてみると、見積工数と実績工数の差が図面ごとに見えます。差の大きい図面ほど、次の見積で知っておきたい事情が隠れています。これから先の日報で図面ごとの時間を取る方法は、作業日報を案件単位のデータで取る手順で詳しく書いています。
新しい図面は、材質・外形・工程の組み合わせで似た部品を探します
初めて受け取る図面は、番号で探しても何も出てきません。そこで見積書にある材質・最大外形寸法・主な工程・ロット数を列として持ち、条件で絞れるようにします。画面の絞り込みの裏側では、次のような検索を動かします。
-- SS400で外形100〜150mm、旋盤とマシニングを通った過去の見積を新しい順に出します
SELECT q.drawing_no_key, q.revision, q.customer_name, q.quoted_at,
q.lot_qty, q.unit_price, q.quoted_minutes,
SUM(w.minutes) / q.lot_qty AS actual_minutes_per_piece
FROM quotes q
LEFT JOIN orders o ON o.quote_id = q.id
LEFT JOIN work_logs w ON w.order_no = o.order_no
WHERE q.material = 'SS400'
AND q.max_dimension_mm BETWEEN 100 AND 150
AND q.processes LIKE '%旋盤%'
AND q.processes LIKE '%MC%'
GROUP BY q.id
ORDER BY q.quoted_at DESC;
金額はExcelに残っていても、なぜその金額にしたのかは残っていません。10月から毎週火曜の午後2時間を聞き取りの枠として先に押さえ、上位100図面を順に見てもらいます。1件ごとに、次の形でメモ欄へ入れます。
図面番号(照合用): AB1234 / 改訂: B
前回単価: 3,200円(ロット50)
見積と実績の差: 見積40分 → 実績55分
理由: 客先指定の面粗度が厳しく、仕上げを2回に分けたため
次に見積もるときの注意: ロット20以下なら段取り費を別に立てる
この理由の欄は、操作手順書には載らない部分です。引き継ぎ資料に書かれない締め日や例外処理と同じく、退職日から逆算して残しておきます。
つまずくのは、改訂の扱いと、実績に混じる手直しの時間です
1つ目は改訂の扱いです。穴が1つ増えただけの改訂と、形がほぼ変わった改訂が、同じ番号で並んでしまいます。改訂記号を別の列に分け、形が大きく変わったものには担当者に「別物」の印を付けてもらいます。
2つ目は、実績工数に手直しや段取りのやり直しが混じることです。そのまま平均すると、次の見積が高く出すぎます。日報に「手直し」の区分がなかった期間は、差の大きい図面だけを聞き取りで確かめます。
3つ目は、年末の増産で聞き取りの枠が消えることです。1回5図面を目安にすると、12月末までに約60図面が終わります。残りを年明けに回せるので、繁忙期に何回か飛んでも3月に間に合います。
えらびの道は、卸売の受発注・請求、出張販売の管理、介護のシフト管理、ECサイトなど、業務システムをオーダーメイドで開発しています。今回のような内容では、散らばった見積書のExcelから図面番号・材質・寸法を抜き出して照合用の番号に揃える作業、受注台帳と作業日報を受注番号でつなぐ取り込み、条件で過去の見積を絞り込める検索画面の開発をお手伝いできます。データの可視化やレポートの自動化から、機械学習による予測、リアルタイムなデータ収集の基盤まで対応しています。最初は上位の図面だけで小さく動かし、使いながら項目を足していく進め方をとっています。
過去見積の検索づくりまで、えらびの道でお手伝いできること
合同会社えらびの道は、中小企業向けのシステム受託開発と、データ活用・DX支援を本業としています。卸売の受発注・請求、介護のシフト管理、出張販売の管理、業務データの収集と予測基盤など、現場の実務で使う仕組みを作ってきました。
金属加工の見積でいえば、Excelの見積書から図面番号を抜き出して照合用の番号にそろえる作業や、受注台帳と作業日報を受注番号でつなぐ作業を、御社のファイルの形に合わせてお手伝いできます。材質や外形、工程で似た部品を絞り込む画面も、見積担当の方の探し方を伺いながら作ります。
進め方は、全部を一度に置き換えるのではなく、止まると困る1業務から動かします。今回なら過去見積の検索を先に使える形にし、日報の取り方などは様子を見ながら移していきます。打ち合わせから開発まで同じ人間が担当するため、金額を上げ下げした理由のような細かな事情も、話を聞いた本人が設計に反映します。
見積の引き継ぎをどこから始めればよいか迷われたら、えらびの道にご相談ください。オンラインで30分、費用はかからずにお話を伺います。
よくある質問
過去の見積書は何年前の分までデータにすればよいですか?
この記事の想定では、日報がExcelになっている直近2年分はすべて取り込み、それより古いものは見積担当が「よく出る」と挙げた上位100図面に絞りました。全件を打ち込むと半年では終わらないため、使う頻度で範囲を決めるのが現実的です。
図面番号の書き方が顧客ごとに違う場合は、どう揃えればよいですか?
全角を半角にし、ハイフンや空白を取り除き、改訂記号を別の列に分けた照合用の番号を作ります。元の表記は消さずに残しておくと、顧客への問い合わせのときに困りません。顧客ごとの書き方のパターンを先に数えておくと、ルールの抜けに気づけます。
見積担当者が辞める前に、何を優先して残すべきですか?
金額そのものはExcelに残っているので、優先したいのは金額を上げ下げした理由です。客先の指定、段取りの手間、ロット数による調整などを、図面ごとに本人の言葉でメモ欄へ残してもらいます。聞き取りの時間は、繁忙期に消えないよう先に予定へ入れておきます。
この記事は、生成AIで下書きを作成し、実務経験にもとづいて内容を確認・編集したうえで公開しています。制度・金額・要件は年度や状況によって変わるため、実際のご判断の前に公式の窓口でご確認ください。
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